地球少女アルジュナ DVD-BOX購入記念レビュー 第2話「青い光」

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「海が見たい」

このなにげない一言が、ごく普通の女子高生、有吉樹奈を大いなる使命へとむかわせる。

事故で瀕死の重傷を負った彼女は垣間見る。現代文明の行き着く姿、穢れた地球の未来を。

そんな彼女の前に現れる謎の美少年クリス。

「もしも地球の未来を開くならば、いま一度、命をさずけよう」

謎の存在・ラージャと戦う運命を担わされる樹奈。運命の先に光はあるのか?


原作・シリーズ構成・監督:河森正治/シリーズ構成:大野木寛/キャラクターデザイン:岸田隆宏/デザインサポート:佐山善則/デジタルコーディネート:竹内康晃/3Dモーション監修:板野一郎/美術監督:太田大・野村正信/色彩設計:笠森美代子/美術設定:平澤晃弘/音楽:菅野よう子/音響監督:三間雅文/副監督:佐藤英一/アニメーション制作:サテライト



さて、今回は第2話のレビューに取りかかりたいと思います。第1話の記事はこちら


前回は、交通事故に巻き込まれた主人公・有吉樹奈(ありよし じゅな)が、臨死体験の最中に出会ったクリスという少年の導きで、時の化身として覚醒。堂ヶ崎原子力発電所に襲いかかるラージャという敵と対峙したところで幕引きとなりました。

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今回のエピソードはその続き。第1話・第2話をセットのエピソードとして「樹奈 覚醒編」などと名付けるとするなら、第2話は30分まるまるを戦闘シーンに充てた、序盤のクライマックスと言える回でしょう。


今回もまた、あらすじを追いかけながらキャプ付きで紹介して行こうと思います。第2話「青い光」のメインスタッフは、

脚本/河森正治 絵コンテ/河森正冶・渡辺純央・佐藤英一 演出/山畑祐隆 作画監督/谷津美弥子

となっています。


それでは、まいりましょう。


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・Aパート あらすじと見どころ



さて前回、樹奈は時夫とともに、ラージャに襲われた原子力発電所へやってきましたが、樹奈は時夫に危機が迫ったからナントカ変身して見せたものの、原発はさらに大変なことになっていました。原因不明の緊急事態は発生するし、巨大なラージャは接近するしで、時夫一人だけでなく畿内全域が窮地に立たされるこの状況。果たして樹奈はどうやって切り抜けて見せるのか!




ということで、作劇としてはまだまだ魔法少女的なノリを引っ張るAパートは、早速ラージャに対抗すべく、樹奈に武器が手渡されます。それが、「穢れし魔を清め、この世に光をもたらす聖なる弓、ガンディーバ。このアニメのモチーフになった『バガヴァッド・ギーター』で、主人公であるアルジュナ王子が使う武器の名前だとか何とか。詳しいことは他サイトを参照くだされw

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これがガンディーバ。静止画だと分っかりづらいですが、かなりデザインも色彩も凝った武器になっています。めちゃめちゃカッコイイ。


クリスに「お前に使いこなせるか?」とおちょくられて、「やったらええんやろ、やったら!」と、なかばヤケクソになりながら奮起する樹奈。

狙いを定めて・・・
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発射!!
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しかし、樹奈の放った渾身の一撃はひょいっと避けられて
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遠くの方で、ズドーンwww
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樹奈「あっ・・・」



「あっ」じゃねぇっ!!!www


まぁイキナリ実戦でこんな大層なモノを持たせるのもどうかとは思うw 第1話で樹奈は、弓道の大会で思いっきり失敗してたわけでw 


しかしここのシーンはすごく印象に残りましたね。ジョージ・ルーカスが、緊迫したシーンの中にこそ笑いの要素を入れる演出を良くやりますが、ここもまさにそういう感じで、セリフ、キャラの演技、BGM、それにカメラワーク等で最高潮に盛り上げ、「お、これはイケるかも!」と思った瞬間の、マヌケな体たらく。第2話はほぼ全編が緊迫した回で、しかもビジュアル的には序盤の大きな見せ場なので、こういうメリハリの利いた脚本・演出で魅せるというのは、すごく巧いやり方だなぁと思いますね。


