君に届け 第25話(最終回)「新年」

あぁもう、可愛いって言っちゃえよ、このヘタレ!!




・それぞれの新年


カップルで過ごすイベントと言えば定番のものは多いけれど、恋愛を扱った作品にしては随分と地味な絵づらのイベントで締めた「君に届け」最終回。爽子と風早の二人を中心にしながら、何気にうまいことカップリングを作ってサブキャラたちを登場させた。主役二人の純真な恋だけでなく、各人各様の”幸福”をしっとりと描いてくれたエピソードで、おだやかに、心温まる幕引きだった。


みかんを食べる黒沼夫妻や、願い事の絵馬を見せ合う胡桃沢などはとくに印象的だったのだが、一見、手放したくない幸福(爽子パパの場合は愛娘、くるみちゃんの場合は風早)を取り逃してしまったように見える彼らにも、新しい年はやって来るし、新しい幸福も、新しい希望もちゃんと訪れる。そんな光景に、人生の機微を描いて見せたエピソードだったと思う。


息が詰まるようなドキドキ感を味わわせる恋愛ドラマとしては、前回がクライマックスだったと言えよう。今回はその余韻に浸りながら、改めて爽子が募る想いを自覚するところでドラマをとどめて、二人の関係をこれ以上進展させなかった。これはもちろん原作との兼ね合いもあるのだろうが、同時に、あえて描かれなかった顛末への予感や期待を、巧く視聴者自身の手で膨らませるような構成だった。第1話からずっと、あまり急ぎ過ぎないで丁寧に展開させてきたドラマだからこそ、いい余韻を残せたな。お見事でした。




・愛を捧げよ 幸せあり


届いたか、届かなかったかで言えば、まだまだ届き切ってはいないお互いの想い。けれど、君に”届け”と願う爽子の気持ちは、完全に固まった。


愛を捧げよ。思えば風早は、爽子がその人間性をことごとく殻に閉じこめてしまっているのを知ったときから、少しづつ丁寧に丁寧に、爽子を覆い尽くす殻を取り払ってきたわけだが、その姿はまさに「君に届け」と願いながら愛を捧げてきたものだった。爽子にその愛がちゃんと届くまでにはもう少し時間がかかりそうだが、短気を起こさず、心からの愛を捧げ続けるしかないだろう。


よく、「恋は奪うもの、愛は与えるもの」と言われることがある。誰がどういうシチュエーションで言った言葉かは知らないが、もしその言葉が一片の真実を言い当てているのだとしたら、こんどは爽子が、風早に愛を捧げる順番になるのだろう。帽子を作ってあげたのはその第一歩だと思っただけに、オヤジに奪われてしまったのが残念で仕方が無いが、まだまだ機会はたくさんある。その希望をたっぷり予感させてくれたトコロでの、見事な引き際だった。


別れ際に、ふっと振り返った風早の真剣な瞳。降り積もる雪景色を背景に交錯する二人の視線には、言葉では語り尽くせない様々の想いが、去来しているようだった。きっと風早は、いますぐにでも爽子に想いをぶちまけたくなるのを、必死でこらえていたのだろうなぁ。手に余る恋愛感情で頭も胸も一杯になっている爽子を、どことなく寂しそうに見つめる彼の視線は、切なさと、期待と、不安とが入り混じったものに見えた。




まぁ、風早はもう少し、プッシュしても良さそうなものだけどねw 矢野たちと同じように外から二人を眺めてると、もういいから早く付き合っちゃえよと言いたくもなる。だからこそ風早は矢野からヘタレ呼ばわりされたのだろうw だが、そこはこの二人のこと。とくに爽子は急ぎ過ぎると目を回すだろうから、マイペースに恋を育むのがいいのだろうね。


最終回にして改めて、そんなことを思ったのでした。




・シリーズ感想


とにかく毎週毎週、心臓をドカンと撃ち抜いてくるような作品で、心の底から楽しみはしたけれど、でもほとほと降参したくなる作品でもあった。恋愛ドラマって嫌いなんだよぉ・・・。なんかこう、自分の幸福とかとうに諦めてる身からすると、もう世界なんか滅んでしまえばいいとか、思いたくなるじゃない?w


それにしてもつくづく見事なアニメでした。恐らく原作自体が相当素晴らしいのだろうけれど、それをアニメとして起こす手腕も本当に見事というか。前述の通り比較的ゆったりとストーリーを進めてくれたおかげで、非常に濃密で、かつ丁寧なドラマに仕上がっていた。たしかほぼ全話を通して女性の脚本家だったと思うが、その感性も大いに活かされていたのではないか。


爽子のような純朴すぎるキャラって、描くのがすごくむつかしいと思う。ともすればふざけてるようにしか見えない陳腐なものになりかねないし、また冗長に感じられることもありそうだ。だが、今作の場合はまるで魔法のように、爽子の感じる時間の中に視聴者を取り込んでしまって、いったい何が起こってるのかと思ってしまう。爽子自身が底抜けに”いい奴”で、つい応援したくなってしまうキャラだという理由が大きいだろうが、それにしたってやはり描写力とセリフの妙に尽きる。見事だった。



それに映像面も素晴らしかったな。それほど徹底して描き込んでいたわけではなかったけれど(そもそもそういう作風じゃない)、その分ここぞというときの、草花とか、星とか、雪とかを使いながらの画面装飾は息を飲む美しさがあったし、キャラの感情が高ぶった時の演出も毎度毎度素晴らしかった。そして何より、爽子の笑顔と風早の笑顔を、最高に魅力的に描けていたのが、何よりの勝因だと思う。その笑顔もいろんな場面に応じて千差万別の魅力があって、そのたびに呼吸を忘れてときめかせていただきました。




このアニメがもう終わってしまうというのが残念でならないが、現代に舞い降りた天使とも言うべき爽子が巻き起こす「きみとど」ムーヴメントは、実写ドラマ化を控えてまだまだ加速していきそうだ。販売戦略が当たれば次のアニメ化企画も十分ありえるそうだし、何よりこれほど素晴らしい作品を、一人でも多くの人に見知ってもらいたい、共有したいと、心からそう願える作品でした。たくさんの人に、届いて欲しい。




・さいごに、キミトドへの最後のツッコミ


2期が見たければお布施を、というのはごもっとも。それから美声を披露してくれた上田アナ、レギュラー獲得おめでとうございます。いままで恥を忍んで頑張った甲斐があったようですね。


でもさ、、、


その番宣、「きみとど」関係ねぇだろーーーっ!?


最後の最後まで雰囲気クラッシャーなコーナーだったなぁ。いや、後半はそこそこ有益な感じだったんだけど、最終回で余計なことをやらかすから台無しです。もうちょっと工夫して欲しかったよ・・・。




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それでは、以上となります。お付き合いくださりどうもありがとうございました。



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