学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD 第5話

なにこの神アクション!?




・紫藤との決別


今回は、ようやく組織立ってゾンビ対策に打って出るようになった公的機関の動きを大まかに照らしつつ、いったん別れた小室・麗ペアと毒島先輩一行が、再び合流する話。小室と麗がバスを飛び出したのは紫藤教諭を嫌ってのことだったが、まったく同じ判断と選択を、毒島先輩以下4名もすることとなった。


アニメを見ている我々からすれば、紫藤は見るからに危険というか、ついて行ってはいけないキャラとして描かれているため、4人の選択はそれ以外考えられない真っ当なものに見える。しかし、もう少し現実に即して想像を巡らせば、この決断がどれほど勇気のいることかと思う。いつ ”奴ら” がやってくるかもしれない中で、少なくとも表面上は協力を公言している何人もの知人を見限るということは、ただ生理的な好き嫌いだけでは十分な動機になり得ない。こいつからは離れた方が絶対に良いという確信があってはじめて下せる決断であって、たとえ豪勇無双の毒島先輩であったとしても、他に3名の信頼できそうな仲間の存在がなかったら、こんな暴挙には出なかったに違いない。


まぁ、あんなにウニョウニョと気色悪い演技をさせられている紫藤は、ちょっと可哀相かなと思うわけでw 何人もの生徒を心酔させてしまうだけの説得力ある演説を行っているわけだから、こんな見るからに頭おかしい描き方しなくても良かったと思うなぁ。言葉に説得力があるということは、せめてうわべだけでも、きちんと状況を判断し理屈に合った自説を展開しているわけで。演説の内容が誇り云々というテーマに移行していったのは、長時間停滞し続けるバスの中でとっくに行動方針についての話が終わっていたからだろうが、こういう状況だからこそ人間としての矜持を保てという訴えは、決して嫌いでは無い。紫藤という人間の浅さに気付かなければ「まったくその通りだ」と頷いてもおかしくない話だし、逆にいえば紫藤の本性を知っていたり気付いたりしたからこそ、我らが主人公たちは彼の下を去ったのだと言える。


あれだけキャラの濃い紫藤は今回で退場ということは絶対にないと思うし、麗とも何やら因縁がありそうだから、今後の彼の動きは楽しみにしておきたい。


ちなみに、紫藤のもとで宗教が始まったみたいなことが、まるで反吐が出るとでも言わんばかりに語られていたが、相変わらず日本人は宗教や信仰に対して辛辣だよなぁ。この姿勢だけは本当に好きになれない。いや、紫藤の描写を通じて、詐欺と変わらないエセ宗教団体を揶揄しているだけだというのは分かるが、それをまるで宗教一般のこととして扱う傾向が強すぎる。紫藤の姿は、あれは宗教の始まりではなく、民主主義の実態として揶揄されるべきものだったと、個人的には思った。




・見事だったアクションシーンと、パーティ再結成


結局約束通りには行かなかったものの、それでも無事に再び合流できた6人。このときのアクションシーンは、リアリティを無視してどこまでも劇的な描写・演出に徹していたが、すごく良かったと思う。今作は最初からアクションについてはリアリズムを度外視しており、どこのゲームですかと言いたくなるくらい、男の子受けしそうな空想的な描写を行ってきていた。それが今回は一層色濃くなって、信頼できる仲間たちの再会シーンというシチュエーションも手伝って、胸のすく一大活劇を繰り広げていた。


街がゾンビによって侵食されていき、そのなかで生きている者たちが次々とその人間性を見失っていく様は、まるでそれが本当に起こり得ることのようなリアリティをもって描かれる。しかしそうした生々しさと同居して、視覚的快楽を優先したようなアクションシーンが存在しているのが、今作の特徴だ。主人公たちがこんなにカッコいいと、事件そのもののリアリティが薄れてしまう気もするので、この方針でいいのかは疑問ではある。けれど、単純にカッコいいアニメーションは大好きなので、あまり大きなことは言えない。




ところで今回は、人類全体として生きて行くのが困難な状況の中で小さなコミュニティを形成しなければならなくなったときに、いったい誰を仲間として選ぶか、その選択が描かれたエピソードだったと言える。そしてこの6人は、別に気が合うわけでも仲が良いわけでも無く、あるいはたぶんお互いの人間性をまったく信頼はしていない。ただ、一緒にいれば生き延びる確率が高そうだという判断だけで、パーティを組んでいたはずだった。