ついでに言うとこのシーンでは、シンディが秀逸でした。
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「ドジ!」って、めっさ可愛いじゃないかw


そうそう、前回の記事では紹介してませんでしたこのキャラ。彼女はシンディといって、見ての通りのロリっ子&ツンツンキャラ。SEEDに所属し、特殊な能力(テレパシー)が使えて、いつもクリスのそばにくっついています。クリスが大好きで仕方が無いので、クリスの代わりに時の化身をやることになった樹奈にやたらと敵愾心(というか嫉妬)の炎を燃やすので、クリス以上にうざいことこの上ないのですが(笑)、ここぞと言う時に一番頼りになる人物のひとり。それになにより、話数が進むにつれてどんどん魅力的になっていくというキャラですねw




さて、攻撃をまんまと避けられてしまった樹奈。こうなると一気に彼女に恐怖がとりついて、錯乱状態になってしまいます。そしてここからがまた「アルジュナ」らしい超展開というかですねw 唐突に、時の化身を守る守護神・アスラなんてものが登場し、SEEDの人は「まさか、もうアスラを呼び出せるの!?」なんて驚いたりしてますが、視聴者は完全に置いてけぼりを食うハメにwww

これがアスラ。
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まぁこのあたりから、いわゆる魔法少女的な展開からだんだんかけ離れてくるわけでしてw アスラは、樹奈を守るという役目に関しては素晴らしい働きを見せますが、一方でラージャと大格闘戦を演じるものだから、余計に原発が破壊されて大変なことに。建物は破壊され、冷却材が次々と漏れだし、しかもそれを特定するセンサーまでイカれてしまい、このままではメルトダウン必至の状況になってしまいます。残された時間はわずか20分! 仕方なく発電所の所長は、周辺地域への通達と、全職員の避難を決断する事態になりました。


さすがに見かねたクリスは自ら樹奈の元へ降下。彼女の恐怖を和らげてやると、こんこんと説教をしはじめます。


クリス「なぜアスラを呼び出した?」

樹奈「(ちんぷんかんぷんな顔で)きっと、あれ(ラージャ)と戦うために・・・」

クリス「馬鹿な・・・。
誰が戦えと言った?

樹奈「え、何言うてんの? だってアンタが魔物と戦えって」

クリス
「戦えとなど言っていない」


ハイ、来ました!クリス君の嘘っぱち説教www 明らかにこの人は「戦え」と言って命を授けたのにこんなことを言うとか、樹奈も視聴者も頭の中がハテナマークで一杯ですよw 


しかしここは非常に重要なシーン。セリフ上は明らかに「戦え」と言っているのに、その真意はまったく別のところにあった。これは、言葉のもつ不安定な要素をことさらに強調する今作の、ひとつの軸となるテーマなのですね。つまり、表面上の言葉が表す意味など、ほんのわずかに過ぎない。否、本当の意味を曲げて伝えてしまうことさえ、往々にしてある。コミュニケーションにおける、言葉に対する不信と、魂への回帰。これが、「アルジュナ」という作品を貫くひとつの主要テーマでありまして、以後何度も何度も、おなじようなシーンに我々は遭遇することになるのです。


もちろんこの時点では、クリスの言っていることなんてさっぱり理解できるはずが無いわけで、樹奈は「一生懸命戦ったのに・・・」とまるで駄々っ子のように泣きだしそうになります。「愚かな」が口癖のクリスもさすがに心が折れたか、ぎゅっと抱きしめて彼女の不安や恐怖を取り除いてあげることに。
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もちろん、この光景を見ていた時夫は、目の前で浮気をされて大きなショックを受け(一般人には樹奈の変身もラージャもアスラも見えて無い)、一方シンディは嫉妬の炎をメラメラとw 樹奈がクリスに気があるんじゃないのかという不安は、当分先まで、時夫とシンディに付きまとい続けます。



