異国迷路のクロワーゼ 第2話「チーズ」

パリの街並みがすごい! カッコいい!



前回の記事で、この作品は19世紀パリという異国を描くお話でありながら、むしろ馴染みのない異文化として語られているのは古き日本の姿なのではないか、ということを書かせていただいた。今回は食文化に関するエピソードを通して、やはり、一見すると往時のフランス文化をファンタジー風に(驚きの眼差しを持って)描いているようではあるが、それに応える湯音のほうが現代日本人にはいっそう遠く映り、断片的に語られる湯音の故郷の姿には、共感ではなく知らないことに対する興味を掻き立てられる作りになっている。


知らないもの、想像さえしなかったものを視聴者が眼前にしたときに、ファンタジーはその真価を発揮する。この作品はそういう意味では、街並みも、そしてヒロインも、じつにファンタジー的な見せ方をしている。湯音の人間離れした可愛らしさは、日本人というよりはやはり異星人のようで、馴染みがないからこそ魅力的に映る彼女の姿が豪奢なパリの街中を歩いていく姿は、今回のエピソードのクライマックスであったと言えるだろう。


そしてこの作品の本当に魅力的な要素は、この異星人のような湯音とクロードたち欧州人が、どう接したら良いのか途方に暮れていた状態から、互いになんとか歩み寄る努力をし、理解しようと頑張る姿が描かれているところだ。人や文化は、似通っているから親しくなるわけではない。むしろまるきり違う存在だからこそ、より深く付き合うことができるのかもしれない。そして違う存在であったはずのお互いが、ふとしたときに感じる心の共鳴。これを描くところに、この作品のもっとも重要なテーマがあるように思う。


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さて、今回は食事のお話だ。なるほど異文化交流においてもっとも最初に対比されるのは食文化であり、またこれはダイレクトに民族性がにじみ出るので、もっともエキサイティングな話題と言えるだろう。とくに発酵食品は、保存食・常備食として太古の時代から食文化を支えてきたものだから、食事の比較から異文化交流を描くという点ではもっともふさわしい題材かもしれない。


現代でこそ日本人は食の欧米化でチーズなんてへっちゃらだと思うかもしれない。けれど、自分は以前モンゴルに渡航した際に、遊牧民の食べるチーズをもらったことがあるのだが、あれはとても食べれたものではなかったw まず石のように硬くて、ハンマーなどでかち割らないと口に入らないし、そのあとは延々ゴリゴリゴリゴリやりつづけて、しかもそれがたまらなく酸っぱくて臭い。もちろん柔らかくてマイルドなもの(工場生産とか)もあるようだが、しかしこんなものを喜んで食べているのが信じられなかった。(ちなみに遊牧民は肉を主食とする民族だと思われることが多いが、肉を多く食べるのは冬の間だけで、実際にはこのチーズや馬乳酒を主食とするのだという。)


幸いにも湯音の食べたチーズはフランス製の柔らかいものだったようだが、それでも現代日本で食べれるものほど味が洗練されているとは思えない。現代だって、小学校給食でチーズが出たら食べれなくて掃除の時間も一人でチーズと格闘しなければならない子だっているわけで(というか自分がそうでしたw)、湯音がどれほどの想いであのチーズを「おいしいです」と言ったのか、想像に難くない。また同時期の日本を扱った『おとめ妖怪ざくろ』でも、牛の乳をゲテモノ扱いする様子が描かれたこともあるから、当時の日本人にとって乳製品というのは本当に未知の食べ物だったのだろう。




チーズにせよコーヒーにせよ食材にせよ、日本食とかけ離れたフランスの味に早く慣れること(そして湯音自身がそうした食事を用意できるようになること)を、彼らの親近感のひとつのパラメータのように考えてようとしているのは面白い。日本では基本的に炊事場は女性の場所であったから、女手のないオスカーたちの家に自分がやってきたということで、当然湯音は、食事の用意は自分の仕事だと考えているのだろう。今はまだお客さんというか、むしろペットのような扱いの彼女が、この家の一員として溶け込んでゆくまでを丁寧に描いてくれそうで、楽しみだ。


仕事と言えば、湯音がクロードの仕事をじっと見つめていたのは、いったいどういう意図があったのだろう。まさか自分で鉄を打つとか言い出さないといいけどw このあたりの湯音の考えも、今後明かされるのを待ちたい。


それにしても。今回のエピソードでは、クロードがあまりお金持ちでなかったことが、湯音には本当に幸いだったと思う。これが上流階級だったら、当然湯音は、ぶくぶくに太らせたガチョウの肝臓や、あるいはでんでん虫なんかを食べさせられて、それをおいしいと言わなければならなかったはずだw チーズごときで済んで、本当に良かった。




チーズに苦しめられた湯音が、Cパートでさっそくクロードに仕返しをしているのには笑ったw うめぼしを壺で持ってきているとは恐ろしい。復讐の時は来たれり!! 


きっと、チーズが食べられなくて悲しんだオスカーに、たくさん持ってくるようアドバイスでもされたのではないかなぁ。あるいは湯音を送り出した日本側の保護者が、体調管理のために持たせたのかもしれない。もしクロードを日本に連れてくることがあったら、ぜひ日本食のきついのを食べさせてあげるといいと思う。納豆とか、くさやとか、タコの刺身とかね。


それにしても、オスカーの順応性の高さは異常w 現代でもあれだけ外国文化に理解を示せる人間は変人扱いされるっていうのに。ああいう懐の広い人間になりたいものだ。




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それでは、今回は以上です。


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