君に届け 2ND SEASON 第5話「すきな人」

今すぐそいつを殴れ、風早ァ!!




・ここが勝負の時!?


一向にすれ違いの解消されない爽子と風早の様子に、三浦健人がここぞとばかりに攻勢に打って出る第5話。1期ではあまり見られなかった、男子たちによる攻守入り乱れての恋の駆け引きが、一気に臨界点へと到達する。


風早が自分自身で言っていたように、1年生のときは、彼は本当に自分のやりたいようにやって、でもそれが風早自身だけでなく爽子のためにもなっていた。風早が隙あらばと献身的に爽子に尽くせば、爽子は言葉足らずな精いっぱいの感情吐露と笑顔によってそれに応えてきた。けれどその理想的な関係は、お互いがお互いに全幅の信頼を置くからこそ成り立ったものであり、三浦健人の策謀や胡桃ちゃんの意趣返しが功を奏してほんの一筋の疑念が差し挟まれたとき、もろくも崩れ去ってしまう関係であったことを、証明してしまった。


健人の攻勢はじつに巧妙だ。彼は、風早の代わりに爽子を引きたてる役を積極的に買って出て、爽子にとっての風早の存在意義をぐらつかせつつ、様々な虚言を弄して爽子を揺さぶろうとする。そのやり口は確かに駆け引きとしては巧みなのだが、彼のズルいところは、あくまで彼が自分から爽子を抱きかかえようとするのではなく、あたかも爽子の意志で、彼女の恋愛感情を自分に向けようと画策している。健人にしてみれば、高校時代の恋愛で生涯の伴侶を探す気などさらさらなく、ただ難攻不落と思われる相手を攻略するその過程を楽しむための恋愛なのだろう。仮にこの場でフラれても、あるいは後になって自分が爽子を捨てる段階になっても、体面上も精神的にも決して自分が傷つかないように、防衛線を張りながらくどき落とそうとしている。こんなのに純粋無垢な少女がひっかけられると思うと、胸が張り裂けそうだ・・・。


しかし、我らが王子様はこの決定的な瞬間において、遅ればせながらなんとか登場して見せた。本来であればこの場ですぐに拳骨を繰り出して健人の頬面を引っ叩いてやって欲しいくらいだが、まずはヘタレ風早にとっても乾坤一擲の勝負に出ざるを得ない展開で、彼がどのような選択をして見せるか、注目だ。




・女の幸せ、男の駆け引き


第2期に入ってからとくに顕著になったことだが、今の展開を見ていると、女子と男子で、それぞれ向き合っている物語の本質が異なっていることに気づく。


まずは男子勢についてだが、以前は能天気に”憧れの対象”として描かれることの多かった風早を中心に、いまではすっかり、恋の駆け引きに熱を上げる実戦部隊の様相を呈してきた。爽子・胡桃ちゃん・矢野ちんあたりでバチバチを火花を散らしていた1期の頃の展開を、そのまま男女逆転させて描いているようだ。


これはむろん、女たらしの三浦健人が爽子にちょっかいを出しているのが最大の原因だが、加えて風早の押しが弱くなったことや、龍やピンといったボンクラーズがめちゃめちゃ重要な役割を果たしている点などが挙げられるだろう。今回だって、あの龍が自分から友人を気遣って見せたり、ピンが風早を笑い者にして恋の手ほどき(?)をして見せたりと、本人たちの意図するとせざるとに関わらず、ヘタレの風早をバックアップする体制が異様な堅固さを持って構築されていて、おもわず笑ってしまったw 確かに風早では、健人と1対1で戦うにはあまりにも純粋すぎる。爽子に、女孔明・矢野あやねが付いていたのと同じように、風早にも、知恵は回らないが直情的にすべてを解決してしまえる心強い友の存在がある。人の絆をテーマにした今作において、主役の味方をするのはやはり、人の輪だ。




一方で女子勢、もっと言えばちづと矢野ちんについてだが、彼らはメインストーリーのほうで男たちが熱い火花を散らしている裏で、爽子と風早のカップルの行く末に気を配りながらも、主題としては”女の幸せ”について描かれている物語を、独自に歩んでいるようだ。


矢野あやねが以前からずっと気にかけていたのは、爽子の幸せのありかである。胡桃ちゃんという明確な敵がいなくなった今、矢野は、爽子がもっとも幸せな恋ができるにはどうしたら良いかと考えている。女が男に従属するのではなく、また相手の好意に恐縮になるのでもなしに、正々堂々と胸を張って恋をすること、それが爽子にとっての本当の自立であり、幸せになれるかどうかは全てそこをスタートラインとして話が始まることになる。爽子は、意中の男性ととっくに両想いでありながら、まだ絶対に幸せを掴むことのできない立場にあるというのが、前回も語られた矢野あやねの見立てであった。


また爽子とは別に、失恋を経験したちづのことも、矢野ちんはよく気にかけている。そして親友のサポートを受けたちづは、ずっと片思いをしてきた相手に、その恋が破れたことをまざまざと突き付けられる結婚式というシチュエーションで、心から祝福の言葉を、正々堂々と胸を張って投げかけることができた。ちづは、もうすっかり、自分の幼い恋心から自立して、一人前の魅力的な女として歩き始めている。そんな彼女の隣に立つ男性がすんなり見つけられるかどうか、どうも鈍感なちづは心もとないが、失恋の先に確かな幸福の希望を見出した素敵な人生を歩む者として、吉田千鶴はじつに輝かしい笑顔を見せてくれている。


そして爽子やちづを見守る矢野ちん自身も、1期の頃からいろいろと酸いも甘いも経験している女性だ。彼女自身、交友関係だけでなく恋愛においてもどのように輝いて見せることが出来るのか、今後描かれることはあるのだろうか。女の幸せは、目の前にいる素敵な王子様と結ばれることだけではない。様々な人生・様々な幸運や不運を全て噛みしめた上で、それでも堂々と幸福を謳歌できるのが、女性の本当の強さである。


少女漫画というジャンルで、女性達を主な読者に想定した今作だからこそ発信できる真摯なメッセージに、今後もじっと耳を傾けてみたい。きっとそこには男性にとっても有用な、人生を豊かに過ごすための重要なヒントが隠されていることであろう。




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それでは、今回は以上です。


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