ソ・ラ・ノ・ヲ・ト 第9話「台風一過・虚像ト実像」
いまさら気付いたことがちらほら。漫然と見てたらいかんなぁ。
・今回のお話
今回はクレハをメインに据えながら、クラウスとの友情とも親子愛とも恋愛感情ともつかない奇妙な、しかし暖かい絆を描く。
アニメによく出てくるこういう物臭オヤジみたいなキャラって、「本気出すと実はスゴイ」というのが定番のパターンだと思うのだけど、クラウスの場合はそんなタイプに見せかけておいて、じつは本当にただの物臭オヤジだった。意外と言えば意外だが、しかし少女たちの日常をほんわかと描くこの作品では、さもありなん、といったところ。今作はあくまで普通の人間たちによる等身大のドラマであり、しかしそこに、人間の持つ本質の一側面が、描き出される。
英雄であることを望まれた凡人の悲哀というのは、こうやって悲しさと滑稽さの混じり合った巧みな描き方をされると、本当に胸を打つ。ヒーローであることを望まれながら、そして自分自身ヒーローであることを装い偽りながら、実際にはどこまでも凡人であることを自覚しているクラウスには、人間というイキモノの弱さや儚さ、そして強さが体現されている。
とくに今回は、手に余る期待を背負わせてしまったクレハが、クラウスの正体を知った上でなお彼を慕い続ける決心をしてくれたところに、大きな感動を覚えた。精一杯の努力が報われて、彼はクレハだけの英雄となったのだ。滑稽で物悲しい人物だが、しかし無茶な期待に懸命に応えようとするその姿が、大きな勇気を与えてくれた。
・水面下で進行しつつあるドラマ
このように表向きはクレハとクラウスのエピソードであったが、しかし着実に、終盤の展開に関係してきそうな伏線が配置されつつある。父からの電話を受けて心かき乱されるリオに、何が起こっているのだろうか。まとまらない停戦交渉とイリア公女の不在という状況が、暗雲垂れこめる政治劇の進行を印象付ける。
リオは、作り方によっては主人公になってもおかしくない設定のキャラだろう。もし今後、政治劇で彼女が表舞台に立つことはあっても、その同じ舞台の上で主人公・カナタが果たす役割というのは、現時点ではとても想像がつかない。あくまでリオが国家のために奮闘するのを、眺めたりサポートしたりするのが、カナタの役割になってきそうだ。もちろん、仮にそんなドラマが展開されれば、という話だが。
ところでイリアについてだが、”こうじょ殿下”という呼び名をてっきり「皇女殿下」だと思っていたのだけど、大公の娘なら公女という表記が正しそうだ。そしてその大公とやらも、別にヘルベチアの国君ではなく、有力諸侯の一人という位置づけで良さそうだ。共和国というくらいだから王はいないと思うが、かといって議会制にも見えない。一部の貴族やら領主やらといった支配者層が元老院を形成していると見るのが、妥当そうだ。
・今回は良いぱんつ回
冒頭でいきなりぱんつを干すシーンから入ったのは、前回のお漏らしといい、あまりにも下ネタに走りすぎてどうかと思ってしまうのだが(ご褒美とも言うw)、冒頭だけでなく、後輩トリオはことさらぱんつ描写が目立った。これは一体、どういうあれだ?w
しかし、ぱんつや寝巻も含めて、映像的には非常に魅力的で、かつ高レベルな回だったと思う。今作はいつも映像クオリティが高いけれど、今回のAパートなどは、キャラの演技がじつに特徴的に、よく動いていた。わりと地味なエピソードだっただけに、演技や演出で魅せることができているというのは、実に大きい。
こう言っては大変失礼かもしれないが、今作は、ストーリーとかどうでもいいから映像だけでもじっくり眺めていたい、と思わせてくれる作品だと思う。
・一年間を描ききる流れか?
