あそびにいくヨ! 第8話「けっとうしました」

今回のエピソードも、文筆家の力量がもたらした勝利。




・見事だった戦術描写


前回も同じことを書いたけれど、今回のほうがいっそう当てはまることだと思ったので、もう一度取り上げたい。戦闘パートの戦術描写についてである。


アニメにおいて、アクションで魅了すると言えば、それはやはりアニメーションの技法で行うのが一般的だろう。すなわち、動きの細かさ、早さ、重量感、あるいはレイアウトのカッコよさや美しさ・・・。そういった作画に関する部分で魅力的なアクションを期待されるのが、アニメというものだ。しかし今作の場合は、作画のクオリティは決して高いわけではなく、一部で魅力的な映像を提供してくれてはいるが、超絶技法で圧倒するという類のものではない。それは、アニメにおけるアクションとしてはあまり高くは評価できないものであるはずだ。


それにもかかわらず、前回・今回などは戦闘パートが非常に面白い。それは、これらの戦闘パートを”書いた”人物が、非常に魅力的な戦術描写を行っているからだ。恐らく原作者の力量が大きいと思うし、またそれをアニメ用に仕立て上げる脚本家の手腕も大いに関係していることだろう。




魅力的な戦術描写とは何か。これはやり方は色々あるとは思うが、私がもっとも重視しているのが、敵対し合う両者(もしくは両陣営)の戦術上の意図がきちんと提示されていることだ。とくにその意図が違和感を生じさせない程度に合理的であり(科学的に正しい必要は無い)、かつ我々一般人の予想を越えるスゴさを実感させるものであれば、文句の付けようが無い。


例えば今回、山の中で決闘を行うことになったアオイと真奈美の戦闘を見てみよう。ここではまず、丘の頂上付近の見晴らしの良い広場を中心として、その周囲の地形とその戦術上の意味を分かりやすく解説していた。こうして視聴者に戦場の様子を理解させた上で、こんどはアオイと真奈美のそれぞれが、「相手がこう動くはずだから、自分はこうする」というカタチで作戦を組み立ててゆく。両者が実際に激突するその準備段階を、お互いの腹の探り合いと運の要素を交えてリアルに演出していくわけだ。この一連のシーンだけで、今回の戦闘パートの8割方の魅力が詰め込まれていると言っても過言ではない。


今回はまた、二人が直接ぶつかり合うきっかけを巧みに演出していたのが素晴らしかった。雨がやみ、晴れ間が差し込んだ一瞬。ヤンバルクイナの登場という予測不可能な事態と、鳴り響く銃声。これで緊張の糸がぷっつりと切れたように、なし崩し的に両者は戦闘に雪崩れ込んで行く。


戦闘がはじまり、わざわざセリフで作戦を練る様子が描かれなくなった後も、二人は極めてよく戦術を練りながら行動していく。身体能力が高く戦闘技術が格段に上のアオイは、その長所を活かして果敢に攻め込んで行く。一方で真奈美は、決して相手に攻撃のカタチを取らせないよう、後退しながら有利な場所を確保、迎撃の態勢をとる。廃車を消滅させてしまうという真奈美の着想を逆手に、空いた穴から攻撃するアオイ。だが攻め時と踏んで積極的に前に出たアオイに運の悪さが出て、逆に最後まで勝機をじっと窺っていた真奈美に軍配が上がる。


この一連の流れ、見事ではないか。お互いの能力の差異や武器の特性を活かしながら、じつに自然な展開で戦局の推移を追っていく。しかもその中で、二人のカッコいい姿を描写するというエンターテイメント精神も決して忘れていない。まさに、戦場描写とはかくあるべき、というお手本のようなシーンだと思った。


ただラブコメをやったり、女の子に銃を持たせて戦わせるそのシチュエーションを描くだけでは無い。彼らが文字通りにちゃんと戦っている姿をカッコよく魅力的に描き出すための、よく練り込まれた戦術描写。これが今作の戦闘パートの大きな見どころであり、映像的に物足りないことがあっても、十分に面白いアクションとして成立している所以だ。


動きを見せるアニメーションにおける、文筆家の勝利。そう表現するのは、これはさすがに大袈裟だろうか。




・ラブコメドラマのほうも加速


今回の主役は犬の人だろうと考えた先週の私の予想は大きくはずれ(笑)、また いちか が何者なのかも完全にスルーされたまま、アオイと真奈美の恋のさや当てがどんどんと加速して行く。こっちも非常に盛り上がってきた。


前回、エリスに刺々しい言葉をぶつけたアオイ。今回も真奈美との会話にトゲがあるぞw しかも真奈美はやる気まんまん。真奈美の騎央に対する恋心を、アオイも、また真奈美自身もはっきりと理解してしまって、気付かないのは騎央ただ一人というシチュエーションに、二人は見るからにイライラを募らせるw


とくにアオイが、仕事モードの表情と口調で真奈美と話している様子が、三角関係という状況をいっそう緊迫したものに感じさせる。それにどこまでも自分の恋路を諦めようと言い聞かせる健気な真奈美の姿も、なかなかに痛々しい。


前述した素晴らしい展開の戦闘パートにおいて、そのセリフの半分以上を二人の心情を掘り下げる描写に充てていたのが、巧いなぁと思う。決闘なんて物騒な事態だが、これは二人なりのコミュニケーションの方法であり、かつ自分自身と向き合い見つめ直す機会でもあるということが良く分かる。そんな二人が、口喧嘩と同等の役割を持つ決闘を終え、また犬の送り込んだ刺客を撃退するという緊迫感あるシーンの直後に、食卓を囲んで和やかなラブコメを演じるというこのギャップが、たまらなく魅力的だ。常に危険の中に身を置き続けているからこそ、日常の平和と幸福を大切にし、とくにそんな日常の象徴とも言うべき騎央という少年を愛おしく思う、そんな二人のヒロインの姿に胸を打たれるシーンだ。


アオイが呼び名を変えたことに、まったく気づくそぶりさえ無い騎央は、今回は株を下げたねw これでは、アオイのことを普段どうとも思っていないのではないかと、責められてもおかしくない。こののん気な騎央に、恋愛上の進展が訪れるのか否か、今後のドラマの展開に要注目だ。




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それでは、今回は以上です。


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