ヨスガノソラ 第1話「ハルカナキオク」

音と、背景画と、色と、目の演技を堪能するアニメ。




・予想外に心惹かれた第1話


原作をまったく知らず、感想書くかどうか迷っていた作品だったのだけれど、想定をはるかに凌駕する珠玉の出来映えに惚れ惚れさせられた。AT-Xはどうしても録画に頼らざるを得ないためリアルタイムでの視聴&更新は無理そうだが、火曜日夜のレビューはぜひとも今作を取りあげて行きたいと思う。


さて、事前情報皆無で見始めたこの第1話だったのだが、原作はギャルゲーとのことで、第1話から強引なまでに美少女たちとフラグを立てていった。その展開は多少強引さがあったとはいえ、それぞれのキャラを初見の時点である程度理解させた上で、どのキャラも正ヒロインにふさわしいくらいのビジュアル的魅力を発揮できていた映像演出が、功を奏していた。また早くも主人公の悠とその双子の妹・穹との間で背徳感溢れる危うげなドラマが進行していたのは、初回から十分にインパクトのある展開でしっかりと視聴者を惹きつけることができていたと思う。


そして何より、後述する映像・音響による演出の特異性および巧さが、ストーリー展開に関して身構えることが出来ていない自分のような視聴者に対しても、大いに訴えかける魅力があった。ただの恋愛ドラマではない、もっと質の高いアニメーションを見せてくれるのではないかという期待感を持たせる、良い意味で第2話以降のハードルを上げて見せたスタートだったのではないか。




・音と、背景画と、色と、視線


第1話時点で気になった(注目した)要素を、4点ほど挙げさせていただきたい。


まずは音響。とくにBGMの選曲と用いられ方が、まずこの作品の空気感の大部分を担っていたと思う。ピアノを中心としたシンプルで静かな音色は、山と田んぼに囲まれた田舎の情景を美しく彩るが、同時に春日野兄妹の抱える切ない心情をも映し出すようだ。そしてそうしたBGMを活用して、会話の流れに沿ってある場面では強調したり、ある場面では無音状態を効果的に用いたりと、音響によって劇中の空気感を演出し、それによる視聴者の感情をダイレクトに操作していた。アバンの、トンネルを抜け出た途端にストリングスの音色が入って音量が大きくなる場面は、じつに分かりやすく、しかし非常に効果的に、穹というキャラクターの心情変化を視聴者が追体験できるよう、音のチカラで演出していた。あえて遠景を広く映さずに、車窓から空だけが見えるようにして想像を掻き立てる映像演出とも相まって、「ヨスガノソラ」というタイトルを胸に焼き付ける最高の導入パートだったと言えるだろう。


それから背景、とくに空模様や光の見せ方だ。今作の舞台は田舎だけあって高い建物が無く、そのためじつに広々とした空間を画面が提供してくれている。それでいて遠くの山々によって区切られた盆地が、今作の舞台を他の地域から隔離された別世界として幻想的なイメージを印象付けてもいるのだが、その別世界風景をとくに意識させるのが、空を中心とした背景の描写だろう。アバンで車窓から覗く空もそうだし、本編でも高々と立ち上る入道雲や息を飲むような夕景、あるいは稲光など、異様なまでに天気の描写に力を入れている。今作のタイトルに秘められたテーマ性と通じる演出なのかもしれないが(それはもうちょっと後になってから考えたい)、少なくともこの空模様の見せ方だけで、今作のビジュアルが持つどこか幻想的な魅力の大部分を担っていると思う。今後も天気の描写にはよく注目しておきたい。


そして色について、とくにキャラクターと舞台空間の持つ色の二面性が、よく目に付いた。もっと具体的にいえば、春日野兄妹とそれ以外のキャラクターにおいて、持っている色がまったく異なっているということ。山や田んぼの緑と空の青、そして雲の白さが印象的なこの作品世界においては、春日野兄妹以外の全てが、明るくきらびやかな色に満ち溢れている。とくにキャラクターの持つ色が、肌の色も髪の毛も白(というよりは透明なイメージ)で統一されている春日野兄妹の存在によって、他のキャラが極めて個性的かつ自己主張の強い色として認識されてしまう。また春日野兄妹の居住空間や回想シーンも、ことごとく灰白色で透明・無機質な印象を強く与える。キャラクターの内面を、見えている世界の色によって表現するのは「ef-a tale of memories」等でも用いられていたが、それと同じような演出意図が、あるのかもしれない。


最後は目、もしくは視線についてだ。今作は、現時点ではキャラクターの内面はセリフによってではなく表情や演技といったアニメーションの効果によって語られている傾向が強い。春日野穹はまさにそんな天の邪鬼なセリフ回しをしているが、他のキャラに関しても、まだまだ心の内面を言葉で表現する場面は少ない(当然と言えば当然だ)。だがそれでも、キャラクターの心の動きはアニメーションの効果によって分かりやす過ぎるほど雄弁に描写されている。その中でもとくに雄弁さを発揮しているのが、目の演技だった。穹はまさに”目によって語る”キャラだと思ったし、ことさら目の存在を意識させるカットや、視線の送り先によってキャラクターの意識の方向性を印象付けるシーンも多く、元来目の演技はアニメにせよドラマや演劇にせよ重要なものではあるが、一層、視聴者の注目点をキャラクターの目(もしくは視線)に向けさせようと言う意図があるように感じた。そして、それがしっかりと効果を発揮していたと思う。


正直、まだドラマがどういう方向に進むかは分からないので、今作が気に入るかどうかは未知数であるのだが、こうした演出意図が素人目にも大いに魅力的に映ったので、まずは映像・音響に注目しながらでも、十二分に楽しめる作品になりそうだ。それでなくとも非常に美麗でクオリティの高い映像表現を行っている作品だし、監督や脚本家も信頼すべき実績の持ち主なので、次回からのドラマの盛り上がりにも大いに期待しておきたい。





・・・それとCパートはいったい何だったんだろう。ああいうの、すっごく好きなんですがw



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それでは、今回は以上です。


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