新世界より 第4話「血塗られた歴史」
なんやかや端折りすぎじゃないですか、図書館さん?w 一番聞きたかったトコがすっ飛ばされてしまったよ!! 我々の知る世界から1000年の間にいったいどれほど陰惨でドラマティックな歴史が繰り広げられていたかとワクワクしてたのになぁ。
ということで今回はミノシロモドキによる新世界設定の解説コーナー。2011年(去年じゃん!?)に実現されたサイコキネシス能力がいかにして旧世界を打ちこわし、かつ劇中の歪な社会を形成していったのか、その謎に迫るエピソードだった。
1000年間を振り返る歴史語りとしては、大まかに3つの時期に分類して語られる。
まずは我々の知る現代世界の延長上における動乱の始まりだ。異能力に目覚めた者たちが旧世界の秩序を自ら破壊したり、目先の利益を争う人々や国家に利用されるなどして、たちまち世界中を混乱に陥れていき、旧世界など見る影もないほどに人類社会のあり方を変容させてしまう。当初は実験室の中の存在だったサイコキネシスが、どういうきっかけによってか一般人の中にも発動するようになり、法律や倫理観による統制が未熟なうちに凶悪犯罪が発生していくという筋書きだ。
続いて、人類がおよそ4つの生存圏に分かれて暮らすようになる混沌の暗黒時代。とくに重要な働きをすることになった奴隷王朝は、世界中に19、日本列島の中だけでも4つの勢力が存在し、600年近くにわたって王朝を存続させたのだという。しかしこれは、ただでさえ少数の超能力者たちが非能力者を奴隷以下の存在として支配しただけでなく、支配層の能力者たちも権力争いを繰り広げて数を減らし、最後にはたった一人のこった能力者である皇帝が弑逆され、その血統は途絶えてしまった。
第三の時代は、サイコキネシス能力を理性のコントロール下におくことで秩序を保とうとする、劇中の時代に直結する新世界。奴隷王朝等の人々との接触を避けて旧世界の科学知識・技術を細々と伝えていた一派が、長い研究と試行錯誤の結果、人類同士が争わずに共存していける平穏な社会をなんとか実現してみせている時代だ。ただし人道や博愛主義に基づく理想ではなく、あくまで人類社会の存続のみを冷徹に模索した科学者集団は、洗脳、遺伝子操作、さらには”間引き”といったえげつないやり方で今の社会を完成させており、その内容は早季たちにとって何よりショッキングなものであった。
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個人的な感想としては、今回語られたこれらの歴史は、それほどショックを受けるものではなく、むしろありきたりな印象さえして少々物足りないと感じられるものだった。早季たちがどうして殺人や戦争の話をそれほど忌避するのか、サイコキネシスのような危険なチカラにどうやって安全弁を据え付けるのか、などの興味深い点もあったが、しかしナントカカントカ症候群などと小難しい単語が飛び出してくるわりには、旧世界の崩壊に関しても、新世界の構築に関しても、驚かされ納得させられるネタに乏しかったように思い、残念だった。
何種類もの大量殺りく兵器を有する我々人類が、ただサイコキネシスのような能力を新たに獲得したからといってそれだけで秩序が崩壊し社会のありようがまったく変容してしまうなどの結果を導き出すのは、ちょっと今の社会を脆弱に捉えすぎていると思うし、人間というイキモノのしたたかさを甘く見積もっているように感じられる。奴隷王朝(そもそもこの言葉の使い方自体が奇異に感じられるのだけれども)の支配体制や血統断絶にいたるまでの歴史、いくつもの王朝や文化圏が併存し得た理由、科学文明の継承者たちが取り上げた理屈理論やその実践法など、疑問点や突っ込みどころは極めて多い。
そのうちの多くが主に時間的理由からあえて説明が端折られたものであり、また一部は今後の展開に対する伏線の役割を担っているものもあるのだろうけれど、前回までのこの不可思議な新世界の見せ方があまりに素晴らしかっただけに、その背景もきっと独特の驚くべき設定が綿密に構築されているのだろうとの期待が空振りに終わってしまった感は否めない。
そして、もっと説明してくれよと思っていた矢先に、図書館は謎の坊主によって丸焼きにされてしまった。ガッデム!! この坊さんは科学文明の後継者の一味というワケではないのかー。単純に科学者が牛耳っているだけでは収まりそうにないし、暗黒時代に暮らしていた奴隷王朝以外の生存圏(略奪者や狩猟民)も生き残っている可能性があるかもしれないから、今回の解説はまだまだ表層部分として、話半分くらいに受け取っておきたい。