これでようやく、暴れるアスラを抑えつけたクリス。しかしラージャが生き残っていて原発への危機は去っていないので、樹奈たちをヘリに乗せて逃がしたあと、自分が残ってラージャと対決することになるのでした。一方、緊急避難を実行したはずの原発内部にも、まだ諦めずに踏みとどまる人影が・・・。





・Bパート あらすじと見どころ


さてBパートです。ここでは、第1話から顔を出していた発電所の所長さんが、主役級の活躍を見せて驚かされます。というのも、職員を全員避難させたあと、たったひとりで破損個所を修復に行くという、どこの艦長ですかってな行動に出るわけですw


そんな所長の行動を知ったSEEDのテレサ。この女性はゲストキャラではなくレギュラーメンバーです。特殊能力は使えませんが、科学班の実行部隊的な立ち位置の人で、その強靭な肉体で活躍する、ザ・傭兵といった感じの女性。
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この二人でメルトダウン寸前の原子力発電所内部を調査するという、英雄的な行動に出ます。カッコいい!!



一方クリスは、こちらもかなり大変なことに。
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クリスは基本的に幽体離脱して戦うのですが、幽体のほうはめちゃくちゃ強いんだけど、生身の体が常に瀕死の状態という厄介な状況なのですw そしてラージャはそれに気付いていて、小型ラージャにクリスの体を襲わせる。護衛の傭兵さん一人では対処し切れないという大苦戦!




さぁこうなってくると、やはりヒロインの出番が無いとどうしようもないですよ、という状況なわけですが、ここで樹奈を奮起させるシンディの言葉が、すごくいい。原発がやられれば樹奈たちの暮らす街だってただじゃ済まされないと脅してハっとさせたところで、


「ふん、自分たちのことになると心配なのに、そうじゃなかったらどうでもいいってコト?」


これですよ! 環境問題を取り上げるときに、必ず付いて回る葛藤! 

例えば2010年現在、ようやくエコだの何だのと叫ばれる機会が増えて来ましたが、それだって結局、自分たちの子どもや孫の世代のために、って論調だもの、呆れかえる。そうではなくまさに今、自分たちに降りかかりつつある危険なんだ、という意識が決定的に欠如しているのが、いつまでたっても、環境問題が解決に向かわない最大の原因ですね。シンディが樹奈に語りかけたのは、まさにそれを端的にぶつけてきたメッセージだと思います(今回は環境問題じゃないけど、原子力だっておんなじ)。




このシンディの言葉で我に返り、かつ時の化身としての超能力(?)で、クリスや所長たちの孤軍奮闘っぷりをしっかりと目に焼き付けた樹奈は、いよいよ本来の使命感に立ち返って、ふたたび現場へ急行する決心をします。ここからの展開はまじで燃える!

ヘリから飛び降りる樹奈!
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変身後の、カッコいいどアップ
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・・・えっとですねぇ、この一連のアクションシーンは、キャプ無理!w 静止画じゃ無理です、ろくな絵が取れないwww


ようは、そんだけ動きの妙で魅せるアニメーションになっているということです。ヘリから落ちてきたときの着地シーンとか、ラージャの攻撃を避けながら狭い空間を高速で移動していくトコとか、とにかく魅力的な見せ方をするアクションシーンですよ。それに、ほんの一瞬のミスですべてが台無しになりかねない緊迫感の演出が、もうたまらなく魅力的ですね。この辺の演出方針は明らかにマクロスの(というか板野サーカスの)流れだろうなぁ。クライマックスだけあって、このスリリングなアニメーションは必見。


ここから、すべての歯車がカチっと合わさったかのように状況が好転していきます。所長とテレサは無事に破損個所を修復。樹奈も再度の攻撃態勢に入る!
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さすがに今度は命中!! ・・・しかし


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一歩遅かった! 炉心は臨界に達し、メルトダウンがまさに始まろうとしたその時でした。

