四畳半神話大系 第3話「サイクリング同好会『ソレイユ』」

やばい、やばい、やばい! 今回は本気で打ちのめされた!




・イカロスの愚行


今回は、主人公のひたむきな、あまりにひたむきな努力が、一切報われないという悲哀を描いて見せたエピソードだった。アバンからイカロスへの言及があったとおり、身の丈に合わぬ挑戦に邁進して破滅していく姿は、まさにイカロス同様の愚かしさがあった。


しかし面白いのは、身の丈に合わない無謀さというのは、確かに馬鹿だけれども、不思議な魅力がある。イカロスが、愚かしさよりはむしろ称賛を持って語られるのと同じように、今回の主人公の”無意義な”2年間とそのあっけない結末も、誰が笑えようか。彼は確かに英雄であった。否、英雄になりきれなかった阿呆であった。いやそれも違う、彼は、英雄になりたかった阿呆であった。


そんな主人公の悲哀を、滑稽かつドラマティックに見せてくれた今回のエピソードに、心から激しく打ちのめされた。




・結末の見事さ


とにかく今回の話は、ラストへ向けて一気にスパートをかけていったその展開と映像表現に尽きる。


小津が帽子とコートを主人公にかぶせていくあたりまでは十分に予測の範疇で動いていたが、そこから飛行機が坂を下って行った先は、分かりやすく激しい映像で見せてくれていたのも確かなのだが、これほど引き込まれるとは思わなかった。


重力をはっきりと感じさせる圧倒的な加速感は、手法としては「フミコの告白」を連想させるものだが、映像でぐいぐい引っ張っていくその表現手法に加えて、明石さんが自転車で追いかけてくるというまさかの展開が切迫感を倍増。もうこれは飛行機に乗るしかないと主人公も視聴者も心をひとつにしての決心が、加速装置のない滑空機であったという予想外すぎるオチにすべて吹き飛ばされ、希望が絶望へ、勝利が敗北へと切り替わるその混沌の瞬間を狙い澄ましての墜落・水没。


この一連のアニメーションは、脚本上の仕掛けと映像表現と、そして声優の演技を含めた音響演出がうまく掛け合わされた上に、すべてが絶妙のタイミングで展開されたものだった。まさに、クライマックスと呼ぶにふさわしいシーンであり、かつイカロスの愚行にふさわしい結末だった。すごい、すごいと、見終わった後に唸らされた。まさに、圧巻。見事だった。




・徐々に変化しつつある生き様


そんな、情けなくもカッコいい幕切れとなった今回のエピソードだったが、今回は第2話までとは異なり、カッコよさを多分に孕んだ結末にも納得できるだけの生き方を、主人公が見せてくれた。


こうして第3話まで並べてみると、主人公の生き方が少しづつ良い方向へと変化しているような印象を持つ。第1話では、男女の交友を妬ましく思っての姑息な妨害活動。第2話では、不毛だが一応はクリエイティブな自主映画撮影。そして第3話では、身の程知らずな目標を、さらに身の程知らずな努力によって果敢に挑戦してみせた。いちおうは、人生をやり直すたびにより有意義な生き様を送れるようになってきているようだ。


そして変化しているのは主人公だけではない。彼と出会って全力で彼をダメにする悪魔の申し子・小津もまたしかりだ。第1話では主人公の嫉妬心を焚きつけ助長する役割だったが、第2話では当初の計画を大幅に変更したスキャンダラス映画の制作に強引に向かわた。だがそこまでは、小津は主人公の手助けをするという名目で動いていたわけだ。


だが今回はどうか。とっとと帰れと突き放された小津は、懸命にに愚かしい努力を続ける主人公を後目に、それを手伝ったり方向転換を仕向けようとするでもなく、ただ彼を妨害する役回りに徹した。


この、助長→妨害 という小津の態度の変化にこそ、主人公の生き様、その情熱のはけ口の方向性の変化が、見て取れるのではないかと思う。




もちろん、第1話から変化してきている部分は、ループ演出を際立たせる個々のファクターの変化にもちゃんと提示されているわけで(拾った”もちぐま”を返そうと決心したり)、着実にゴールが近づいているのは間違いない。いったい、主人公が最後に掴み取ることになる成果とはいったい何なのか、そしてどうすればそれを掴み取ることができるのか。噂によると4話構成の今作、とすればそろそろ佳境に差し掛かるわけで、どのようなドラマが眼前に展開されることになるのか、大いに楽しみにしたい。



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それでは、今回は以上です。



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