伝説の勇者の伝説 第9話「忘却欠片」

本気回。こういうときの伝勇伝はホント素晴らしい。




・今回こそメインディッシュ


前回、ドラマの展開そのものは良かったけれど、ディテールについてかなりおざなりな印象を受けてしまい、なんだか非常にもったいないなぁと感じてしまっていた今作。だがやはりメリハリを巧くつけていると見るべきで、今回は川崎逸朗の見事なアクションを相当頑張って描きあげていた、見応えのある回だった。ドラマに関してもあまり無茶な情報量の詰め込みは行っておらず、またその緊迫感ある展開を演出が上手く支えていたので、かなり出来の良い回だったと言える。


シオンの側から描かれる大局的な政治劇や陰謀劇と、ライナ・フェリス視点で描かれる局地的なRPG展開で、そのどちらにストーリーの比重が置かれているかという問題がある。こういった構造の場合、キャラクターの魅力で見せるエピソードに尺を割きながら、それでもストーリーの流れは政治劇のほうで描かれるというのが、ひとつのセオリーだと思う。だが今作は決してそうではなく、むしろ今回などを見ても、ライナ自身の動向の中にストーリーの歯車を大きく動かす因子が存在していて、逆に政治劇のほうではあくまでシオンという王をいかに描くかという点が重視されている。このあたりのバランス感覚が、なかなか斬新で面白い。


そういう観点から言えば、ローランドという国家の大きな動きを描いた前回は決して今作の表舞台ではなかった。そしてライナに隠された秘密が明らかにされつつある今回の展開こそが、作品の主軸として現時点では描かれていると見て良いだろう。




・仕事してなかったライナたち


今回は回想シーンを除いてはほぼ、ライナ・フェリスのペアとスイ・クゥのオルラ兄妹ペアとの会話が全てであった。前に登場したときはただの道化役にしか見えなかったオルラ兄妹が、じつはライナたちよりよほどたくさんの情報を持っていたというのが、今回のエピソードの鍵となっている。


この二人がいったいどこの組織に属しているのか、今回は明かされなかったが、シオンの勅命で動いているライナたちがこれほど勇者の遺物に無知であったということは、すなわちローランドという国家機関そのものに、勇者の遺物の詳細が伝わっていないという証なのかもしれない。オルラが、別の国家の回し者なのか、あるいはシオンに非協力的な貴族の手下か、それは種明かしを待つしかない。しかしライナたちと同じく勇者の遺物を集めて回ろうとする人物がいるということ。そして遺物についても、あるいはアルファ・スティグマといったものに関しても、ライナやシオンよりずっと多くの知識を持っている敵がいるということ。これは今後のストーリー展開に大きく関わって来そうだ。


それにしてもライナたちは本当に仕事してなかったらしいというのが笑える^^ いや、そう簡単に情報集められるわけではないというのは十分すぎるほど描かれているが、しかし描写としては調べ物よりも、夫婦漫才や団子食ってるシーンのほうがずっと印象に残るわけで(今回も長時間かけて団子を平らげていた)、二人が命令遂行にやる気を見せていないのは事実なわけで、これを機にもっと真剣に仕事をするべきではないかと思ってしまうw


とくに、注意力散漫で手紙の存在に気付かなかったり、調べろと言われて、行けば分かるだろ、という安直な思考回路と行動パターンを見せたりするのは、身を入れて仕事をしていない証拠。イリスはちゃんと報告しなさいw




・ライナの秘密とは


いままでさんざん「アルファ・スティグマ」ということで通してきたのに、ここへきて、実は全然別のバケモノである可能性が提示されたライナ。アニメだけでは設定を飲みこむのが難しくて、例えば今回なんかも、そのへんの村人でさえアルファ・スティグマの存在を一目で理解したのに、一方でその実態は保持者のライナでさえちゃんと知っているわけではない、この情報の認知度の差異が感覚的に理解しづらい部分があった。


そもそも、暴走したら周囲を破壊し尽くすアルファ・スティグマが、どうしてこんなにもバケモノとして恐れられ差別されることになったのか。暴走したアルファ・スティグマを見て、しかも生還した人物が存在し、その人物の語ったことがまことしやかに伝えられて初めて、アルファ・スティグマは恐怖の対象となる。そういう類のもののはずなのに、ここまでその存在が周知徹底しているというのは、非常に大きな違和感が付きまとう。ひどく作為的なものを、感じさせる。


この違和感が、単に描写力やその手法の問題なのではなく、作品の世界観設定に深く関わるものであるとするなら、それはまさしく今回のスイ・オルラの驚愕がキーポイントとなってくるものであろう。それに、もしライナがアルファ・スティグマでないのだとしたら、では一体何なのかという当面の問題も大変気になる。次回、謎の解明に大きく踏み出してくれることを期待したい。




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それでは、今回は以上です。


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