ひだまりスケッチ×☆☆☆ 第2話
今週も面白かった。ED絵がいい感じ。
今回は新入生二人の紹介(といってもあまり出来てなかったけどw)と、ゆのとみやこが美容院へ行くお話。まったりとしたどこにでもありそうな日常の中から、ちょっと面白いことを巧みに拾い上げる、センス・オブ・ワンダーに満ち溢れた作品だ。
とくに美容院のシーンなどは、漠然と想像するだけではとても気付かないような、些細だが驚くべき発見がたくさん詰め込まれていて、たかが髪を切りに行くだけなのに、まるで冒険や探検をしているかのような面白さ。ここは、「あるある」なネタ(=日常)のなかに、初めて訪れる店であるというシチュエーションや、そこに双子の美容師がいた、などという非日常的なネタが混在しているのが、仕掛けとして非常に巧い。
前回の記事で、今作を「心ではなごみながら、頭はフル回転させられるアニメ」だと評した点について、ヨークさんからそうじゃねぇんだよ的なツッコミを入れられたので、一応この場でもって弁明したいと思う。
今作はストーリーやセリフやシチュエーション、あるいは人物描写のほとんどに関しては、心をなごませ、疲れをいやしてくれるタイプの作品であるというのは、これは明白なことだと思う。あくまでそれを前提とし、またその部分をしっかり楽しんだ上で、さらにもう少しじっくり画面を見ていると、そこで行われている演出上のアイディア、映像表現の巧みさに魅了される。心を休ませる一方で頭が回転させられるとは、そういう面についての言及である。
たとえば件の美容室のシーン。脚本を映像に起こしていく上で、他の作品なら漫然と描いてしまうであろう様々な描写において、今作の場合は極めて実験的で大胆な、ともすれば前衛的と評してしまいたくなるほどのアートを、我々の前に提示してくれている。髪を切るというただそれだけの行為をどう描いているか。この映像表現における発想の面白さ、大胆さが、和んで萌える作風の中に違和感なく取り込まれているというのが、今作の最大の特徴であり、魅力である。
これに近い発想の作品として、ディック・ブルーナの絵本を思い出す。かの有名な「ミッフィー」が出てくるあれだ。確か自分の子供の頃は「うさこちゃん」とかいうふうに翻訳されていたと思ったのだけど、ミッフィーという名前が定着してるんですよね。彼の絵本における一番の特徴は、原色や抽象的な図形を大胆に多用した、シンプルだが極めて芸術的なデザインだろう。子供向けの絵本であるにも関わらず、いやむしろ子供向けだからこそ、絵本の中にアートを持ち込もうとする姿勢は、大人になってから改めて考えると、じつに挑戦的な姿勢に映る。子供に理解できる単純でやさしい物語性と、大人が見ても驚かされるような現代アートの融合が、そこにはある。
シャフトの作りだす「ひだまりスケッチ」の世界も、それと非常に近いスタンスを持っている。何も考えずにのんびりと楽しめる和み系の日常ストーリー、それも確かに大きな魅力なのだが、しかしそれだけで作品を完結させていない。むしろ、そんな作風とは水と油のような芸術的感性をふんだんに取り込み、もうひとつの大きな魅力を築き上げることで、はじめて一個の作品として完成させている。そこを見ずして、どうしてこのアニメーションが「ひだまりスケッチ」たり得るであろうか。
シャフト演出とは、これすなわち奇抜さである、みたいな論調で作品が語られることが、よくある。けれど、何も新房監督はきまぐれで奇抜さを取り込んでいるのではない。アニメはストーリーだけ、あるいはキャラクターだけで成り立っているのではない。そうではなく、そこに絵や映像としての美的価値を追求するという姿勢、それこそがシャフト演出のひとつの特徴だと思う。ストーリー展開やキャラクターの心情を表現するための演出であるにとどまらず、それ単体ではなぜソコに描かれたのか、必然性のまったくない表現すらふんだんに見られるが、それをひとつのアートとして楽しむ姿勢が、視聴者には求められている。その部分を、切り捨ててはならない。
「ひだまりスケッチ」を見て、頭がフル回転させられると書いたのは、そういう意味合いがあった。実際、矢継ぎ早に繰り出される絵をいちいち追っていくと、本当に頭がショートしてしまいそうになる。しかしこの感覚は、美術館で多くの絵画や芸術作品に触れるのと、よく似ている。たとえ理解できなくても見ているだけで、心が豊かになる、と言ったら大袈裟に過ぎるが、しかし美的感性が少し研ぎ澄まされたような気分になるし、何より心から面白い。
キャラ同士の掛け合いから伝わってくる和みオーラと同時に、画面から受ける様々な刺激にどっぷり浸かってみるのも、いいと思う。

