Angel Beats! 第13話(最終回)「Graduation」&シリーズ感想

最後まで想定外だったなぁ^^ いや、面白かった




・笑顔と、泣き顔と、感謝の卒業式


予告通りの卒業エンドとなった最終話。いったいどんな卒業式を見せてくれるかなぁと思ったら、意外とまともだったw


その前に、まず女子2人のキャラがすっかり変っちゃってるのは、ご褒美とはいえ、ちとあざといw 可愛かったけどねん。なんか今回の描写を見てて、やっぱりゆりは日向に気があったんじゃないかなぁと思ってニヤニヤさせるシーンもあって、モジモジと照れて見せたりユイのように大暴れして見せたり、果ては無駄に素足(※地面に足が届いてない! 萌えのために足の長さを変えたか?w GJだった)なんか出しちゃったりして、とにかく最終話でこんなにも萌えるゆりっぺを見せつけられるとは思わなかった。


もちろん、かなでちゃんの描写も変わりすぎてたなぁ。鼻歌を歌ってたのにまずビックリだったけど、本格的にあそこまで天然ボケをかますキャラになるとは。ゆりも かなでも、さすがに違和感があったw


せっかく女性陣が心機一転したところでお別れしなければならないのは惜しいが、しかし卒業式の描写はなかなか良かった。まるでおままごとみたいな卒業式を、半分は真剣にロールプレイしてみせる5人の、寂しくて、切なくて、でもどうしても笑っちゃう可笑しさがあって、そんな中でだんだんと感情が高ぶっていって・・・。「仰げば尊し」のヘタクソな合唱にまた笑わされてw 視聴者をうまいことキャラクター目線に引き込んでいく、いい作劇だったなぁ。




消える順番はそのまま、作り手が考えるキャラクターの重要度。ということで直井が真っ先に消えるのは当然として(でも彼の消失シーンが一番、うるっときた)、次に消えたのがゆりっぺだったのは、実はすごく納得してしまった。単純に、日向>ゆり、という構図は断定できないとはいえ、”音無の物語”における役割は、ゆりっぺよりも日向のほうがずっと大きかった。日向の存在意義を振り返れば、彼がゆりよりも後回しにされ、しかも男の友情をぐっと感じさせる清々しい消え方をしてみせたお得感は、大いに納得。普通にゆりっぺよりも日向が先に消えると思ってただけに、嬉しい誤算だった。




・かなでの未練とタイトルの意味


日向まで消えてしまったところで、いよいよ次はかなでと音無の順番になったわけだが、ここで音無からまさかの提案。「愛が芽生えれば、この世界は楽園に変わる」と前回指摘されたばかりだったのに、さっそくこういう大事な場面でそれを想起させるセリフを吐かせるとはね。いままで音無がかなでに惚れるタイミングがあったかどうかが疑問なのは、まぁ言っても仕方の無いことw


いままで、かなでの過去がどうだったのか、彼女の未練は何だったのかと、ずっと疑問に思われていたことが、ここで最後の最後に回収された伏線となった。タイトルの意味までも伏線として一気に疑問を氷解させる展開のさせ方には、なかなかのカタルシスがあった。直前の「ひょっとしてかなでの未練って卒業式に参加できなかったことなの?」と思わせるミスリードが、非常に巧いアクセントになっていたと思う。


それに、彼女はこの死後の世界で何度も親しい人を消失へと導いてきたことが以前示唆されていて、それがなんだかとても寂しいことのように語られていたから、そんな想いをしてまで彼女が自主的にここに留まり続けた理由が、ただ音無に「ありがとう」を言うためだったとは、泣かせる。それも、気付いたときにいつだって言えることなのに、今の今まで黙っていたっていうのがね。無口な彼女の最大の愛情表現だと思ったし、だからこそ、音無と愛し合えるのならあえて「ありがとう」を言わずにとどまり続ける選択肢もあっただろうに、最後まで、音無のやろうとしていることを完遂させた。踏みとどまろうとする彼への、これ以上ない激励。愛するからこそ切ない選択をあえて選んで見せた彼女の心意気に、強く胸を打たれるシーンだった。


ちなみにこのあたり、かなでが先に消えて音無が一人残されると予想できたあたりから、私は、一人になった音無はずっとこの世界に留まる可能性もあるなぁと思っていた。けれど、かなでにここまでやらせておいて、消えないわけにはいかなくなったなぁ。EDで無事消失を果たし、Cパートで新たな人生を歩んでいるらしい音無の姿は、あまりにも清々しい余韻を響かせる。いい最終回だった。




そういえば前回、愛のためにこの世界に留まる決意をし、しかし一方でこの世界の抱える致命的な欠陥を是正するプログラミングを施した人物についての言及があったが、この謎の人物と かなでの関連性について考えると、いろんな妄想が膨らむ余地がある。面白い設定だなぁw 謎の人物=かなで、ということはほぼあり得ないけれど、道の選び方次第では十分そうなり得るだけの理由が、かなでにも、そして音無にもある。今回、あえて音無がちゃんと消失したことを見せないで終わったほうが、無駄に視聴者を混乱させて面白い幕引きになったと思うのだけど、どうかなぁw でもやはり麻枝氏は、そんな混乱要素よりも二人の愛を重視したということか。




・シリーズを通しての感想


さて、さんざん問題視され議論が沸騰していたこの作品も、ようやく終わりを迎えることになった。最後まで見て素直な気持ちを言えば、面白かったかどうかは別として、とにかくよくやりきったなぁという印象。


