ドラゴンクライシス! 第3話「決意の契約」

小っ恥ずかしくなるような勇者ストーリー。




・主人公覚醒!


さらわれたローズを救出するべく奮闘する竜司たちを描いた第3話。ロスト・プレシャスに関する事柄には目をそむけたがる竜司が、いったいどんなトラウマを抱えているのかは分からないが、しかし2度もローズに救われた恩義や因縁を思い起こした竜司が、とうとうレベル10ブレイカーとしての才能を発揮して、囚われの姫の救出に向かう。


前回まで、ハーレムラブコメに付き物の、主体性の無い巻き込まれ型主人公の域を出ていなかった竜司だが、その主体性の無さは彼自身の性格よりは、トラウマがあるにも関わらず嫌なことに無理やり付き合わされている現在の状況に起因するものであり、本来の彼はもっと芯の強い男の子であることが、ここではじめて証明された。ラブコメにするのなら主人公はどのヒロインともくっつかないままにするのが通例だが、第3話にして早くも主人公とヒロインが両想いを成就させてしまったのは、今後の展開が萌えラブコメ路線にはならず、ずっと硬派な作品になることを予感させる。


ストーリー展開そのものは、なんとも古いタイプの王道展開だ。しかしそんな王道を真っ向から描きあげた姿勢が清々しく、また小っ恥ずかしい愛の告白もストレートかつ気合いのこもった演技や演出で見せてくれたのが良かった。あとから振り返れば恥ずかしくなるような言動を、勢いにまかせてぶつけてしまうこの高揚感こそが、この第3話のドラマを確立させるもっとも重要なファクターだった。


それと、短剣スラッシュ・ブレスを鞘から引き抜いたカットは、とくにカッコよかったなぁ。蛇のようにうねる刀身の曲線フォルムがじつに魅力的で、それが直線として描かれる鞘の口から引き抜かれることで、剣の特殊な形状がいっそう強調される。その次のカットで、不自然なほどにパースをゆがませて強調されたのと合わせて、今回のエピソードの主役がこの短剣であることをよく理解させる一幕だった。炎や結界等のエフェクトもカッコよかったし、告白シーンのローズの描き込みも素晴らしかったのだけど、剣のデザインの秀逸さを強調するこの一瞬のシーンがもっとも印象に残った。第1話ではとくにそうだったのだが、なんでもないシーンを無駄にカッコよく見せる演出が散見されて、映像作品としてとても見応えがある。




・人間によるドラゴンの認識について


ドラゴンを扱った作品はアニメ・ラノベに限らずたくさんあると思うけれど、ドラゴンの生態を研究者視点でいろいろと探ろうとするキャラがこんなに騒ぐ作品は、ちょっと珍しいw むろん今作のドラゴンは今作なりの独自設定に従って描かれているわけだが、現代の志向を汲んで美少女や美男子に化ける設定の他は、思った以上の興味を持って設定を作っているようで、じつに面白い。


刷り込みに、光りもの(ロスト・プレシャス)集め。こうした行動を習性みたいに言われると、なんだかドラゴンがカラスか何かのようだw でも、刷り込みではなく一目惚れだと作中で訂正されていたように、ドラゴンの行動をどう読み解くかは人間側のスタンスによって大きく異なってくる。ドラゴンを獣の一種と考えるか、それとも人間と同等の存在として看做すか。この発想の違いで、ドラゴンを語る言葉は大きく変わって来るだろう。


実際に犬や猫を飼ったことのある方は分かるかもしれないが、動物図鑑に掲載されているドライな物言いでは、動物たちの心の様子を解き明かすことなどできるはずがない。あるいはウィキペディアで「ヒト」の項目を見てみれば、生物学的見地に基づいて我々の生態を解き明かそうとする記述のいかに滑稽であるかが理解されるだろう。むろんこれは人間が書いているから滑稽なのであって、もしこういった物言いを人間以外の種族によって記述されたら、腹立たしく感じる人さえいるのではないだろうか。


恐らくドラゴンも、小馬鹿にしたり腹立たしく思いながら人間達を眺めていることだろう。オニキスは、自分たちこそが万物の霊長たるにふさわしい種族であることをはっきりと意識しながら、それでいて人間の知的活動や文明の価値を認めている(だからこそ人間を理解しコミュニケートしようとする)。だが例えば研究者の戸倉などは、ドラゴンを鳥やトカゲの上位種くらいにしか考えていないのだろう、オニキスとローズの婚約の儀を目の前にして「ドラゴンにこんな習性が!?」と驚いていた。この決定的な認識不足が、人間の見るドラゴン像である。


思えば、かつて欧米列強が世界中を席巻していった際、黒人に対してやはり、相手を人間ではなく獣の一種であると考えるような認識が支配的だったという。白人の中には、奴隷商人に子供を奪われた黒人女性が泣き叫ぶのを見て「黒人にも親子の情があるのか」と驚いた者もあったそうで、しかもそうした”発見”をできたのは比較的に偏見から離れた見方を心がけていた、学者や啓蒙思想家といった人々なのだ。多くの西洋人にとって、黒人は自分達人間とは異なるイキモノであった。


今作において、人間が認識しているドラゴンの姿というものは、そのレベルの無知や偏見に取りつかれていると見て間違いあるまい。これは専門家でさえドラゴンを目にすることは不可能だったのだから、まぁ致し方ない。しかし、あくまでそうした前提のもとに、竜司や英理子とローズとの邂逅が語られていたのだという事実は、よくよく留意すべきであろう。


人間とドラゴンが結ばれるはずがない、という言葉には、きっと重い意味が込められている。それを踏まえた上で、そのいばらの道を進むことに決めた竜司とローズが今後どのような運命を辿ることになるのか、注目しておきたい。




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それでは、今回は以上です。


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