荒川アンダー ザ ブリッジ 第8話「8 BRIDGE」

チョーさんの奥深い演技に、涙が出てきた




・親子愛のなんたるか


「夢を語りたかったわけではなく・・・」と語る、アバンでのリクの思い出話。夢を語りたかったのではないのなら、では何を語りたかったのだろうか。書きなおしを拒否した彼の心情を考えながら、本編のエピソードを深く深く味わいのあるものにするアバンタイトルだった。


今回のエピソードは、リクに11歳の頃から突き従っていた部下の高井氏が、リクの生活を見にやってくる話。当然、常識的な生活である会社と、非常識な生活である橋の下とを見比べてすったもんだする回だと予測されたわけだが、そこから思わぬかたちで垣間見えたのは、親子関係のなんたるかを考えさせるテーマ設定であった。




・常識論 再考


リクの、実父との関係の異常性については、もう第1話から語られてきたことではある。橋の下の住人の非常識っぷりに驚かされていたおかげで、リクの家庭のおかしさについては印象が薄くなってしまっていたのだが、しかし考えてみればあまりに非常識な親子関係だなぁと、いまさらながら痛感させられる。また、だからこそ高井が、あたかも仮の親として精一杯努力をしていたわけであるが、最後は橋の下の住人であり女性であるところのニノに、全てをまかせるしか術が無いと悟らされた。


常識人を気取る側の人間が、非常識な橋の下の住人に白旗を挙げるというのは、今作らしい実社会に対する皮肉である。また、こと常識論について言えば、前回のエピソードで語られたようにそもそも常識という概念そのものがあやふやで頼りないものであるわけで、事実、高井やリクの父の描写で彼らの非常識性がことさらに強調されていた今回のエピソードも、「常識ってなんだ?」という前回の疑問をそのまま引きずっていると言える。


橋の下の生活と、橋の上の生活。そのどちらが常識的でどちらが非常識か、などという境界線は、とうの昔に曖昧になっているわけだ。今回からは、そうして曖昧でしばしば逆転し得る常識論の迷路に視聴者を迷い込ませながら、しかし同時に、常識云々ではなくもっと大切な価値について、それが一体何なのか、それはどこにあるのかを、探ろうという意図のように見える。


今回は、その”もっと大切な価値”のひとつとして、人間らしい表情の有無が、問題にされていたようだった。親(もしくは仮親)と子の関係、そして恋人同士の関係という観点から、人と人が本当に繋がりあったときに見せる変化というものが、リクとニノの中に集約されていた。リクの変化を高井が、ニノの変化をシスターがそれぞれ指摘したシーンは、深い味わいと感動を、我々視聴者の内に呼び起こしてくれたのではないだろうか。




・心震える演技だった


高井役のチョー氏についてである。シャフトでは「ひだまり」でお馴染みの、そして今期では「HEROMAN」で活躍中のチョー氏だが、この人、
めちゃめちゃいい演技するな!!!


とくに終盤で、高井が涙を見せて橋の下を去る、一連のシーン。わずかに声を震わせながら、高井の胸の中に巻き起こった様々な感情の嵐を、声というたったそれだけの武器で見事に表現してしまっていたと思う。


このときの高井の感情なんて、とても単純な言葉では言い表せなくて、親として、部下としての喜びもあったろうし、切なさも寂しさもあったろう、あるいはホっとしたという面もあっただろうし、そのなかに諦めの空しさも強く滲み出ていた。


大きな不幸に打ちひしがれて以来10年間、高井はどんな想いを抱えて苦労してきたのだろう。彼の人生の重大な十数ページが、一瞬のうちに彼の胸の中に去来したに違いない。私のような若造にはとても想像だに出来ないような万感の想いが、「母性にはかなわない」という彼の言葉にぎゅっと凝縮されて吐きだされる。文字通り、感情を強く揺さぶられ動かされた感動。その感動・身震いを味わっていた高井の内面を、どんなセリフよりも雄弁に、どんな映像表現よりもリアルに、我々のもとへ届けてくれた声優の演技に、ただただ感服し涙するしかないシーンだった。


恐らく今作ではゲストキャラだろうが、「HEROMAN」ではたくさんしゃべるシーンがあるので、今後ともチョーさんの活躍に大いに期待したい。




・お父さん降臨?


最後の最後で、不穏な空気をまき散らしながら、それでいてしっかりオチも持っていったリクの実父。このキャラはあなどれんぞwww


美人秘書の島崎も、盗聴がどうのと穏やかでない発言をしていたし、いよいよクライマックスに向けて、親子の対決が軸になってくるのだろうか。


父親やそれに値する人物を持つすべての男子にとって、父親とは、必ず克服しなければならない障害であり、敵であり、目標である。ファーストキスで浮かれて酷い醜態を晒しているリクだが、彼が父親と対峙し、父親の持つ強大な価値感に立ち向かうその時は、果たしてやってくるのだろうか。よく注目しておこう。



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それでは、今回は以上です。



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