実際、作品の出来映えは決して良くは無かった。序盤の頃は主に作画面で、中盤以降はストーリー展開やキャラの描き方、世界観設定等の脚本面で、様々な物議を醸し、ともすれば痛烈な批判を浴びていた。それに対して、あくまで肯定的に汲み取ろうとする意見や、麻枝准という作家の特殊性に言及する意見などもあって、自分自身、アニメというものをこれほど考えさせる作品はなかなか無いなぁと思いながら、なんとかついていこうと必死に視聴してきたつもりだ。


とくにやはり注目しなければならないのは、全話脚本を担当した麻枝准の手腕。


例えば今回だけとってみても、音無による答辞にせよ各キャラの辞世の言葉にせよ、いままでの話数で体感的に描いてこなかった各キャラクターの想いを、こういう形でセリフでまとめてしまって「あとは脳内補完でヨロシク」と突き付けてくるのは、共感性がさっぱり薄いという点で物語として大きな痛手だった。




私の個人的な推測だが、今回の企画で麻枝氏は、30分ごとにぶつ切りにされるエピソードが1週間も間を空けて放映されるというTVアニメのスタイルを、少し過敏に意識しすぎたきらいがあったように思う。


これだけ複雑な設定やストーリー展開を見せる作品である。ともすれば冗長になりすぎてしまったり、あるいは1週間経って視聴者が興味を失うことにでもなったら、これは大きな損失だ。


とくに冗長になりすぎないように、というのはたぶん相当気を使っていたと思われる。今作の展開は、終盤に入る前まではおよそ3話前後の尺で展開を分けておいて、それぞれのエピソードの中で ①コメディ→②ミッション→③ドラマの決着と、設定を少し明かす。 ―といった構成を繰り返していた。こうすることで短いスパンの中でドラマを見せ、視聴者の興味を失わせないようにしていたのだと思う。わずか13話の中でそうコロコロと章分けしなくても、ちゃんと視聴者はついてきてくれると思うのだけど、このあたり麻枝氏は自信が無かったのではないか。ゲームなら多少長い尺のエピソードがあってもさほど問題にはならないが、各話の間に7日間ものブランクを入れなければ先に進めないTVアニメでは、視聴者を飽きさせないよう配慮してこのような構成をとったのではないか。


またその中で、ギャグやアクションにかなりの尺を割いてしまったのも、同じ動機からだと思う。まず間違いなく今作のドラマは、各キャラクターの心情の掘り下げ方が大雑把で、そのためにせっかくの”泣き”展開でもさほど共感を生めなかったというのは、紛れもない事実である(もちろん、人によって差があるが、脳内補完にも限界はあるw)。だからギャグやミッションクリアに割く時間を、それがキャラ描写に必須のものなら別だが、ただビジュアル的な楽しさを追求するためのものは、これをもっと減らしてその分キャラクターのドラマを描く選択肢も、当然あったはずだ。だがここでも、毎週ある程度のエンターテイメント性を提供しなければ視聴者が離れて行ってしまうという意識が働いた面は、あったのではないかと思っている。


むろんこんなものは、麻枝准という作家をほとんど知らない私の勝手な推論に過ぎないので、真偽のほどは分からないし乱暴で失礼な物言いであるかもしれない。しかしもしこのような事情が少なからずあったのだとしたら、これは脚本家の判断で容易に改善しうる部分だと思われるので、また次に麻枝脚本でアニメが作られることがあれば、今回の反省をぜひ活かして欲しいところ。


そもそも麻枝氏は、アニメの脚本については初挑戦だったはずで、至らない点が様々あるのは仕方が無い。あれだけのファンがついている書き手だから、次にやるときはもっと上のものを提示してくれるだろうと期待させる人物だ。作品のテーマ性や作風が趣味に合うかどうかという点で嫌われる可能性はあっても(私の趣味にはちょっと合わなかった。前回記事参照)、それ以外の点ではやはり、注目に値する人物だと思う。






なにより、今作は非常に冒険をした作品だ。放映されるアニメの全部が、視聴者の考える”完成された作品”になってしまったら、そんなものに面白味はまったくないと思うし、それを目指した時点でアニメという文化は終焉すると断言できる。創作物は、より良い作品を提供しようという意識も大切だが、同時に、今までにないものを創造しようという冒険心、意欲が、非常に大切だ。その姿勢を失ってしまったら、どんなエンターテイメントも芸術も、待ち受けるのは死しかない。そういう意味でこの「Angel Beats!」という作品は、アニメの可能性を模索する貴重な一手であったし、そこを高く評価したい。


ただしあえて苦言を述べさせていただくなら、私としては、もっと暴走して見せても良かったと思う。今作は非常に冒険的な企画であった一方で、その意気込みに応えうるだけの脚本が提供されていたかと言えば、おおむね可ではあるものの、一定の否を認めざるを得ない。それは前述の通り、視聴者の関心を惹きつけることを意識するあまり、100%あるいはそれ以上の熱量を込めることができなかったのではないかと邪推させてしまう要素が、かなり目に付いたのが理由だ。


やりたいことをやりきった先に”成功”を生み出そうとするのか、それとも”成功”を収めようと企図するなかにやりたいことを込めるのか。その差は雲泥の開きがある。セールスに結びついた分野だからあまりこういうことを言っても仕方の無いことではあるが、しかしやはり視聴者としては、まず作り手が”やりたいこと”ありきで奮闘した結果を提示してくれるほうが、よりエキサイティングだと思うのだ。「AB」はもっと滅茶苦茶でもいいから、もっと冒険して欲しかった。そんな叶わぬ夢を想って、今作との良き付き合いを終わりたいと思う。



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それでは、以上となります。どうもありがとうございました。



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