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本編Bパートからは清浄寺の僧侶・離塵を先導役としてアドベンチャー風の展開に。バケネズミの大群を見て思い出したけれど、この世界は奇妙奇天烈なイキモノに満ち溢れており、それは前回の解説では人類が超能力を獲得したことに関係があるらしいと語られていたけれど、科学者たちの悪意ある実験が生態系の激変に絡んでいる可能性も高いと思われ(むしろそっちの線が本命なんじゃないかと)、そうした点も踏まえてまだまだ疑問の尽きない世界観が維持されている。これらの謎に踏み込んでみせる展開も期待したい。
・・・それから、人類の生態をボノボ流に作り替えるという試み。これは、14歳や26歳の時期を取り上げるときに、いろいろと期待しちゃってもいいものなんだろーか?w
いや、鼻の下がのびるほうの意味でなくて(それもあるけど)。人類は有史以前から暴力や戦闘と深いかかわりを持ち、ごく少ない例外を除いては恒常的に人間同士での殺人・戦争を行ってきたわけで、その人類から闘争本能を抜き取ろうという試みが成功するのかどうか、その試みはどのような様子で描かれるのか、個人的にそうした点に強い興味を抱いたので、これはぜひ楽しみにしたい。
まぁそうはいっても、ボノボの生態がどのようなもので、それがどんな進化過程や生存戦略に基づいて獲得された生態なのか、というのは自分はほとんど知らないので、あまりアテにはならないけれども。
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それでは、今回は以上です。
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ということで今回はミノシロモドキによる新世界設定の解説コーナー。2011年(去年じゃん!?)に実現されたサイコキネシス能力がいかにして旧世界を打ちこわし、かつ劇中の歪な社会を形成していったのか、その謎に迫るエピソードだった。
1000年間を振り返る歴史語りとしては、大まかに3つの時期に分類して語られる。
まずは我々の知る現代世界の延長上における動乱の始まりだ。異能力に目覚めた者たちが旧世界の秩序を自ら破壊したり、目先の利益を争う人々や国家に利用されるなどして、たちまち世界中を混乱に陥れていき、旧世界など見る影もないほどに人類社会のあり方を変容させてしまう。当初は実験室の中の存在だったサイコキネシスが、どういうきっかけによってか一般人の中にも発動するようになり、法律や倫理観による統制が未熟なうちに凶悪犯罪が発生していくという筋書きだ。
続いて、人類がおよそ4つの生存圏に分かれて暮らすようになる混沌の暗黒時代。とくに重要な働きをすることになった奴隷王朝は、世界中に19、日本列島の中だけでも4つの勢力が存在し、600年近くにわたって王朝を存続させたのだという。しかしこれは、ただでさえ少数の超能力者たちが非能力者を奴隷以下の存在として支配しただけでなく、支配層の能力者たちも権力争いを繰り広げて数を減らし、最後にはたった一人のこった能力者である皇帝が弑逆され、その血統は途絶えてしまった。
第三の時代は、サイコキネシス能力を理性のコントロール下におくことで秩序を保とうとする、劇中の時代に直結する新世界。奴隷王朝等の人々との接触を避けて旧世界の科学知識・技術を細々と伝えていた一派が、長い研究と試行錯誤の結果、人類同士が争わずに共存していける平穏な社会をなんとか実現してみせている時代だ。ただし人道や博愛主義に基づく理想ではなく、あくまで人類社会の存続のみを冷徹に模索した科学者集団は、洗脳、遺伝子操作、さらには”間引き”といったえげつないやり方で今の社会を完成させており、その内容は早季たちにとって何よりショッキングなものであった。
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個人的な感想としては、今回語られたこれらの歴史は、それほどショックを受けるものではなく、むしろありきたりな印象さえして少々物足りないと感じられるものだった。早季たちがどうして殺人や戦争の話をそれほど忌避するのか、サイコキネシスのような危険なチカラにどうやって安全弁を据え付けるのか、などの興味深い点もあったが、しかしナントカカントカ症候群などと小難しい単語が飛び出してくるわりには、旧世界の崩壊に関しても、新世界の構築に関しても、驚かされ納得させられるネタに乏しかったように思い、残念だった。
何種類もの大量殺りく兵器を有する我々人類が、ただサイコキネシスのような能力を新たに獲得したからといってそれだけで秩序が崩壊し社会のありようがまったく変容してしまうなどの結果を導き出すのは、ちょっと今の社会を脆弱に捉えすぎていると思うし、人間というイキモノのしたたかさを甘く見積もっているように感じられる。奴隷王朝(そもそもこの言葉の使い方自体が奇異に感じられるのだけれども)の支配体制や血統断絶にいたるまでの歴史、いくつもの王朝や文化圏が併存し得た理由、科学文明の継承者たちが取り上げた理屈理論やその実践法など、疑問点や突っ込みどころは極めて多い。
