放浪息子 第8話「春 ~Brand new me~」

みんなよく考えて行動しようとしてるんだけど、突発的な事態が起こって慌てふためいちゃう様子が、もうめちゃくちゃ可愛いし楽しい。本人たちはたまったものではないでしょうがw



・新学期は波乱の予感?


今回から早くも新学期。2年生になってクラス替えを迎えるにあたり、他のアニメのように都合よくみんな一緒のクラスとかにはならなかった。メインキャラをバラバラに分けてしまうというのは、クラスという閉鎖的な空間にわりととどまっていた前々回までとは異なり、グループやクラスどころか学校の枠組みも越えて、登場人物の相関関係が展開されるということだ。アニメから入った身としては、1年生時の仲良し(?)グループが今作のメインキャラクターだと思ってしまうところだけれど、本来は小学生のころから描かれているドラマであって、それぞれの時期で主要な役割を担うキャラもあくまで流動的なのだろう。


それでも、かつてのグループが3クラスに分けられただけだったので、1年生時のグループのメンバーを活用して、それぞれのクラスにおける群像劇的なエピソードを差し挟む余地は十分に残されている。それにそもそもこういうクラス編成の結果はなかなかリアリティがあるように思った。自分は中学時代は2クラスしかない学校に通っていたからちょっと分からないけれど、ひとつの学年に5クラス以上存在する学校で、進級時のクラス替えで、完全にシャッフルになるのではなく、クラスの半分とか2/3が入れ替えになって、たとえば全6クラスのうち3クラスに配分されるというのは、いかにも実際の中学校で行われていそうなクラス編成だ。


しかし物語の上では、クラス替えでメンバーがバラバラになるというのは、かなり大きな変革に見える。さらに、ただでさえ多かったキャラクター数がまたこのタイミングでぐっと増えたこともあり、登場人物の当人たちはもちろん、視聴者にとっても、新しい人間関係の構図を手探りで読み解いたり構築していかなければならない。今回で言うなら、小学生のころに何かひどいことをして二鳥くんを困らせたという土居や、マコちゃんが好きになってしまったイケメン(ただし既婚者)の先生なんかが登場したが、今後の展開にどう影響するのかしないのか、とても気になる話となった。


けれど、それ以上に波乱だったのが、やはり安那ちゃんも交えた4人でカラオケに入り、激しい恋のさや当てを演じたシーンだろう。安那ちゃんと付き合うことになって、しばらくの間はショックや気まずさから離れ離れになってしまったかつての親友3人組が、学校の外で、偶然ばったりと出会ってしまうというシチュエーション。もちろんその前後から相当にやきもきさせる展開ではあったのだけれど、新年度を迎えて物語も新しい展開に突入していったことを、とても良く象徴してくれたのが、カラオケのシーンだった。よしのやさおりんの、今までに見れなかった表情がたくさん見れて、修羅場なのについつい笑いがこみあげてきてしまう、すごく美味しいエピソードだったなぁ。




・やっぱり変なモノが大好きだった安那ちゃん


前回からすでに言及されていたけれど、今回よりはっきりと見えてきた、安那ちゃんの特殊な趣向。いつもサバサバしていて小気味良い、それでいて優しくて気が利いて度量もある、とても人間のよくできたお人の安那ちゃんだが、変なモノが好きというその感性が恋とかプライドとかを飛び越えた次元で発動する人物でもあり、それを隠そうともしない。じつにおもしろいお姉さんだ。


安那ちゃんは二鳥くんのことを「妹みたい」と評していたけれど、むしろ愛玩動物か何かのように考えていそうだから、ちょっと怖いw もちろん恋人として二鳥くんのことを大切にはしてくれるだろうけれど、その発想の根底が「変なやつだから」ですべて説明できてしまいそうな、不思議な彼女だと言える。そうした変なモノ好きは二鳥くんにだけ向けられるなんてことは到底ありえず、女子にしてはなかなか貴重なステータスを持つよしのをモデルに誘ってみたり、あからさまに敵意を向けてくる性格の悪いさおりんの、歌のうまさに大声をあげて感嘆していた。たとえどんなに腹の立つ相手だろうと、希少種であれば怒りよりも先に物珍しさからくる感動が、安那ちゃんの心を揺り動かすらしい。きっとその手の感動を前にしては、他のどんな感情も味気ないものに感じてしまうのだろう。


