絶園のテンペスト 第3話「できないことは、魔法にもある」

吉野が参戦して燃える展開! しかし主人公サイドの3人はすでに雲行きが怪しい感じ?



エヴァンジェリン山本女史とどんな契約を交わしたのかは不明だが、彼女と別れて、単身で真広の援護に向かった滝川吉野。今回は広大な廃墟で繰り広げられる息をつかせぬバトルが見ものだ。




吉野がいくら走ってもなかなか真広を見つけることができず、その間わりと悠長に葉風の講義に聞き入っているという構図は、脚本の構成に疑問があるというか、ちょっと都合が良すぎるんではないかなぁと思ってしまうところではあったのだけど、そのおかげで真広と鎖部夏村との濃密なバトルが長い尺で描かれることになったのだから良しとしよう。そして葉風の説明を聞いている間、吉野が早くもその説明に違和感を覚え、葉風たちには隠したまま自分なりの考えをまとめ始めたことで、今後の主人公の動き方にもますます注目したくなってくる。


今作の主役二人は、状況的には巻き込まれ型の主人公だが、すぐに能動的に、そして自分自身の判断に重点を置いて動き始めている。とくに吉野に関しては、彼の内心の独白がきちんと描かれているわりには、いまだに何を考えているか(これから何を考え始めるのか)がまったく見えてこず、彼自身の意思や目的自体が大きなミステリーとして機能しているから面白い。敵の鎖部左門の企みが霞んでしまうくらい、「吉野が何を目指すことになるのか」が気になってくる。


前回吉野は、魔法のような不合理があるのなら死んだ愛花を生き返らせるような不合理だって実現可能なはずだ、と考えた。今回早速その可否を葉風に質問していたが、葉風の答えはノーだった。ところがなぜ出来ないかと言えば、それはこの世界の合理を覆す所業であり鎖部一族の信条・存在意義に反するからだという。であるならば、もし一族の信条を違える覚悟を持てば、愛花を生き返らせる不合理も実現可能なのではないか?・・・吉野は当然そう考えるだろう。そして現にいま、左門一派はこの世の理に反する計画を実行に移そうとしているわけで、葉風と左門の二人の言い分を聞き比べたとき、吉野が決断すべき選択肢はひとつしか残されていないのではないだろうか。




きっと問題は、愛花を蘇らせるような不合理を実現しようとしたとき、それが世界に破滅をもたらすような結果を伴うことが分かったとしたら、吉野や真広はどのような選択をするだろうかということだ。不合理を正すために犯人を殺すと言い張る真広は、葉風の言葉によれば、彼なりに世の理のあり方を分かっているのだろうということだった。つまり、人殺しは道理に反しないが、死者が蘇るのは不合理でありあってはならないことだと言っているわけだ。真広がそのような人物であれば、仮に愛花を蘇らせる魔法があると言われても、その魔法によって引き起こされる不合理を許容することはないのだろう(それが愛花や自分に関係があろうとなかろうと)。


一方の吉野は、前回拳銃を構えたときに山本から「この子は撃てる」と評価されたように、目的のためなら手段を選ばず、むしろ今の不合理な状況を最大限に活用して、自分のやるべきこと、やりたいことを実行しようとする一面があるようだ。そんな彼が、深く愛していた恋人を生き返らせるためにはこの世界を生贄に捧げなければならないのだと仮に諭されたところで、ほとんど躊躇なくその奇跡を実現させようとするのではないか。鎖部一族の使う魔法や「はじまりの樹」の性質に違和感を覚えていた彼が、もし鎖部一族の正体や左門の陰謀の全体像を知った時、いまのまま真広や葉風の協力者で居続けられるのだろうか。




もちろん、独特の倫理観を持つ真広や、ただでさえ本心が見えにくい「大嘘つき」の吉野に関して、彼らと直接会ったこともない葉風の印象に基づいてその人間性を推察することは難しい。というより、彼らの人格そのものが今作最大のミステリーとして設定され、それを解き明かしていく過程にドラマ性を求めているような作品なのだから、現時点で彼らの行く末をうんぬんするのは不可能なのかもしれない。その証拠に、次回は彼らの出会いの頃までさかのぼって回想するエピソードになるようで、そうやって少しづつ二人の主人公の本質を探り、今後の物語展開を補強しようという構成になっている。魔法で何ができるのか、事件がどのように推移していくのか、といった点と並行して、吉野と真広の本当の姿が明らかになっていく様子も、今後の楽しみとしておきたい。




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それでは、今回は以上です。


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