アマガミSS 棚町薫編 最二章「トマドイ」

笑い死にしそうだった。傑作回。




・青春の幸福の全てを詰め込もうというのか


いやぁ、なんだか素晴らしいです、薫編。こんなに見事なエピソードに仕上がっているのは、原作との兼ね合いは分からないが、もともとのプロットがまず安定した魅力があって、それを脚本家が巧く活かせているのだろうなぁ。


多少、前後の繋がりにラグを感じるセリフは散見されたけれど、「その展開はねーよ!」とツッコミを入れたくなる森島先輩のエピソードに比べて、もっとずっと真っ当に恋愛ドラマとして構成されているのがまず特徴。そしてそういうプロットを作品化するにあたって、今度はディテールの面で脚本家の力量が存分に発揮されていると見て良さそうか。主役二人の心情のやりとりにおいて、丁寧で魅力的なセリフ回しがじつに良い。


それにしてもこの作品は、「青春」という言葉に込められた極めて広範なイメージの憧憬を、ことごとく詰め込んで描き切って見せようとするかのようだ。むろんそこに描き出される青春は空想の産物に過ぎないのだが、だからこそ視聴者(とくに青春を遠くへ置き去りにしてきた男性諸子)に極上の快楽を与えてくれる。ユートピアという言葉がとうにその輝きを失って久しいが、外見上の性質を重視して建築された理想世界ではなく、精神に快感を与える内面世界としてのユートピアを、「アマガミSS」という作品で生み出そうとしているかのようではないか。




・艶のあるアニメーションは健在


健在、どころの話ではない。今回ほど色っぽいアニメーションって、しばらく見たことがない。ファーストキス、ヘソキッス、スカートでの肩車と、シチュだけ並べたら思春期の妄想みたいだが、しかしじつに扇情的なアニメーションが展開されることで、これらのシチュエーションが極上の甘味を備えることになった。


アニメーションにおいて視聴者にエロスを喚起させたいと思うのならば、扇情的なポーズや構図の妙で魅せるか、あるいは視聴者の視線や意識をある限定的な地点(例えば、おへそやスカートの内部)に向けさせることになる。そしてそこに作り手の力量やセンスがはっきりと問われることになるわけだ。ただ見せれば良いというものではなく、じつに芸術的なアプローチが求められるエロは、奥が深い。


今回は、そのセンスが抜群に良かったと思う。画面の中から女の子の息遣いや体温までもが感じられそうに錯覚してしまう描写力は相変わらず見事だが、そこにポージングの妙、ディテールへのこだわり、演出力の高さが発揮されていた。例えばヘソキッスのシーンでは、まずヒロインが男に跪(ひさまず)くように言う時の表情やアングルが、見る者の劣情を強く刺激する。そしてスカートの中からシャツの端をまくり上げるカットでは、腕の動かし方やシワのつき方がじつに生々しく、興奮は極大に達する。そしてそれが、片手で服を持ちあげ、もう片方の手で少しスカートをずり下げながら、芸術的なお腹のラインを露わにしたヒロインの扇情的すぎるポーズに帰結する。


動画としての魅力、静止画としての魅力、そしてそれらをつなぎ合わせる演出、この3点が見事に噛み合った、素晴らしい描写だったと思う。同じことが、ファーストキスの場面とか、肩車をしてシャトルを取るシーンでも存分に行われている。非常に高い熱意の下に制作された回だったのではないのかと。




・大きく反転しそうなドラマに期待


今回はもう本当に、橘純一と棚町薫の急接近を、思春期らしい罪悪感たっぷりなムードをふんだんに盛り込みながら甘酸っぱく描いたエピソードだった。言って見れば幸せの絶頂を目指して登っていき、8合目か9合目まで辿りついたというタイミング。


しかしそこで、薫が母親の不倫現場(?)を目撃するという、予想もしない方向への展開で衝撃的に幕を引いた。そうやすやすとカップル成立はさせないぞ、ということなのか、それとも薫が自棄になって、純一との間に倒錯的な愛を求めることになるのか。この終わらせ方だと、次回色々な可能性が考えられそうで、どうなるかまったく予断を許さない。


個人的には、ただ若いカップルのニヤニヤシーンを並べられるよりも、青春とは何か、幸福とは何かと、根幹的な問いかけを深く追求する姿勢があったりすると嬉しい。とくに薫は母の姿を見て、男女の仲というものに対するある種の嫌悪感を抱いているはずで、それがどのように作劇に活かされるのか、よく注目しておきたい。




なんにせよ個人的には、こんなに毎週楽しみになるとは思わなかった、予想外にヒットした作品だ。OP曲はことあるごとに頭の中を流れるし、薫編のED曲も耳を傾ければ傾けるほど魅力が湧きだしてくるなど、本編以外の部分も含めて相当に気に入っている。この調子で、常に我々の想定を一歩も二歩も上回るようなドラマ・シチュ・アニメーションを堪能させていって欲しい。





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それでは、今回は以上です。


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