しかしそうなれば当然、恋とか愛とかいう感情さえも、彼女にとっては好奇心よりも下位に置かれていると判断して良いのだろうし、少なくともそう見えてしまうことは否定できない。もしこの先二鳥くんがより深い男女関係を求めてきたときに、それに応じる構えがあったとしても、好きだからではなく、面白いやつだからキスをするんじゃないかと彼が考えてしまったときに、二人の仲には決定的な亀裂が走ることになりそうな気がする。それでなくとも、今回こうして、二鳥くんがかつて好きだった女の子と、今でも二鳥くんのことを好きでいる女の子が登場したことで、安那ちゃんにとってこの彼氏彼女の関係はどのように映ったことだろうと思うと、このカップルの先行きに早くも脆さや不安定感が垣間見えてしまいそうだ。


それに、安那ちゃんは人間が出来ているだけではなく、目ざといし頭もよい。二鳥くんがもし今後、この恋愛について葛藤が生じてきたときに、いち早くそれに気づいて、人生相談のような格好で彼の自分でも気づかない本心を探り当てるのはきっと安那ちゃんの役割になってくるだろう。そしてその先に、あくまで円満なカタチでのカップル解消という展開も視野に入ってきそうだ。いつでもキスに応じる覚悟がある一方で、いつでも離別に同意できる、そんな”軽さ”を、安那ちゃんと二鳥くんの恋愛には見て取れるように思う。


そういう意味では今回、二鳥くんを巡って三人の少女が一堂に会したことで、それぞれのヒロインの性格の差異も大きくクローズアップされたわけだ。他人の意見や視線に左右されやすく、自分で決断しなければならないときはどうしても優柔不断になってしまう高槻よしの。いつまでもひとつの恋に心を煩わせ続ける健気な、でも本当に攻撃的でひどい性格の千葉さおり。何にでも理解を示す器の大きさを持ちながら、でも恋愛(というか人付き合いそのもの?)を比較的軽視していそうな末広安那。そしてその三人の中心には、性にも恋愛にも未熟でふらふらと揺れ動きながら、その場その場の思いつきでときには予想外の大胆さを発揮する二鳥修一がいる。こうして並べてみると、二鳥くんのなんとも言えないふにゃふにゃとした特殊な人物像が、自分自身でも大きなインパクトを残しながら、個性的なヒロインを振り回して引き立てるとても大きな役割を担っているのだなぁと実感させられる。




・安那ちゃんとの恋愛が導くもの


ところで、今回急激にラブコメ的な要素が強くなったのは、女の子になりたかったはずの二鳥くんが、女装趣味のある”男の子”へと変容したのが大きいだろうね。もし自分が女の子で良いのなら、安那ちゃんとはよき友達としての感覚で、それなりに長い間、交際を維持し続けることは可能だろうと思う。けれどもし二鳥くんが自分を男の子だと認識して付き合っているのだとするなら、前述したような安那ちゃんのいまいち真剣には見えないサバサバした恋愛スタイルが、近い将来きっと二鳥くんを悩ませるのではないかと想像している。もちろんそれは、男なのか女なのかはっきりしない(させたくない)にとりん自身が抱えている問題も、関係してくるとは思うのだけれど、安那ちゃんというキャラクターはそういう意味では、二鳥くんが今後歩もうとする人生の選択を促す、リトマス試験紙のような役割を持っているのではないだろうか。


二鳥くんの生き様を、男女ではなく子どもと大人の対比として読み解くという意味では、決断を迫られるのが大人で、なにひとつ決断しなくても許されるのが子供という言い方もできるわけで、男の子でいるのか女の子になるのか、その決断を先延ばしにしてどっちつかずの浮遊感を楽しんでいる二鳥くんは、たしかに大人になることを一秒でも長く拒否しようとしている。そして安那ちゃんとの恋愛の進展が、無理にでも彼に何らかの決断を迫る展開になることは大いに考えられるから、単なるラブコメとしてだけではなく、主人公の歩む道を決定づけるかもしれないという点からも、二鳥くんと安那ちゃんの不思議すぎるカップルの行方は、今後も大いに注目しておきたい。




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それでは、今回は以上です。


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