君に届け 2ND SEASON 第1話「バレンタイン」

ちょ、あれ、そういう展開なの!?




・動き出す爽子の物語


前回が第1期総集編だったということで、今回からいよいよ、第2期シリーズの本編がスタートした。


冒頭、お弁当を作るシーンから入ったのは、好きだなぁ。あえてBGMを流さず、爽子の後頭部やキッチン道具ばかりを映して、あとは生活感たっぷりなSEで、小気味良い朝の風景を演出していた。あたかも、寝ぼけ眼をこすりながら台所にやって来てみれば、母がいそいそと朝支度をしていたような、幸福な家庭の象徴のようなワンシーン。しかし顔を見てみればやっぱりそこにいたのは一人の乙女であって、いよいよこれから、彼女を主役とした珠玉の青春ラブストーリーが幕を開けるというわけだ。


で、お弁当をふたつも作っていたのは、早くも風早に愛妻弁当を持って行く流れなのかと先走って悶えてしまったけれど、あれはお父さんのための弁当だったんだよね?w 第1期の良いムードのまま恋人同然な日々を送っている姿を妄想してしまったが、さすがにそんな状況になっていれば、このテレビシリーズは必要ないわけで。爽子のお弁当は、風早との恋愛ではなく、クラスの中に自然に溶け込んでいる彼女の現在の状況を象徴させるための小道具だった。お弁当のおかずを交換するなんて女の子女の子した風景に、とっても和まされた。ちゃんとおかずを爽子にあげた矢野ちんに対して、パン食のちづがおかずを一方的に奪って行っただけというのも、この三人の関係性を端的に表現していて面白かったな。


ともあれ、新学期になり、席替えも済んで、かつては守られるだけだった爽子が今では一人前のクラスメートとして皆と仲良くやれている、そんな幸福な光景によって、第2期シリーズにおける爽子の物語は動き出すことになった。




・悲喜こもごもバレンタイン


さて、そんな新シリーズの最初のイベントはいきなりバレンタインデーとなったが、あぁ、なんか男子校だった自分がすごく貧しい青春を送っているように見えてくるwww まぁ共学でも、チョコなんてもらえない人のほうが多いのだろうから、そんな負け組気分を味わわずに10代の青春を通過できたというのは、ありがたかったと思わないでもないのだけど。それにしたって、勝とうが負けようが、「誰かがチョコをくれるかもしれない」「あの人にチョコを渡したい」とヤキモキする時間は、それは甘美なものに違いない。そしてその甘美で切ない胸の内を存分に描いてくれたのが、今回の『きみとど』だった。


そう、バレンタインデーには、明確な勝ち負けが存在する。値段も味もたかが知れているチョコレートが、この世界でただひとつの輝きを放つことになる、魔法の一日。これをどう過ごすことができるかに、多かれ少なかれ、若者たちがどれほど真剣になっていることか。皆が皆、この恋のゲームに勝とうと躍起になっている。勝った者の喜びや負けた者の悔恨は、それだけでひとつのドラマなのだ。


その意味で今回は、色んな人物の勝ち負けがはっきりと語られていたのが、じつに面白かった。最初から本命を渡す相手がいなかった矢野ちんあたりは置いておくとしても、龍にこっそりチロルチョコを送りつけたちづ、ファンからの熱い想いだと勘違いして悦に入っているピン、最初で最後の特別と言って本命を手渡すことができた胡桃ちゃん。彼らは少なくともバレンタイン限定の戦果としては十分な勝者と言うことができよう。一方で風早にアタックした少女や、矢野からもらえると確信していたであろうジョーなどは敗者であるが、彼らだって何も悪いことをしたわけでもないのに、不運にも失意を味わうことになってしまうバレンタインの怖さを、思い知らされる。


そして一番驚きだったのが、主役でありこれから恋を育むに違いないと思っていた爽子と風早の両名が、このバレンタインでは敗者側に回ってしまったということだった。


さすがに最後には勇気を出して渡すだろうと思っていたのに。いや、爽子がチョコを渡すのを諦めた後も、EDが流れ終わり、「しりとど」が始まってしまったその時まで、奇跡が起こって風早と爽子がばったりと出会い、その手に持ったチョコレートを渡すシーンが描かれるだろうと、信じて疑わなかったのに。下心があるから渡せないとか、爽子さんそれは切なすぎるよ・・・。


爽子のチョコだと知らずに間違えて龍の分をもらってしまった風早は、とうとうこの日チョコをもらえなかったことで、いったいどんなことを考えるだろう。ひとつ食べることが出来たから良しと、自分を慰めるか? いや、そんなことは無いだろうと思う。爽子が持っていたのは、そして風早が期待していたのは、爽子が風早のために、風早のことを想って作った、世界でただひとつのチョコレートだった。それ以外のチョコには何の価値も無かったはずなのに、手違いで、恐らくはその世界でただ一つのチョコとまったく同じ味覚であるだろうチョコレートを、まるでつまみ食いでもするかのように、口にしてしまった。その後悔たるや、いかほどのものであったか。


そういえば風早は、クリスマスのときにも間違えてハラマキをもらっていたけれど、彼が彼自身のために想いを込めて作られたモノを手にできないというジレンマは、風早と爽子の現在の関係性をどこか連想させる。『君に届け』と名付けられた今作において、まだ爽子も風早も、その本当の想いを相手に届かせることができていない。想いというものは、必ず何かの媒体を通じなければ届けることができないものだ。それは言葉か、モノか、態度か、とにかくはっきりと明確に伝える努力をしなければ、奥手で鈍感なこの二人の場合、どうしたって想いを届かせることは難しいだろう。そしてその努力になんとか取り組もうとするのだけれど、なかなか空回りしてうまくいかない、そんなもどかしさがが、第2期シリーズの出発点としての二人の関係なのだろう。




・悪意のキャラに注目?


それにしても、爽子が風早にチョコを渡そうと決意し、そしてあえなくその決意が崩れ去ってしまう一連の最重要のシーンにおいて、胡桃ちゃんや新キャラの三浦健人が絶妙なタイミングで出現したのには、やられたと思った。その存在自体が暴風雨っぽい二人が登場し、第1話からいきなりこんなクライマックスなシーンを見せてくるとは、完全に想定外だった。


中でも胡桃ちゃん。第1期での告白シーンで相当に株を上げたのに、ここで早くもその株を叩き落とすような立ち回りを見せるとか、もう本当に、この子は素晴らしすぎる。これでこそ我らが胡桃ちゃんだと思う。むしろ、舌を出しながらモノローグで爽子を応援(?)するようなセリフを述べていたシーンは、彼女のキャラクターのためには描かない方が良いとさえ思ってしまった。やっぱり胡桃ちゃんは根は良い子だよね、みたいなフォローは不必要なんであって、フラれて自分の恋はおしゃかになったとしても、その腹いせに爽子の恋も本気で妨害してくるくらいのキャラでいて欲しい。まぁ、あのあかんべぇは可愛かったけれど。


一方でなんだかいけすかないイケメンとして登場した三浦健人だが、早速、悪だくみをしてそうな表情を見せてくれた。宮野真守さん、良い仕事してるなぁw


もちろんこの健人クンが悪い奴なのかどうかは分からないけれど、少なくとも胡桃ちゃんと並んで、今作ではもっとも悪意に満ちたキャラとして暗躍することになりそうな、そんなオーラをぷんぷんと発していた。人物描写の丁寧さだけでなく、その妥協の無さでも揺るぎない地位を確立して見せた今作のこと。彼ら悪役キャラがどんな立ち回りを見せてくれるのか、楽しみにしておきたい。




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それでは、今回は以上です。


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