亡念のザムド 第14話「蒼スギル空」

どう考えてもいい終わり方にはなりそうもない、アキユキとフルイチの対決。憎悪にかられたフルイチを、二人の友はいかに見て、いかに接するのか。


フルイチのザムドは憎悪のかたまりだけあって、黒色で気持ちの悪いデザイン。炎をまとって変身したあたりはかっこよかったが、四つん這いになったり触手を伸ばしたり醜くふくれあがったりと、後期の宮崎アニメを髣髴とさせるような演出。しかし独特なアングルがあったりして、ボンズらしさもしっかり出していた。

ただこの戦闘場面は、ザムド同士の戦いというより、フルイチの想いをぶちまけることに主眼が置かれていて、手に汗握る展開とは程遠く、ヒーローになれなかった男の哀愁に胸を締め付けられるシーンとして描いてあった。脚本がメインで作画はオマケの戦闘シーンと言ってもいい。このアニメはこれまで、戦闘シーンにおいても安易なセリフ回しに頼ることなく、むしろ戦闘という動きの激しい絵の勢いを借りて、感情の大きな波をセリフに乗せてぶつけてくるのが印象的なのだが、今回はそれがより鮮明に出ていたと思う。

またそのセリフに関してだが、終始フルイチがしゃべり通しだったのは注目に値する。戦闘に仮託してお互いの主張をぶつけあう展開を予想していたのだが、フルイチが一人で自分の想いを語っていて、ときおりハルのセリフが挿入されることはあっても、アキユキ自身はとくに反論も何もすることがなかった。これは考えてみれば当然で、今回の対決はフルイチの勝手な思い込み、暴走によって引き起こされたもので、アキユキ本人の意思や行動は何の関係もないのである。だから、フルイチが自分の想いをすべて吐き出してしまい、またアキユキが言葉ではなくこぶしでそれに応えた段階で、フルイチは戦意を喪失することになる。ここでアキユキが何か反論をしていたら、きっとフルイチは逆上してさらに暴走し、結局それを殺すことで事態の解決を図るという展開にならざるを得ない。今回の話を視聴する前は当然そういう展開を予測していたのだが、それだともっとチープな印象の回になってしまっていただろう。フルイチを手のつけられない化物としてではなく、あくまで一人の若者であり、主人公たちの大切な友人として描けていた今回の脚本には、脱帽させられた。


敵を悪役として描かないというスタンスは、この作品では序盤から見受けられていたものであるが、Bパートから陰謀うずまく展開になった今回においても、典型的な悪役など一人として登場しなかった。垣巣中佐が何をやろうとしているのかはいまだ伏せられてはいたものの、彼の行動原理といい、自らが人質になったときの言動といい、じつに立派な軍人として描かれており、あまりのかっこよさに惚れぼれしてしまった。またアキユキを狙撃した兵士の描写など、劇としてはただの駒にすぎないレベルの人物までちゃんと「人間」として描いてある。こういう、単純な敵味方の構図で見させてくれないところが、今作の複雑さであり、魅力でもある。


さて無事逃亡したアキユキはナキアミのところに戻ると思ったのだが、変な人につかまって、記憶まで失いつつあるという急展開になってしまった。ハルと離れ離れになるとは予想していたが、まさかナキアミともはぐれてしまうとは。ザンバニ号もあのままというわけにはいかないだろうし、今後は複数視点でストーリーが展開されることになりそうだ。



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