今回は台風の話ということで、いまさら気付いたことがある。それはこの作品が、春にカナタが1121小隊に入学(あえてこういう表現をさせていただく)してからの1年間を、順繰りになぞっていく構成らしいということだ。
第1話がまだ肌寒さの残る春の描写。第4話では梅雨が描かれ、その後に遠足やらお盆があった。今回は畑の収穫と台風で、次回はどうやら雪が降るらしい。となると、最終話ではまた春を迎えて、卒業式か、それに類するエピソードをやりそうではないか。そんな感じで、カナタが入学してからの1年間を描くのが、今作の基本的な流れになりそうだ。気付くのが遅いと言われても、今書いておかないと恥ずかしくて2度と書かない気がするので、今のうちに言及しておくw
気付いてないと言えば、今作の舞台が地理的には日本にあたることを、意外と気づいていない人がいるらしい。第2話で思いっきり描かれてましたけどね。ちゃんと意識して見ておかないと、季節感の描写にいまさら気付いたり、舞台が外国だと勘違いしたりする。いかんですね。今後の自分への戒めとしたい。
----
というわけで次回は初雪が降るらしいが、「旅立チ」とは何のことを指すのか。そろそろリオに関するエピソードが動き出すのか、それともまだまだ、ほのぼの学園ドラマが続くのか。個人的には、せっかく気の置けない仲になってきたカナタたち三人娘を、もっとじっくりたっぷり堪能したかったりします。
それでは、今回は以上です。

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・今回のお話
今回はクレハをメインに据えながら、クラウスとの友情とも親子愛とも恋愛感情ともつかない奇妙な、しかし暖かい絆を描く。
アニメによく出てくるこういう物臭オヤジみたいなキャラって、「本気出すと実はスゴイ」というのが定番のパターンだと思うのだけど、クラウスの場合はそんなタイプに見せかけておいて、じつは本当にただの物臭オヤジだった。意外と言えば意外だが、しかし少女たちの日常をほんわかと描くこの作品では、さもありなん、といったところ。今作はあくまで普通の人間たちによる等身大のドラマであり、しかしそこに、人間の持つ本質の一側面が、描き出される。
英雄であることを望まれた凡人の悲哀というのは、こうやって悲しさと滑稽さの混じり合った巧みな描き方をされると、本当に胸を打つ。ヒーローであることを望まれながら、そして自分自身ヒーローであることを装い偽りながら、実際にはどこまでも凡人であることを自覚しているクラウスには、人間というイキモノの弱さや儚さ、そして強さが体現されている。
とくに今回は、手に余る期待を背負わせてしまったクレハが、クラウスの正体を知った上でなお彼を慕い続ける決心をしてくれたところに、大きな感動を覚えた。精一杯の努力が報われて、彼はクレハだけの英雄となったのだ。滑稽で物悲しい人物だが、しかし無茶な期待に懸命に応えようとするその姿が、大きな勇気を与えてくれた。
・水面下で進行しつつあるドラマ
このように表向きはクレハとクラウスのエピソードであったが、しかし着実に、終盤の展開に関係してきそうな伏線が配置されつつある。父からの電話を受けて心かき乱されるリオに、何が起こっているのだろうか。まとまらない停戦交渉とイリア公女の不在という状況が、暗雲垂れこめる政治劇の進行を印象付ける。
リオは、作り方によっては主人公になってもおかしくない設定のキャラだろう。もし今後、政治劇で彼女が表舞台に立つことはあっても、その同じ舞台の上で主人公・カナタが果たす役割というのは、現時点ではとても想像がつかない。あくまでリオが国家のために奮闘するのを、眺めたりサポートしたりするのが、カナタの役割になってきそうだ。もちろん、仮にそんなドラマが展開されれば、という話だが。
ところでイリアについてだが、”こうじょ殿下”という呼び名をてっきり「皇女殿下」だと思っていたのだけど、大公の娘なら公女という表記が正しそうだ。そしてその大公とやらも、別にヘルベチアの国君ではなく、有力諸侯の一人という位置づけで良さそうだ。共和国というくらいだから王はいないと思うが、かといって議会制にも見えない。一部の貴族やら領主やらといった支配者層が元老院を形成していると見るのが、妥当そうだ。
・今回は良いぱんつ回
冒頭でいきなりぱんつを干すシーンから入ったのは、前回のお漏らしといい、あまりにも下ネタに走りすぎてどうかと思ってしまうのだが(ご褒美とも言うw)、冒頭だけでなく、後輩トリオはことさらぱんつ描写が目立った。これは一体、どういうあれだ?w
しかし、ぱんつや寝巻も含めて、映像的には非常に魅力的で、かつ高レベルな回だったと思う。今作はいつも映像クオリティが高いけれど、今回のAパートなどは、キャラの演技がじつに特徴的に、よく動いていた。わりと地味なエピソードだっただけに、演技や演出で魅せることができているというのは、実に大きい。
こう言っては大変失礼かもしれないが、今作は、ストーリーとかどうでもいいから映像だけでもじっくり眺めていたい、と思わせてくれる作品だと思う。
・一年間を描ききる流れか?