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今回は新入生二人の紹介(といってもあまり出来てなかったけどw)と、ゆのとみやこが美容院へ行くお話。まったりとしたどこにでもありそうな日常の中から、ちょっと面白いことを巧みに拾い上げる、センス・オブ・ワンダーに満ち溢れた作品だ。
とくに美容院のシーンなどは、漠然と想像するだけではとても気付かないような、些細だが驚くべき発見がたくさん詰め込まれていて、たかが髪を切りに行くだけなのに、まるで冒険や探検をしているかのような面白さ。ここは、「あるある」なネタ(=日常)のなかに、初めて訪れる店であるというシチュエーションや、そこに双子の美容師がいた、などという非日常的なネタが混在しているのが、仕掛けとして非常に巧い。
前回の記事で、今作を「心ではなごみながら、頭はフル回転させられるアニメ」だと評した点について、ヨークさんからそうじゃねぇんだよ的なツッコミを入れられたので、一応この場でもって弁明したいと思う。
今作はストーリーやセリフやシチュエーション、あるいは人物描写のほとんどに関しては、心をなごませ、疲れをいやしてくれるタイプの作品であるというのは、これは明白なことだと思う。あくまでそれを前提とし、またその部分をしっかり楽しんだ上で、さらにもう少しじっくり画面を見ていると、そこで行われている演出上のアイディア、映像表現の巧みさに魅了される。心を休ませる一方で頭が回転させられるとは、そういう面についての言及である。
たとえば件の美容室のシーン。脚本を映像に起こしていく上で、他の作品なら漫然と描いてしまうであろう様々な描写において、今作の場合は極めて実験的で大胆な、ともすれば前衛的と評してしまいたくなるほどのアートを、我々の前に提示してくれている。髪を切るというただそれだけの行為をどう描いているか。この映像表現における発想の面白さ、大胆さが、和んで萌える作風の中に違和感なく取り込まれているというのが、今作の最大の特徴であり、魅力である。
これに近い発想の作品として、ディック・ブルーナの絵本を思い出す。かの有名な「ミッフィー」が出てくるあれだ。確か自分の子供の頃は「うさこちゃん」とかいうふうに翻訳されていたと思ったのだけど、ミッフィーという名前が定着してるんですよね。彼の絵本における一番の特徴は、原色や抽象的な図形を大胆に多用した、シンプルだが極めて芸術的なデザインだろう。子供向けの絵本であるにも関わらず、いやむしろ子供向けだからこそ、絵本の中にアートを持ち込もうとする姿勢は、大人になってから改めて考えると、じつに挑戦的な姿勢に映る。子供に理解できる単純でやさしい物語性と、大人が見ても驚かされるような現代アートの融合が、そこにはある。
シャフトの作りだす「ひだまりスケッチ」の世界も、それと非常に近いスタンスを持っている。何も考えずにのんびりと楽しめる和み系の日常ストーリー、それも確かに大きな魅力なのだが、しかしそれだけで作品を完結させていない。むしろ、そんな作風とは水と油のような芸術的感性をふんだんに取り込み、もうひとつの大きな魅力を築き上げることで、はじめて一個の作品として完成させている。そこを見ずして、どうしてこのアニメーションが「ひだまりスケッチ」たり得るであろうか。
シャフト演出とは、これすなわち奇抜さである、みたいな論調で作品が語られることが、よくある。けれど、何も新房監督はきまぐれで奇抜さを取り込んでいるのではない。アニメはストーリーだけ、あるいはキャラクターだけで成り立っているのではない。そうではなく、そこに絵や映像としての美的価値を追求するという姿勢、それこそがシャフト演出のひとつの特徴だと思う。ストーリー展開やキャラクターの心情を表現するための演出であるにとどまらず、それ単体ではなぜソコに描かれたのか、必然性のまったくない表現すらふんだんに見られるが、それをひとつのアートとして楽しむ姿勢が、視聴者には求められている。その部分を、切り捨ててはならない。
「ひだまりスケッチ」を見て、頭がフル回転させられると書いたのは、そういう意味合いがあった。実際、矢継ぎ早に繰り出される絵をいちいち追っていくと、本当に頭がショートしてしまいそうになる。しかしこの感覚は、美術館で多くの絵画や芸術作品に触れるのと、よく似ている。たとえ理解できなくても見ているだけで、心が豊かになる、と言ったら大袈裟に過ぎるが、しかし美的感性が少し研ぎ澄まされたような気分になるし、何より心から面白い。
キャラ同士の掛け合いから伝わってくる和みオーラと同時に、画面から受ける様々な刺激にどっぷり浸かってみるのも、いいと思う。

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