デュラララ!! 第5話「羊頭狗肉」

羊頭を掲げて狗肉を売る。この言葉を見ると、どうしても宮城谷昌光『晏氏』を思い出す。自分が歴史ファンになったのは、この小説が直接のきっかけでした。




・興奮と冷静の狭間


今回のナレーター担当は個人的に注目の紀田正臣。ナレーター=その回の主人公、という構図は成り立たないとはいえ、彼の視点で改めて池袋とそこに生きる人々に斬り込んでいくことで、キャラだけでなく作品そのものに、まったく新たな要素を加味していく。


紀田は、もっとピエロな奴かと思ってたんですが、意外と(?)普通の少年だった。というか、あの道化っぷりは空元気だったらしい。もっと典型的な(そしてアニメではわりと珍しい)道化キャラだと思っていただけに、予想と違った点は少々残念ではあったが、しかし熱狂と興奮のるつぼにどっぷりと浸かっているようで、実際は誰よりも冷めた人物であるという彼の人間性は、これはこれでじつに興味深い。


そんな彼の視点から見ると、竜ヶ峯帝人はただのお上りさんでも無ければ純粋無垢な少年でもなく、危うさを孕みながらもじつに特異な切り口を持った、依存しがいのある親友に映るようだ。いままで、この二人の間にいったいどんな友情が築かれていたのか皆目分からなかったのだが、今回やっと、二人が友人であるという実感が持てた。


このあたりに、安直な人間関係の描写を意図的に回避している今作の凄みがある。この作者は、人並みよりは幾分深く、人間について知っている。




・バラバラに見えて、繋がっている事象


原作を読んでいない自分にはいまだに、劇中で起こっている様々の出来事が、何の脈絡もなくバラバラに展開しているようにしか見えていない。今回は紀田視点の描写が多かったが、彼がまったく関わっていない事件も並行して起こっているわけで、今回紀田と竜ヶ峯がニアミスしたセルティと切り裂き魔の邂逅は、設定上、紀田は知らないことになっているはずだ。今回に限らず、ナレーターはあくまでキャラクターの代弁者であり、そこで描かれている事件の全てを見たり知ったりしているわけでは、当然無い。ナレーターは物語の導き手ではあっても、語り部ではないのである。


だから、いくらナレーターが、劇を客観的に観察し語っているように見えていたとしても、それがそのまま事件の顛末を理解する助けにはなっていない。むしろ一人のキャラの視点に視聴者の意識を縛り付けることで、逆に我々の客観的理解を阻害している。我々は、必要以上に”バラバラ”に演出されたドラマを見て、ことさら混乱するよう仕向けられているようだ。


しかし、「この街で起こっていることは、一見バラバラなようで、きっとどこかで繋がってい」る。中心に向かってぐるぐると渦を巻きながら、不必要なほどに回り道を重ねながら必要な道程をすべて踏破した先に、我々が見出すことになるであろう「歪な真相」とは、一体どんなものなのだろう。



・甘楽って誰ぞ?


作品中で提示されている謎とか今後の展開について考察したり予想したりするのは、私はまったくもって苦手なのですが、「綺羅のキラッ★」の管理人・綺羅さんが、以前、チャットに出没する”セットン”なる人物が、セルティ・ストゥルルソンなのではないかと予想されていて、舌を巻いた。


今回は、まさにセットンがセルティである可能性が強まってきた。またそれにより、このチャット画面の挿入が単なるモブのつぶやきではなく、登場キャラたちに深く関わったものであったり、あるいは登場キャラそのものがチャットで交流している、なんて話に、なってきそうだ。


そこで疑問になってくるのが、甘楽の正体。山田太郎(これは竜ヶ峯帝人だろうと誰かが指摘していた。その通りだと思う)と会話するにあたって、セットンはわりと都市伝説を伝説にとどめておきたい(=日常重視?)様子に見えるのに対して、甘楽はむしろ伝説をリアルと捉えたり、ギャングの抗争を面白がって、非日常を楽しみたがっている傾向に見える。




もしセットンの正体がセルティなら、自身の正体を大っぴらにしたくないという心理から、伝説を信じないよう誘導したがるのは理解できる。加えてセルティは、本当に都市伝説とか怪談話が苦手そうだ(「宇宙人だったらどうしよう」とか、首なしに萌えるとは思わなかったw)。セットンが「怖いですねー」とか「平和が一番」と発言することに対して、前回と今回で見えてきたセルティの人間像は、わりとよく符合している。


では逆に、伝説の信ぴょう性を高めようとして、物騒な非日常を面白がる甘楽は、一体だれか?現時点では、ぴたりと対応するキャラクターがいない(あるいは候補が多すぎる)ために、見当がつかない。たぶんあまり良い心根の人間ではなさそうだなぁという、漠然とした予感があるだけだ。


チャットで描かれる人間模様が、ドラマの中にどう組み込まれ、消化していくのか。このあたりにも気を配りながら見ていきたい。



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  • ◎デュラララ!!#05「羊頭狗肉」

    Excerpt: クビナシライダーの正体が判明。正体はデュラハンだった。そして、セルティー、誰かにバケモノっていわれる。ミカドは、巨乳メガネのアンリさんと仲良く下校?マサオミは付き合ってといいだす。三角関係勃発。そして.. Weblog: ぺろぺろキャンディー racked: 2010-04-14 18:38