とある科学の超電磁砲 第22話「レベル6<神ならぬ身にて天上の意思に辿り着くもの>」

つぶあん以外は邪道です。



・加速してゆくミステリー


過去最高レベルにギクシャクしていながらも、ものすごい勢いで事件の真相に迫っていく主人公たち。すでに提示されていたパズルピースと、今回新たに用意されたピースとが次々と結合されながら、次第に事件の全体像が見えてくる。あたかも、ゆっくりと衛星軌道上を旋回していた落下物が、重力の中心に近づけば近づくほどその速度を増していくように、ミステリー展開が加速度を増してきた。


レベルアッパー編で、美琴が木山の記憶を共有するシーンがあったが、当時見ていたときは、あの設定に意味があるのかと疑っていた。どうして記憶を共有できたのか、あまりに強引な理屈をこねて説明されていたのが少し癪で、木山の身の上に対して同情を促すにしても他にやりようがあっただろう、などと考えていた。それが今回ようやく、美琴に映像として枝先絆理の顔を見せることに、意味がある伏線だったというのが明らかになった。


じつは今でも、当時の”記憶の共有”には納得いってないんですけどね。もうちょっとスマートなやり方はなかったのかなぁと。だからと言って、どうしろとも言えないわけですが。


何にせよ、まずはポルターガイスト現象の発生源と、その理由までを突き止めることができた御坂美琴。まずは第1章クリア、といったところか。木山がカエル医師と一緒にいたのは驚きだったが、テレスティーナの登場のタイミングやその表情などは、だんだん黒幕っぽくなってきた。彼ら科学者たちの対立構造や意見のぶつかり合いが、このエピソードの核となってくるのだろう。




・科学は人を救えるか?


レベルアッパー編と密接な関わりを持って展開される現在のエピソード。この一連の流れの中で突きつけられるテーマは、「科学は、人を救えるか?」ということだと思う。もちろんそれが全てでは無いにしても、かなり大きな部分を占めているのは間違いない。


科学は、しばしば暴走する。人間の欲望に対して、ただ純粋にツールでしかない科学は、あまりにも脆弱だ。それはレベルアッパー編でも描かれたし、まさに今のエピソードでもじっくり取り組んでいるテーマでもある。


そして、テレスティーナに抗おうとした木山へ投げつけられた、美琴の一言。あくまで科学者であり、自分の科学によって子どもたちを救おうとする木山にとって、「救えてない」という現実は、あまりにも冷酷なものであったろう。


所詮、科学とは道具に過ぎないのだ。また能力も同じである。たとえどんなに明晰な頭脳を持っていようとも、はたまたどんな高位能力者であろうとも、結局、人を人たらしめるのは道具ではない。




科学を発展させたり、優れた能力を開発することに、本来どんな意義があるのか、正しく指摘することはむつかしい。人類は何千年も前から、ただむやみに優れたモノ、強いモノを追い求めてきた。その延長線上に築かれた現在の文明は暴走する馬車のようなもので、いまさらそれを押しとどめようとしても、無益なことに思えてしまう。だが、その馬車に乗っている人間までが、暴走してよいというものでもないだろう。


「とある科学の超電磁砲」と冠せられたこの作品が、科学のあり方に疑問を投げかけ、本来人間にとって大切だったはずのものを思い出させてくれることになれば、それは願っても無いことだ。今後のテーマの描き方に、よくよく注目しながら見ていくことにしたい。




・今週の初春(笑


先週、多くのブロガーから散々「うざい」と言われまくった初春。こんな健気な少女にその物言いはねぇだろうと憤慨してたのだけど、同じような感情を抱く方も多かったようで、あちこちでフォローされていて微笑ましかった^^




さて今週も、「うざい」と言われそうな言動を取りまくっている初春。もちろん私としては、うざいと言う輩には断固として抗議したい所存ではある。けれど、だからといって全面的に擁護しきれない意地っ張りなトコロもあって、まぁそこが可愛いんだよと言われればそうなのだけど、大人な対応をしようとしてる黒子と、子どもの喧嘩みたいになっている初春では、土俵が違うと言わざるを得ない。


けれど実際、初春がここまで意固地になっていることが、春上衿衣というひとりの人間を支える最後の砦になっているという事実。これを、もっともっと評価してあげないといけない、と思います。今は劇の方向性がサスペンス色に染まっているので、どうしても初春の態度は浮いたものに見えてしまう。けれど、春上衿衣の救済は、事件の解決と同じくらい、いや、それより遥かに重要な問題だ。


黒子や美琴は、犯罪者の検挙という方向に考えが向いてしまっている。もちろんそれは、これ以上被害を増やさないためにはとても大切なことなので、そっちはそっちで頑張ったらいい。だが、目の前で苦しんでいる友人を救うことが、事件捜査のために後回しにしてよいはずがない。初春は、大義名分のためについ忘れられてしまいがちな、しかし人としてとても大切なことを、その身をもって教えてくれている。


初春の子どもっぽい態度は、確かにあまり誉められたものではないかもしれない。けれど、あの不器用な初春が、仲良し4人組の関係をあえて壊してまで意地を張っているその理由を、考えてほしい。初春は、黒子や美琴たちに何かを伝えたがっているのだ。けれどそれを上手く言葉にすることができなくて、もがき苦しんでいる。なにも喧嘩がしたくて怒っているのではないわけで、この態度が、初春の精いっぱいの自己表現なのだと、考えてあげるべきだろう。




今回明らかになった初春の能力は、「手にしたモノの温度を一定に保つ」という、現時点では笑えるほど意味不明で役立たずな能力だ。けれど、そんな能力を持った初春が、あえて黒子たちとの人間関係の温度を激変させているという現実は、よくよく考えてあげないといけないと思います。



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さて、次回タイトルからは何が起こるのかさっぱり分からないが、木山せんせいが活躍するだろうと言うことだけは分かったw クライマックスの真っ最中でもあるし、大いに楽しみにしたい。


それでは、今回は以上です。



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この記事へのコメント

2010年03月07日 10:03
おパゲーヌスさん、こんにちは。

科学は人を救えるか?
普遍的で良いテーマですよね。おパゲーヌスさんの記事を楽しく読ませて頂きました。

僕の意見も言うなれば
「所詮、科学は道具なんだよ」

ん?どこかで聞いたような... ....

そして僕は邪道の「こしあん派」でもあります。
では、失礼しました。
おパゲーヌス
2010年03月07日 15:27
>ひさかさん
コメントどうもありがとうございます。気に入っていただけたようで、嬉しいです。

ひそかさんの記事での、初春の能力は体温維持に役立つのでは、というご指摘は、なるほどと思いました。思いつかなかったです。

科学にせよ能力にせよ、ただの道具だからこそ、人を傷つけるだけでなく救うこともできる。そんなメッセージ性のこもった展開を、期待しています。


あんこは、つぶあんに限ります。どんなお菓子でも、こしあんとつぶあんで、嬉しさが3割ほど変動します^^

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