今回は台風の話ということで、いまさら気付いたことがある。それはこの作品が、春にカナタが1121小隊に入学(あえてこういう表現をさせていただく)してからの1年間を、順繰りになぞっていく構成らしいということだ。
第1話がまだ肌寒さの残る春の描写。第4話では梅雨が描かれ、その後に遠足やらお盆があった。今回は畑の収穫と台風で、次回はどうやら雪が降るらしい。となると、最終話ではまた春を迎えて、卒業式か、それに類するエピソードをやりそうではないか。そんな感じで、カナタが入学してからの1年間を描くのが、今作の基本的な流れになりそうだ。気付くのが遅いと言われても、今書いておかないと恥ずかしくて2度と書かない気がするので、今のうちに言及しておくw
気付いてないと言えば、今作の舞台が地理的には日本にあたることを、意外と気づいていない人がいるらしい。第2話で思いっきり描かれてましたけどね。ちゃんと意識して見ておかないと、季節感の描写にいまさら気付いたり、舞台が外国だと勘違いしたりする。いかんですね。今後の自分への戒めとしたい。
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というわけで次回は初雪が降るらしいが、「旅立チ」とは何のことを指すのか。そろそろリオに関するエピソードが動き出すのか、それともまだまだ、ほのぼの学園ドラマが続くのか。個人的には、せっかく気の置けない仲になってきたカナタたち三人娘を、もっとじっくりたっぷり堪能したかったりします。
それでは、今回は以上です。

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この記事へのコメント
いやそうでもないか。
まずクラウスについての見解が若干違う?
ダメなオッサンだったけど、最後の最後でちゃんと魅せてくれたぢゃないですかww
そして「こうじょ」と「一年間を描く」。
こんなこと一切考えてなかったですww
でもおパゲさんのを読んでるとなるほどなぁと理解できましたね。
それにしてもちょっとパンツ回だからってぱんつぱんつ言うの見てると、さすがおパゲさんだなぁと思いましたよwwww
いつも思うけど、こういう心に訴えかけるアニメの場合。
おパゲさんはズレてるよね。まあ、それが面白くて楽しいんだけどw
確信を掴みたいけど掴みきれないもどかしさが文章から伝わるよ。
パンツがどうとか言ってたら、ヨーク兄さんがまた怒るよ。たぶん。
って事前にここで言っておけば大丈夫だから(笑)
安心しなさいw
>焔さん
クラウスですか。最後に魅せてくれたけど、あくまで凡人なりの努力を見せるところに、今回の彼のカッコよさがあり、感動があったと考えています。
>技研さん
仰る通り面白くなるように、あえてズレた書き方をしています。たぶん見てる時の感覚は他の人とほとんど変わらないと思われます。
そうして書いたものが確信を掴んでいるかどうかは謎ですね。自信があるわけではないですが、かと言って掴めてないとも思っておらず、自分なりの方程式で自分なりの解に辿りつくことを目標としています。あとはそれが、読み手の解と一致するかどうかが「ズレ」云々という話なのでしょうけれど、そこはあまり重視してません。
むしろ心に訴えかけるエピソードは読み手の人生が問われますので、他人と一緒だったら嫌ですね。他人と感想を共有できるということは、その人と同じような生き方をしているか、でなければ浅い感想にしかなっていない、ということだと思うのです。
って、ヨーク兄さんにしかられますかw あぁ、あの人は怒りそうだなぁ。でも、ただぱんつだからって狂喜してるわけではないことは、読んでいただければ分かると信じてますw