さくら荘のペットな彼女 第9話「秋の嵐がやってきた」&第10話「キライキライ、ダイスキ」

リタ&龍之介編。EDに登場してた謎の巨大ネコの正体も明らかに。


冬コミ用原稿が無事提出できたので、2週間ぶりの更新。アニプレッション vol.4 の詳細は後日お知らせできると思います。


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第9話&第10話は、英国からの突然の来訪者リタ・エインワーズが登場して ましろの帰国問題が浮上する中、ようやく顔を見せた龍之介も交えてさくら荘での文化祭出し物を制作していくエピソード。そしてその中で、空太は自分なりの創作活動の道に十分な手ごたえを感じさせるようになっていく。


ましろを英国に連れ戻すと息巻くリタだったが、空太と ましろが離れ離れになってしまうかもしれない危機感を煽るのではなく、ましろを始めとする天才たちを目の前にして自信を喪失する若い創作家たちの苦悩に焦点を当てたエピソードとなった。これは今作にとって永遠のテーマであるだろうし、現段階では空太と ましろの人間関係よりも、空太自身が創作活動をどのように捉えていくかという成長物語のほうが優先されていると言えるかもしれない。


リタの立場は、芸術に関する豊かな才能と情熱とを持った少女ということで、さくら荘メンバーに近い存在ではあえっるけれど、それぞれがバラバラの分野で才能を発揮しているさくら荘メンバーとは異なり、ましろとまったく同じ分野で戦おうとしていた点が、彼女にとっての不幸だったのかもしれない。まだ夢を諦めていた頃の空太でさえ、ましろの才能や世間の評価を知って目のくらむようなショックを受けていたのに、自分の大好きな絵画の世界で自分が絶対に敵わない才能を間近に見出してしまったら、筆を折りたくなる気持ちはよく分かる。龍之介や空太やましろと話をして、再び絵を描くことに向き合う決意を固めたリタだったが、友人として ましろを愛することはできても、彼女の才能に嫉妬し絶望しつづけるのは今後も変わりないのではないかと思う。それでも、血反吐を吐きながら ましろの才能に挑戦し戦い続ける道を、彼女は選択したのだ。「描くのが好きだから」という感情ですべてを片付けてしまえるほど、リタの決断は甘くはない。いろんな恐怖や苦痛や憎悪を抱えながら、そしてそれを捨て去ることが難しいと分かっていながら、それでも ましろの隣で絵を描くことを承諾したリタの心情を、劇中からくみ取るべきだろう。


リタが ましろに漫画を辞めて絵画の世界に戻るように説得するのは、最初はリタ自身が話していたように、ましろの絵画の才能をいっそう世に知らしめることによって、ましろに負けた自分自身の才能や努力への慰めにしようと考えていた。しかし今回のエピソードを通じて、ましろが漫画を辞めるように説得することそれ自体は変わらないけれど、リタがそうする動機には大きな変化があったはずだ。もしリタがまたキャンバスに向き合うことになっても、ましろが漫画なんかにかまけていたら何にもならない。リタが本気で大好きな絵画に没頭するためには、ライバルであり目標である ましろと競い合って、絶望的な敗北感に打ちひしがれながらそれを乗り越えていかなければならない。そうした苦難を受け入れてこそ、リタは自分の創作活動が完成すると考えていると思う。ましろが絵画を辞めて漫画の分野に移ったままでは、ましろさえいなければ良かったのにと考えたかつての自分の愚かしさを克服することができない。たとえ ましろに勝つことが難しくても、この天才を目の前にしても自分だけはいつまでも諦めずに描き続けようという決意を示すことが、リタが過去の自分を超克する唯一の道だ。そう思うからこそ、リタは相変わらず、ましろを英国に連れ戻し絵画の世界に復帰させようと説得を続けるのだろう。


ましろは漫画の世界に飛び込んだことで、リタが味わってきたのと同様の苦悩を抱えていてもおかしくはないと思うのだけど、空太との会話から察するにまだそこまで深刻な壁にぶち当たっているわけではなさそうだ。この点が、リタと ましろの微妙なすれ違いの一番の要因ではないかと思う。そういえば ましろは、担当編集からダメ出しを受けて困っていた場面はあったけれど、他人の描いた漫画を見て打ちひしがれる様子はまだ見せていない。他人の仕事に無関心でいられる性格が、漫画家としての彼女にマイナスに働く場面はあってもおかしくないし、そもそも彼女が漫画家を目指したきっかけとなる経験もあったはずで、このあたりのヒロインの背景は気になるところだ。TVシリーズではそこまで描写されない可能性は高いけど。文化祭でのさくら荘の企画は、様々な才能の持ち主を集めての合同作業であるので、絵画一筋で生きてきたリタにとっても、また他人の仕事に興味を持たない ましろにとっても、より広い視野で創作活動について考える良いきっかけになってくれるのではないかと期待している。




なお今回は、空太の頑張りがよく目に付いたエピソードでもあった。あの錚々たるメンバーを前に堂々と意見を披露できようになったのも素晴らしいし、その皆に認められてディレクターに就任してからも、プロジェクトの進行状況をちゃんと分析しながらなんとか役割をこなしているのは称賛に値する。反省点もいろいろ見えてきたようだし、プレゼンの良い勉強もできたし、なんだか空太の夢がぐっと現実味を増してきたようで嬉しい。リタを慰め励ます場面でも、空太の言葉はただ暖かいだけでなく、少しずつ重みを増してきた彼の自信や確信が伝わってきて、彼の大きな成長を感じさせるシーンになっていた。


見ていて勇気とやる気がふつふつと湧いてくるアニメとして、『さくら荘』は今季のラインナップの中でもひときわ光り輝いている作品だと改めて思う。




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それでは、今回は以上です。


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