そのうちの多くが主に時間的理由からあえて説明が端折られたものであり、また一部は今後の展開に対する伏線の役割を担っているものもあるのだろうけれど、前回までのこの不可思議な新世界の見せ方があまりに素晴らしかっただけに、その背景もきっと独特の驚くべき設定が綿密に構築されているのだろうとの期待が空振りに終わってしまった感は否めない。
そして、もっと説明してくれよと思っていた矢先に、図書館は謎の坊主によって丸焼きにされてしまった。ガッデム!! この坊さんは科学文明の後継者の一味というワケではないのかー。単純に科学者が牛耳っているだけでは収まりそうにないし、暗黒時代に暮らしていた奴隷王朝以外の生存圏(略奪者や狩猟民)も生き残っている可能性があるかもしれないから、今回の解説はまだまだ表層部分として、話半分くらいに受け取っておきたい。
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本編Bパートからは清浄寺の僧侶・離塵を先導役としてアドベンチャー風の展開に。バケネズミの大群を見て思い出したけれど、この世界は奇妙奇天烈なイキモノに満ち溢れており、それは前回の解説では人類が超能力を獲得したことに関係があるらしいと語られていたけれど、科学者たちの悪意ある実験が生態系の激変に絡んでいる可能性も高いと思われ(むしろそっちの線が本命なんじゃないかと)、そうした点も踏まえてまだまだ疑問の尽きない世界観が維持されている。これらの謎に踏み込んでみせる展開も期待したい。
・・・それから、人類の生態をボノボ流に作り替えるという試み。これは、14歳や26歳の時期を取り上げるときに、いろいろと期待しちゃってもいいものなんだろーか?w
いや、鼻の下がのびるほうの意味でなくて(それもあるけど)。人類は有史以前から暴力や戦闘と深いかかわりを持ち、ごく少ない例外を除いては恒常的に人間同士での殺人・戦争を行ってきたわけで、その人類から闘争本能を抜き取ろうという試みが成功するのかどうか、その試みはどのような様子で描かれるのか、個人的にそうした点に強い興味を抱いたので、これはぜひ楽しみにしたい。
まぁそうはいっても、ボノボの生態がどのようなもので、それがどんな進化過程や生存戦略に基づいて獲得された生態なのか、というのは自分はほとんど知らないので、あまりアテにはならないけれども。
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この記事へのコメント
>人類の生態をボノボ流に
アニメ版は無いのかもしれませんね。
コミック版だは、この夏のキャンプでそれっぽい話があったとか聞いたのですが。 ちょっと残念かもw
PKによる犯罪は痕跡が残らないので、疑心暗鬼からX-MENのミュータント差別と同じ事が起こると思うんだけど。
コメントどうもありがとうございます。
コミック版はなんか話題になってましたね。アニメのキャラだと(今の段階では)幼さが強調されてるので、いろいろと問題はありそうです。問題は14歳の時期ですかね。まぁ期待しすぎないで待ってますw
>はじめましてさん
ごめんなさい、『X-MEN』のことは何も分からないです。でも放送の後になって、核爆弾並みの破壊力を持つ能力者もいたらしいと小耳にはさんで、そういうことならごく一部の人間の暴走で文明崩壊が起こるのもあり得るのかな、とは思いました。
アニメの中の描写ではどうしても、凶悪犯罪者が登場してから人類社会がひっくり返るような事態が巻き起こるところまでの間の歴史に関する説明がばっさり省略されていましたので、新世界の誕生をこじつけるための、とってつけたような設定だという印象を受けてしまったところです。
『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』がおすすめです。新世界よりの1000年前に起こったであろう事が描かれた、ハリウッド版『逆襲のシャア』な作品で、アメコミ映画に興味のない人が見ても絶対に楽しめる傑作です。
ハリウッド版逆シャアって評価はなんだか興味をそそられますね。機会があれば見てみようと思います。
アレを期待するのはちょっと違うと思いますよ
(ストーリー自体も原作と大分変わっている)
PKは誰がいつ目覚めて超能力者になるのか分からないのと、誰が超能力者か見分けがつかないのが怖いですね
核爆弾というか中には地球を割ることができるぐらい強い能力をもった人もいるようです
ちょっと違いますかー。ボノボの例まで持ち出してはっきりと述べていたのでひょっとしたらとは思いましたが。コミック版ははっきり売れ線志向に舵を切っているのでしょうか。
地球を割るチカラなんて、もう鳥山明の世界ですね。アニメだけ見ていると、能力者の精神面の凶暴性ばかりが強調されるので(奴隷王朝の王とか)、一般人や能力者自身がこのチカラをどのように恐れ混乱したかという点まで想像力を働かせるのが、なかなかできなかったです。