閃光のナイトレイド 第4話「カメラと包子(パオズ)と野良猫と」

まさかの野村祐一脚本!




・今回のお話と、脚本について


今回は派手なスパイアクションはひとまずお休みして、葵と葛にスポットを当てながら、日常を通して見えるパートナーシップを描く回。仲が良いのか悪いのか分からないデコボココンビだが、まるで息が合っていないのにここぞという場面でぴたりとシンクロして見せる二人の奇妙な関係を、小劇の中で巧みに描いて見せた。


今回の脚本は私の大好きな野村祐一氏が担当。視聴者の胸の奥にスっと入ってくる絶妙なセリフ回しと、それを引き立てるドラマティックな構成力を大いに買っている脚本家だ。今回のエピソードでも、手堅く引き締まった構成に職人技を感じさせる一方、さりげないタイミングでドキリとさせるセリフを挿入してきたりと、存分に”巧さ”を発揮していた脚本だったのではないか。


しかし惜しむらくは、このアニメについて回る地味な印象を払拭できていないという点。この地味さは味でもあるのだけれど、ストーリーの本筋にそこまで絡まない今回のようなエピソードでは、脚本も映像演出も、もっと冒険して欲しかったなぁと思う。脚本担当者にとって自由度の高そうなエピソードに見えたので、手堅くまとまりすぎていた印象が強かったのが、ちょっともったいないなぁ、と。


正直、EDで野村祐一の名前がクレジットされているのを見て、意外に思ってしまった。それは前回までの脚本もかなり質が良かったこともあって、野村氏だからといって抜群に優れているという印象が無かったというのもあるが、同時に、少々窮屈な作劇に見えてしまったというのもある。確かに巧いのだけれど、それは技巧的な巧さでまとめあげていた印象。素人がこんなことを言って、怒られそうですが^^ 


もし、もっとキャラクターの内面をぐっと掘り下げて描く回で野村氏の脚本があったら、嬉しいのだけど。どうかなぁ、無いかなぁw




そういえば、今作の場合、”シリーズ構成”ではなく”メインライター”という名目で大西信介の名前がクレジットされているけれど、どんな役割の違いがあるのだろう? 大西氏もDTB等でいい脚本を書いていたので、安心して期待してはいるのですが、役割に関してはなかなか興味が尽きないところ。




・中国の行く末を決めるのは、誰か


今回は、まぁ日常描写に終始した回だったので、現時点ではそこまで大きくストーリーが動いた気配は無い。しかし気になる点がまったく無かったわけでも、ない。


とくに自分が注目したいのは、桜井機関とそれに属する主人公たちが、どういう意図や信条で動いているか、というもの。これは第1話から問題にされてきたことで、今回も葵と葛の口論の中で、一瞬、取りざたされそうになった話題だ。




彼らが日本のスパイであることはまず間違いないと思われ、公式サイトのストーリー紹介にも、彼らが「日本陸軍の」スパイ組織であるように読める。


しかし劇中の描写から明らかなように、主人公たち4人は最初からスパイになるべく訓練された者たちではなく、たまたま(?)特殊能力を持っていたから抜擢された、半アマチュアと言っていいレベルのスパイだ。ミッションをしくじったり無名の敵にあっさり出し抜かれたりする描写は第1話から何度も見せられたし、葵なんか、拳銃を置き忘れてきたりする等、スパイとしての力量を疑問視したくなる場面はいくつもある。


今後の展開として推測できるのは、彼ら4人がこの未熟さゆえに、実務ではなく思想信条によって悩み、葛藤する様子が描かれるのではないかということだ。とくに今作の舞台は、日本が大陸での権益を拡大しようとしている最中に設定されている。わざわざ1931年という年代に設定した意図も明確にあるはずで(無いわけがない)、そこから、日本という国家が当時の国際社会とりわけ中国に対して及ぼした影響を、主人公たちがどのように見て、考えたかを描くということは、十分に考えられる。


そこで、彼らが”にわか仕立ての”スパイであるという設定が、生きてくるのだろう。全身全霊を国家に捧げたような人物ではなく、今回葵がぽろっと口にしたような考えを持っている人物が主人公に設定されているということ(葛も制止はしたがマトモな反論は加えていない)。そこに、今作が非常にデリケートな問題を扱おうとしているらしいことが見て取れるし、そこから、現代に生きる視聴者に何か重要なメッセージを提示してくる可能性が十分にあることを指摘できるだろう。


いやはや、こうしたテーマをTVアニメでのん気に扱っていいものかどうか、楽しみというよりはむしろ不安と怖さで一杯になってくるのだが、しかしやろうというのだから、その限界がどこにあるかを見極める意味も含めて、今作の行く道を見守っていきたい。




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それでは、今回は以上です。


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