Angel Beats! 第3話「My Song」

「クロノ・クロス」とラジカル・ドリーマーについてちょっと長々と。




・紛うことなき神回でした


今回は、歌に人生の全てをかけた少女の戦いを通して、運命に抗い生きるという行為を見つめたエピソード。ガルデモの超絶素晴らしいライブシーンや、極めて秀逸で感動的な脚本、またここにきて大きく見つめ直す必要の出てきた謎の捉え方など、見どころ満点の、見事過ぎる神回だった。


なんだかんだで賑やかな終わり方をした第1話、コミカル演出とヒロインのかっこよさを前面に押し出した第2話に比べて、「神(=運命)に抗う」というSSSメンバーの生き方のひとつの典型を提示すると同時に、強く儚い彼らの生き様の悲哀に真正面から取り組んでみせた今回のエピソードは、今作がやりたかったこと、見せたかったことを、ちゃんとやって見せた回であったと思う。


今回のエピソードを通して我々は、この作品が描こうとしている”人生賛歌”というテーマに初めて直接触れることになった。また、ギャグとかラブコメとかいう表面上の魅力ではなく、今作の持つ本質的な面白さがどこに存在しているか(させようとしているか)という点も、初めてはっきりと受け止めることになった。実質的に、ここからようやく「Angel Beats!」という作品がスタートを切ったと、言っていいのではないだろうか。




・「ラジカル・ドリーマーズ」


今回提示された岩沢の(ひいてはSSSメンバーの)目指す生き方を見て、往年の名作RPG・「クロノ」シリーズを連想した。スーファミ世代でなくとも、「クロノ・トリガー」は多くの人がプレイ経験あるのではないかと思うのだけど、分かるよね?w


「クロノ・トリガー」は、滅亡が決定付けられている未来を、タイムマシンを使って変革しようとする物語だった。そこでは、未来の希望を強く信じようとする若者が、未来は絶対に明るいものでなければならないと、頑なに信じて奮闘する冒険活劇が描かれた。一方、続編にあたる「クロノ・クロス」では、そうして無邪気にも否定された本来の未来が復讐にやってくる物語で(いや、ホントはなんかもっと複雑なんだけどw)、歴史や運命といった得体のしれない潮流に対して、一人ひとりの人間がどう立ち向かっていくかという姿を真摯に描いていた作品だった。


その「クロノ・クロス」や、あるいはクロスの前身となった無名のゲームでたびたび言及されていた単語が、「ラジカル・ドリーマー」だった。直訳すれば、急進的な夢追い人、とでもいったトコロだろうか。




夢というのは、本来は実現不可能なものであると、私は思う。実現可能な到達点は「目標」と呼ばれるべきで、どんなに努力しても実現できないものを「夢」と呼ぶのが妥当なのだと、思う。たとえば岩沢が将来の自分を思い描いたとき、努力と根性で突き進んでいた間は、歌手になるのは「目標」であったが、声を失ってしまってからはそれが、到達不可能な「夢」に変貌した。


仮にそういう定義付けをしたときに、「ラジカル・ドリーマー」という言葉は、これほど虚しさを感じる語はない。急進的に、過激に突き進んだとしても、夢を追っている限り、その努力は報われることはないのだから。しかし、そんなことは百も承知で、それでも夢を追うのだと決意して生きる人を、尊敬と嘲笑の意味を込めて「ラジカル・ドリーマー」と呼ぶのだと思う。


そんなふうに「目標」とか「夢」とかいう言葉を定義づけるのは、ただのこじつけだと思われるかもしれない。しかし、「クロノ」シリーズで描かれていた「ラジカル・ドリーマー」の姿は、まさにそうした意味での「ドリーマー」だった。自分の前に拓けている可能性の中から”選択”をするのではなく、断崖に橋をかけ、岩山をくり抜いてでも、自分で信じた自分だけの道をがむしゃらに突っ走っていく。それが「ラジカル・ドリーマー」の姿である。




「Angel Beats!」で問題にされる”生き方” ”人生”も、これとまったく同じことを扱っているのではないかと思う。神に抗うということは、ちっぽけな人間のチカラではどうしようもできない運命に、抗うことである。それはきっと、あまりにも無謀で無意味な、馬鹿げた挑戦なのだと思う。しかしその運命に敢然と立ち向かう姿を描くのが、今作の掲げる”人生賛歌”なのだろう。


一度は運命の手によって閉ざされた夢を実現してみせた岩沢の姿は、「ラジカル・ドリーマー」の呼び名にふさわしい。そうして彼女が到達した地点には、彼女の追い求めたものが、平和と平穏が存在しているのだろうか? それは現時点では誰にも分からないが、しかし一人の夢追い人の姿を通して、この世界の意義、この作品の意義がかなりはっきりと見えてきたことは、間違いないだろう。




今回こうして、この学園で生きることにひとつの回答が提示された。今度は、音無やゆりが、この問題に挑戦することになるのだろう。彼らの生き様を真に描ききることができるかどうか。今後の「Angel Beats!」の展開に、大いに期待したい。



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それでは、今回は以上です。




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<追記>

ラジカル・ドリーマーと、「クロノ・クロス」の前身のゲームについては、こちらのサイトさまが詳しいです。↓
ラジカル・ドリーマーズの小部屋

ずいぶんと古いサイトさまですが。自分はこのHPを読んで、クロノクロスをプレイしようと決意しましたw キッドぉぉぉぉ!

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