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― 何が起こったのかは、一切不明。しかし間一髪というタイミングでラージャの体が分解し、美しい石の塊となって原子炉の暴発を食いとめたのでした・・・。


しかしその直前に、樹奈は見ていた。ラージャが、人の手で傷つけられた大地から生まれたこと、そしてラージャ自身も深い悲しみを抱えていたことを。




こうして、樹奈の最初の戦いは終わりを告げました。しかしそんな樹奈に、クリスは険しい表情を向けます。

「お前の体は穢れ過ぎている。その穢れが怖れを生み、真(まこと)を見る眼を曇らせた。・・・穢れは、払わねばならぬ」




・第2話で語られた「大切なこと」


さて今回はアクションメインに追いかけていきましたが、しかしこうしたビジュアル面以上に大切なのが、この作品に込められた様々なメッセージ性。今回は原子力発電所のあり方を通して、我々の生き方に再考を促す言葉が、劇中語られていました。


発電所所長とテレサが、二人して破損個所を修復に行くシーン。その中で、所長が文明そのものに対する子供らしい憧れを語る場面があります。この所長は幼いころ、雪原を走る蒸気機関車を見て、こんなマシンを自分の手で作るのが夢だったと語ります。


それに対して地球を守る任務に励む実践家のテレサは、原子力発電がいかに危険で、割に合わないモノであるかを説いて聞かせる。もちろんプロフェッショナルの所長もそんなことは百も承知で、しかしその上で、現代文明の抱える皮肉過ぎる問題を指摘するのでした。


曰く・・・、

「15年・・・。たった15年前に・・・。バブルがはじける前の、この国が一番豊かだと言われた頃の電力消費量に戻すだけで、原発をひとつ残らず、なくせるのに」


「それとも真夏の2週間、冷房を我慢する、か。でも、たったそれだけのことが、私たちにはできない」





・・・このたった十数秒のセリフに、すべてが込められていると思います。考えてみれば馬鹿らしいほど簡単な努力が、我々にはできない、あるいはやらない。おかげで、子子孫孫にまで多大な迷惑をかける廃棄物を遺し、あまつさえ自分たちの生活すら死の灰の危険と背中合わせにしている。この代償の大きさ、対価の不釣り合いっぷりに、愕然とせざるを得ない現代文明の矛盾!!




そしてまた、こうしたセリフを文字通りに受けとってはならないのが、「アルジュナ」という作品の奥深さであります。クリスが「戦え」と口で言いながらまったく異なることを伝えようとしていたのと同じように、作り手も所長たちのセリフを通して、ただ原子力発電をやめろとか、エコ生活をススメようとか言っているわけではないのです。そうした表層的なメッセージももちろん真摯に受け止めなければなりませんが、しかしその根底に横たわる、根本的な問題は一体何か? そこに想いを馳せなければ、この作品に込められたテーマ性・メッセージ性は、見えてこないのであります。


それを、この作品を見る時には重々、気を付けて頂きたいと思います。具体的に私が何を言おうとしているのか、それを言葉で語るのは非常にむつかしい。作中でも言及されているとおり、言葉とは不確かなもので、意図していることとはまるで異なる意味を伝達してしまう恐れが非常に大きいからです。


なので、第2話の時点では、あまり突っ込まないようにしておきましょう。次回以降、毎回のように挿入されるメッセージ性を、本記事でもいちいち触れて行くと思いますが、その中で私の感じたこと、考えたことを少しでも表現できるよう、私自身も努力したいと思います。自信はまったくありませんし、やはり実際にアニメを見て、よくよく考えて頂きたいことでもありますので。また私も、自分が勝手に導き出した妄想を、さも正解であるかのように触れまわるのだけは避けたいと思いますから・・・。




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最後に、今回の原画スタッフは以下の通り。
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うん、アニメーターに詳しくない自分ですら、いろいろビビったり思ったりすることはあるw 




それでは、今回は以上です。第3話はの記事はこちら



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バンダイビジュアル
2010-04-23

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