四畳半神話大系 第2話「映画サークル『みそぎ』」

この低俗さが、たまらない!w




・少しづつ見えてきた


他の深夜アニメに比べると、あまりにも奇抜で特殊なアニメーションに仕上がっている今作だが、湯浅監督をはじめとするアニメスタッフの感性や創意工夫にももちろん十分驚かされながら、前回、自分にとってそれ以上に興味を引いたのが、ストーリーテリングの問題だった。冒頭から、まず怒涛のような膨大なセリフで畳み掛ける脚本と音響に魅せられ、打ちのめされた印象が強くて、映像演出の面白さと相乗効果となって押し寄せてくる作品世界に、完全に入れ込んでしまった30分間だった。


もちろんその興味は第2話になってもいささかも薄れることはなく、むしろその特異性ゆえに一層の興味を掻き立て、劇中に引き込ませるストーリー展開に、改めて惚れ惚れした。映像は面白い。でも話はもっと面白い! 湯浅政明をよく知る人からは怒られてしまいそうだが、しかし事実なんだから仕方が無い。


今回は、作品の構成を視聴者に知らしめるために非常に重要な役割を負った回だったと、言うことができよう。まるで某エンドレスエイトみたいだなと思った視聴者は、私も含めてきっとずいぶん多かったのではないか。まさに今回は、主人公が学生生活の2年間を繰り返し経験するというループ構造で(正確には、巻き戻し構造と言うべきか)、要所要所で印象深いファクターをデジャヴとして提示することで、時間迷宮の面白さと、主人公の辿る人生の滑稽さや儚さを強調して見せた。そして、次回以降もこんな感じのエピソードが続くのだろうという風に、視聴者にある程度の予測を立てさせる意図があった。


エンドレスエイトは、何回も繰り返したから飽きたのであって、2周目や3週目は大変興味深く、面白く視聴できた。今作も同じように、第2話時点ではただ繰り返すだけで相当に視聴者の興味を引きつけるチカラを持っている。しかしながら、まったく同じことを繰り返す必要はまったく無いわけで、もちろんサークルを替えるというのが大きな変化のひとつなわけであるが、占い師の請求が値上がりしていたことにツッコミを入れたりと、早くも小さな変化を提示して楽しませてくれている。こうした点を印象深く提示することができたことも、今作の構造を理解するためのヒントとして効果を発揮している。


恐らく、最終的には主人公が一念発起して明石さんに告白をするその時がやってくるのであろう、そしてそこにいたるまでの彼の努力やヘタレっぷりを、繰り返し描いて見せるのが「四畳半神話大系」という作品の基本的なプロットなのだろう 。




・先入観をどう活用するか


こうして視聴者に予測や先入観を植え付けさせた第2話だったわけだが、この先入観は視聴者としては大切にしておくのが良いと思う。作品の構成についての予測は、そう思わせることを作り手が意図しているわけだから。あとは、そうして視聴者に植え付けた”予測”を、なぞるにせよ裏切るにせよ、最大限に活用してくれるものと期待している。


とくに注目すべきは、デジャヴとして提示される小さなファクターだ。大学入学当初の回想、飲み屋での小津の言葉、占い師、迫られる決断等々。これらが、どのように繰り返され、あるいはどのように変化したかを見て行くことが、主人公の言動と同じくらい重要な意味を、持ってくるような気がする。


そして今回、もっとも大きな違和感を与えたカステラ。ここだけは前回のトレース的なデジャヴではなく、明確に、前回のエピソードを引き取っての存在であった。このカステラが何を象徴しどのような役割を持っているのか、次回以降のエピソードを読み解くカギになるのは間違いないが、それにしても、第2話にして早くも「この展開は前回の人生のやり直しである」という視聴者の先入観を、見事に逆手に取って見せたシーンだった。まったくもって”食えない”作品である。よく練られた意地の悪い構成に、ただただ脱帽するしかない。




・テーマは果たして恋愛か?


ストーリーの技巧的な面白さと同じくらい興味をそそられるのが、この厄介な構造をもったドラマを通じて、何を描こうとしているのか、という点だ。


前回のエピソードでは、主人公があまりにもヘタレで、彼の人間としての成長というか、勇気を振り絞ることを学ぶためのドラマなのではないかと、勝手に考えていた。しかし、題材としてはやはり恋を扱っているようにも見えるが、今回のエピソードを見て、まだまだ断定することは出来ないと思い返すことになった。


今回の最後のセリフ。主人公が明石さんに見せると”約束”した純愛映画のラストシーン。


「お前はいつも私に付きまとってくれるね」

「これが私なりの愛ですわ」



そして、それを眺めていた画面の外(あるいは内か?)の主人公が、「そんなもの いらんわい!」と叫ぶ。


この幕切れはなかなかに意味深だった。彼は何を「いらん」と叫んだのか? まさか、自分と小津の気色の悪いキスシーンに突っ込んだわけでもないだろう。そうではなく、作品の根幹に関わるセリフであったはずだ。


もし彼が「いらん」と言ったその対象、すなわち「そんなもの」が、愛そのものを指すのだとすれば、前回あれほど青春の幸福を望んでいた彼が、今回は少し考えを変えていたらしいということになる。あるいはもう少し限定的に、「付きまとう」愛は、これをいらないと言ったのだとしたら、そこで問題にされているのは、真実の愛とは何か、という話かもしれない。ちょうどダッチワイフのエピソードだったわけで。


けれどそれでも、なんかしっくり来ない。もっと抽象的な話のような気もするし、もっと具体的な話のような気もする。もう少し次回以降の話を見て、今作が何を描き出そうとしているのか、考えてみる必要がありそうだ。


ともあれ、ひとつ「青春」という言葉でひとくくりにできそうなテーマが横たわっていることは、たぶん、間違いないと思う。それが、恋や愛と密接な関わりのある青春なのか、もっと大きい意味での青春(例えば、有意義な生き方とは、等)を扱っているのか。よくよく注目しておきたいと思う。



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それでは、今回は以上です。



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