けいおん!! 第20話「またまた学園祭!」

終わってみれば、タイトルが別の意味に聞こえてくる。




がっつりと描いてきたライブシーン。リズムを刻むフラッシュ光、一人だけ反応の違う憂、観客たちのかけ声。いよいよもって本気を出してきたなぁと感慨にふけりつつも、無駄に長いMCのグダグダ感や、転んだりぶつかったりする素人感が、あくまで学祭での高校生のライブであることを強調する演出に苦笑い。もちろん新曲の魅力も相俟って、「けいおん」らしいライブに仕上がっていた。


長い長い尺をあてたMCと、観客たちの反応。脚本としては冗長に過ぎるきらいがあった気もするけれど、そのぶんアニメーションで丁寧に丁寧に、それぞれの人物を描写していった。観客たちがただ笑ったり拍手したりするだけでなく、ほとんど会話のように舞台上のメンバーと声を掛け合っていたのが非常に印象的で、このライブが、そして唯たちの青春そのものが、学校中の仲間を巻き込んで成立していることを強く実感させる。3年間築き上げてきたものの集大成を、演奏技術よりもこうした人と人との触れ合いで描く点に、今作の確固としたスタンスが見て取れる。


憂たちの後ろにいたのは、ご両親だろう。私はこの作品に平沢家の両親が出てこないことに決定的な違和感があって、学校内での作劇なら問題なかったのだけど、家族の絆らしきものをテーマに据えてある回などは両親の不在という設定に大きなマイナス効果を見出してしまっていた。それがここに来て、ようやく救われた印象だ。ほんのチョイ役でも、ご両親がちゃんと最期の学祭ライブを観に来てくれたことが、いち視聴者としてこんなに感動するとは思わなかった。




そして、祭の後。呆けたように並んで座る彼女たちが繰り広げたこの一連の会話ほど強烈に涙を誘われたシーンは、ずいぶんひさしぶりに見た気がする。セリフのひとつひとつ、動作の隅々までが、興奮と感動と切なさとに包まれていた。とくにムギ。足をばたつかせて駄々をこねるこの動作や、あるいはライブ中での興奮の中に、1期2期を通じて描かれてきた彼女の成長のすべてが凝縮しているようだった。ここで駄々をこねるムギを描くためだけに、「けいおん」第2期シリーズは存在していたのではないかと、思ってしまうほど。成長することでむしろ子どもっぽくなったムギを慰めるのが梓だという点も、とても印象的だった。




今回のタイトルは「またまた学園祭!」。これは、1期から学園祭ライブが描かれてきたことを受けてのタイトルであることは間違いないのだが、今回のエピソードを全部見終わってみれば、また来年も、またまた再来年も、そのまた次の年も、ずーっと学園祭ライブをやっていられたら良いという、少女たちの強い願望のように思えてくる。


唯たちが3年生であり、卒業が間近に迫っているということを、19話分もの尺を使ってくどいほど何度も何度も意識付けを行ってきた第2期。そのひとつの決着点・クライマックスとして描かれた今回は、1話単体としてではなくシリーズ全体を通しての評価を決定付ける回であったと言って良く、そんな回でこれほど泣かせるシーンを見せてくれたことに、もう完全に白旗を上げざるを得ない状況だった。それもストーリーではなくアニメーションでそれを行って見せた所に、今作スタッフの計り知れない凄みを見せつけられたようだ。




ところで、今作は最終回が少なくともふたつあるらしい。すなわち今回が第一のそれで、もうひとつはあと4話~6話後にやってくる最終回である。大きな感動を与えてくれるであろう最終回を2度(もしくはもっと?)も見せてくれるなんて、こんなに贅沢なことはなかなか無いと思うのだけれど、もういつ成仏してもいいやとか思っちゃってる我々視聴者を、さらなる彼岸へと往生させるだけのものを見せてくれると期待して、次週以降も楽しみにしたい。




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それでは、今回は以上です。


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