中二病でも恋がしたい! 第8話「二人だけの・・・ 逃避行」

十花さんはやっぱり、六花のことがうらやましいのだろうね。



まさかのシリアス展開に突入した前回からの続きで、第8話は冒頭から六花と十花の壮絶な姉妹喧嘩というクライマックスシーンから始まることになった。


六花はもちろん、十花にだって簡単には受け入れられないめまぐるしい現実の変化。つらいことが折り重なってきた際に、当時まだ子どもであり被保護者であった六花と、もう大人としての分別を有し長女として妹を守っていこうと決意しなければならなかった十花の違いが、この姉妹の間に距離ができてしまうひとつの要因であったのだろう。今回の二人の喧嘩は、物理的にはいつも通りに(いつも以上に)十花が終始優勢を保っていたが、しかし胸の内側に目を向けてみれば、十花のほうがずっと苦しそうに感じられた。


頑なに意地を張る六花の幼稚な姿勢を、自分がやりたくても出来なかったこととして、十花は羨んでいる。そして高校生になった六花に対して、そろそろ自分と同じ視点に立って、自分がこれまで一人で抱えてきたつらさを共に分かち合って欲しいと考えている。だから余計に、大人として現実を受け入れる義務と責任と苦しみを六花が拒否し続けていることに対して、十花は怒り、憎むのだ。それは十花のわがままであり、だからはっきりと言葉に出して要請することはできないし、ましてやそんなわがままな感情を自分自身が抱えていることに対して十花は失望しているかもしれない。今の彼女には、ただ分別ある言葉をカタチだけ並べ立てることと、実力行使で妹を従わせようと試みることくらいしかできない。他に何をしたらよいのか、十花には分からないのだろう。


六花の考えや行動に関しては、今回はやはり、勇太のほうがより正確に理解できていたと言えそうだ。六花だって現実と空想(願望)の境目くらいは理解している、空想が現実に立ち向かえないことくらい分かっている、そして分かっているからこそ「抗う」という行為が成立する。もし本当に世間とズレた感性を持っていたらどんな言動になるか、それは今回ちょうど くみん先輩と丹生谷の会話によく表現されていた。物事を知らないとか、非常識な感性を持っているとかいう場合は、もっと根本的な部分で会話が成立しないはずで、それに比べれば六花の振る舞いが「ごっこ遊び」の域をそれほど出ていないことは明らかであった。中二病のなんたるかを少しでも理解できていれば、十花はもっとちゃんと妹の意思をくみ取ることができたのかもしれない(逆に言えば、十花はどうしても六花の態度を認めたくないからこそ、いつまでたっても六花の言動を「またワケのわからないことを」の一言で済ましてしまうのだろう)。


六花の言う「不可視境界線」というのは、現実世界と空想世界との境目のことなのだろう。そしてこの場合の空想世界とは、邪王真眼とかの中二病設定のことではなくて(無論それも含まれているのだが)、もっと単純に、彼女の願望が実現される世界のことだ。境界線の向こうでは、元気な父がおり、母も姉も含めた一家団欒の光景が、かつて住んでいた懐かしい我が家の中で繰り広げられているのかもしれない。空を飛んだり魔法が使えたりというのは、お茶目な六花があとから付け足したオマケくらいのものだったのが、その付随物すら現実世界に浸食され始めたとき、自分の思い描く幸福を守るために、六花は激しい戦いに身を投じるのだ。




そんな六花が、改めて現実世界の事象に目を向け興味を抱く可能性があるとしたら、それこそ「恋」の領域意外にあり得なかった。これは第1話の頃から楽しみにしていたことではあったけれど、六花の中二病にこれだけ奥深い背景が付与されていたことが明らかになったことで、いっそう六花にとっての恋愛の意味や価値の描き方に注目したくなってくる。


今回、六花はほぼ初めて、勇太のことを異性として意識しているような描写が行われた。そしてここで注目したいのは、六花が恋する相手というのがダークフレイムマスターではなく、ただの人間としての富樫勇太であったということ。彼女くらいの中二病患者なら、勇太との思い出を自分の妄想世界に引き付けるカタチで思い出し、それこそ第1話で空から舞い降りたシーンからフラッシュバック映像が流れてもおかしくはなかったハズなのだけど、少なくとも今回に関しては、勇太とのたわいもないおしゃべり、オモチャのお披露目やコンビニでの買い食いなんていう場面ばかりが頭をよぎっていた。一時的にせよ妄想設定を忘れて、現実世界で出会った二人として、六花は勇太のことを意識していたのであった。ひょっとしたら今後この感情に中二病的な後付け設定が書き加えられる可能性はあるかもしれないけれど、この恋の最初の段階では、現実世界が強烈な存在感を放って、いとも簡単に六花の心の中に踏み込んできたという事実を、記憶にとどめておきたい。


六花が空想世界を大切にしてきたのは、そちら側にこそ彼女の願望が叶えられる希望があったからだ。けれどもし、空想世界よりも現実空間のほうにより大きな願望や期待を抱くようになったとき、中二病はいかなる変化を遂げるのか。ここからのヒロインの描き方が今作品の評価の大部分を占めることになるであろうから、これからの勇太と六花の関係がどのような進展を見せるのか、よく注目しておきたい。





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それでは、今回は以上です。


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