中二病でも恋がしたい! 第1話「邂逅の…邪王真眼」

痛さは、強さ!!



いやー笑った笑った! タイトルからしてどうせそんじょそこらのラノベアニメだろうとタカをくくっていたけど、これだけ濃密な画面を見せられたらたまらない。京アニはさすがですね。それにキレのあるセリフ回しも良かったし、コンセプトも共感できるもので、映像だけでなくお話の内容にも期待が持てそうな印象だ。


まずこの作品は、現代日本の高校生活を舞台にした『ピーターパン』の亜種なのだろうね。子供らしい、夢や想像を信じる心を、そのまま魔法のチカラに転換して自由自在に生きていく素晴らしさを説いたピーターパン。そんなおとぎの国の奇跡を、魔法も何も存在しない現実世界のなかにどうやって具現化してみせるかが、この作品の核になっているのだろうと思う。もちろん、物理法則をまげて魔法を実現させられるワケではない。けれどおとぎ話だって、魔法そのものではなく、それを発現させ得る強い心の在り方にこそ力点が置かれているはずで、むしろ魔法など存在し得ない世界を舞台にすることで、よりそうした意図が明確に描き出されると期待していいのではないかと思っている。


作品内では「中(厨)二病」という単語が強調されているが、おとぎの国で通用するような夢想・妄想が許されるのは、たぶん小学校低学年くらいまでだろうし、冗談だと理解しつつも共通のルールとして設定して遊ぶことも、小学校を卒業すれば憚られるようになる。中学生にもなってまだ妄想と深く付き合い続けているのが痛々しいからこそ病気認定されるわけで、ましてや高校生にもなれば狂人扱いされても文句は言えない。これは年齢を重ねるにつれ妄想の非現実性を理解するからだ、というのもあるだろうが、それとは別に、妄想よりもずっと重要で興味をそそる問題が持ち上がってくるからでもある。言うまでもなくそれは・・・恋だ。子どもたちは成長するにつれ、魔法や異世界や英雄譚の代わりに、恋について夢想し、熱を上げ始めるのだ。


『中二病でも恋がしたい!』というタイトルはなかなか秀逸で、これは中二病といういわば幼児性を色濃く引きずりこじらせた成長過渡期の少年少女たちが、魔法という非現実の奇跡に向け続けてきた自身の興味を、恋という現実に起こり得る奇跡に向けて、おそるおそる転換させようと試みはじめるその瞬間を捉えようとする、そんな意図の込められたタイトルだと言えるのではないだろうか。もし、魔法の存在をなんとか信じ続けたいと願う心の持ち主が、魔法と同じか、それ以上に輝かしい奇跡であるところの恋の価値に気付いたとき、彼らの目の前に広がる世界はいったいどんな色彩を放つことになるのだろうか、それを楽しみにしながら、今後の展開を待ちたい。


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登場人物について。とりあえず第1話では、主人公にして元中二病患者の富樫勇太と、いままさに中二病真っ盛りな伊達眼帯少女・小鳥遊六花の交流が丁寧に描かれた(←正直、また小鳥遊かよ、と思わないでもないw) 。メインキャラ級としてはほかに丹生谷森夏や一色誠らが印象的な登場をしていたが、まだまだ富樫一家のほうが目立っており、4大ヒロインがそろい踏みするのはもう少し先になりそうだ。現状では、ちゃんと中二病なのは小鳥遊六花のみだが、他のヒロインたちもそれぞれ中二病的な性格なり趣味なりを持っているのだろうか。


主人公とヒロインの家族構成も印象的だった。家族を一切登場させる気のない作品も多い中で、主人公の家族がこれだけ登場し、彼の中二病を証言する立場で活躍するのは見ていて心地よい。なぜか富樫家には父親の姿が見えなかったり、小鳥遊家は姉妹のみで暮らしているのは、なにか特別な理由づけがなされているのか気になるところ。作品の舞台がドコなのかは分からないけれど、六花が親許を離れてあえて姉の家に転がり込んだ事情が、彼女の中二病と絡むカタチで設定されている可能性はありそうだ。




今作は内容的にも、京アニ以外の会社・スタッフ陣が手掛けても十分面白い作品になっただろうと予想でき、実際に画面作りやキャラの演技などを見ていても、他社作品でも行われているのに近い発想の手法を取らざるを得ない場面で、それでも動きを派手にしてみたり背景や構図を凝ってみたりと、なんとか他社との差別化を図ろうと苦心しているような印象を受けた。また京アニ作品としても、これまでのさまざまな作品の後継的位置づけがなされていながら、それでいて今までにない新しい試みを盛り込もうとする意欲も感じられる。


とくに色使いに関してはちょっといままでと少々イメージが変わり、違和感や、あるいは毒々しさとも受け取れる色を使っている場面も散見されたりして、これはひょっとしいたら近年のアニメ界でのひとつの流行なのかもしれないが、大変面白い趣向だと思った。トップレベルのクオリティの作品をコンスタントに生み出し続けている京アニだからこそ常に変化を模索し続けなければならないのだろうし、そのような姿勢を見せてくれることで見る側としてもますますの期待感を持って接することができる。


今作は、言ってしまえばどの会社・スタッフ陣が手掛けてもそれなりに面白いものになるのかもしれない。そんな優等生的な素材に対し、京アニが挑戦の姿勢でどのような化学反応を起こしてみせるのか、そのあたりにも注目しながら、次週以降も楽しみに視聴していきたい。




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それでは、今回は以上です。


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この記事へのコメント

ぽんず
2012年10月08日 09:09
お久しぶりです。

すごい面白かったですね。BS組なので本放送から大分遅れてるのが痛い(汗) 

中二病中二病と小バカしながらも、そういった要素をカッコいいと思っていた時期は多分誰にでもあるんでしょうね。だからこれだけ汎用性のある用語になっているわけですし。
捨てたいけど捨てられない富樫君とある意味でとても輝いている六花の関係がかなり好みです。

京アニは業界トップクラスの技術を持ってるのに、その位置に甘えず常に実験的・挑戦的な姿勢を保ってるのがすごいですね。こういうの、職人気質と言うんでしょうか。
おパゲーヌス
2012年10月08日 23:01
>ぽんずさん
先日、ふと思いついて高校時代の自由帳引っ張り出してみましたが、まさに今作の主人公が感じていた恥ずかしさをそのまま体感したような気分になりましたw 中学時代のモノなんか見返した日には死んでしまいたくなるだろうなぁ。もっと時間がたてば、いつか懐かしく感じるようになるんでしょうかね。思い出の品をゴミにしなかった富樫勇太の決断が、報われることがあるといいですね。六花ははやくアレを卒業したほうがいいとは思いますが^^

京アニはこれだけのクオリティの作品を定期的に、ほぼ自分たちだけの力で生み出し続けているのは驚異だと思います。職人気質というよりはもっと、体制作りや教育も含めた、経営のうまさがあるのかなぁと。

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