それは現時点でもたいして変わっていないとは思うのだけど(なんか無駄にラブコメ要素が濃くなったがw)、それでも共に戦う中で、言葉には言い表せない類の絆がみるみる深まっていく様子は、はっきりと伝わってきた。とくに毒島先輩と小室孝は、戦友、という認識でとても良い信頼関係を築いているようだ。


今回、ゾンビの群れの中へ攻めに転じたというのも、このかりそめの信頼関係・仲間意識のなせるワザだろう。ただ今後のストーリー展開の中で、彼ら6人の人間関係がどうこじれていくのか、今からちょっと心配でもあり、楽しみでもある。こじれない可能性もあるけど、きっとこじれるとおもうので(笑)、そのなかで再び人間性というものを鋭く問いかける作劇がなされるだろうと、期待しておきたい。




・EDについて


いまさら気付いたんだけど、毎回ED曲変わってたのか!! いや、全っ然分からなかったw


ED曲を毎話入れ替えると言う演出は、まぁ他のアニメでもちょくちょく行われるけれど、よく「記憶に残らなくなるから良くない」という言い方で危惧される場合が多い。しかしそれでも映像を替えたり曲そのもののインパクトを強めたりして、毎度変わっても十分に記憶に残る変則ED演出が行われることが多かった印象なのだが、今作の場合はまじで、まったく記憶に残っていないwww 自分の注意力の問題もあろうが、似たような音楽性の曲ばかり並べるのもあまり感心はしない。


ところで映像のほう。このED映像はすごい演出だと思うので、今のうちに書いておきたい。第2話あたりで読者の方から、このEDは良いと言われて、改めて見て見たらすごかった、という情けない話なんですが。


EDは、まずはお決まりのスナップショットから入る。
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撮影者は巨乳先生? ちょっとした日常の一枚の中に、各キャラの個性が滲み出ている、作品を象徴するような一枚。


そこから、だんだんとカメラを引いて行くなかで、次々とスナップ写真が映しだされる。
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ここまではフォトアルバム風に思い出を振り返る、まぁわりとよくある演出。あくびをしてるっぽい毒島先輩が可愛すぎて困る。


ところがこの直後、画面に異変が!
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右下に突然現れる「MISSING」の不穏な文字。ここから画面の状況は一変し、楽しげなスナップショットの集合が、じつは行方不明者を探す掲示板の貼り紙だったことが明かされる。


そしてラスト。
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ここにおいて、もう状況は悲痛さ以外の何物も残さない。各国の言葉で書かれた探し人の文字、薄れてゆく色合いと無機質な画面への変遷、楽しげな思い出が根底から覆される。


これは、たった一枚のイラストだ。そしてそれを、中心部のアップから徐々にカメラを引いてくという、ただそれだけのことしかしていない。それなのに、見る者の心情を明から暗へと劇的に変化させる、極めて大きな効果を発揮している映像演出ではないだろうか。


我々は我々の感情を託して親しんでいる主人公たちの楽しげな思い出を共有し、彼らの日常を愛するように仕向けられる。そして十分にその共感を行ったところで、ほんの一瞬のほころびから、平和と安穏がその根底から崩され侵食されていく様に、愕然とするのだ。「MISSING」の文字は言わば、非日常の、狂気と混乱の、そして死の象徴だ。それが一気に画面を覆い尽くし主人公たちの平和を飲みこんで行くようで、まさに今作で描かれているストーリーラインの再演に他ならない。さらに、ほとんど死亡通知と言ってよい貼り紙の中に主人公たちの姿が埋没することで、この作品が指し示す道の先が暗い闇に包まれていることを強く連想させられるのである。


実際に本編が、主人公6人の全員行方不明(もしくは死亡)などというバッドエンドを持ってくるかどうかは分からないが、それを予感させる演出によって、いま目の前で必死に生きている彼ら6人の姿に強く胸を打たれることになる。アニメーションというものが、動かすことによってのみ言葉を語るのでは決してないということを、痛感させるED映像だと言えるのではないだろうか。




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それでは、今回は以上です。


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この記事へのコメント

おこめ
2010年08月04日 00:20
初めてコメントさせていただきます。

バトルシーンは鳥肌モノでしたね!冷静に考えれば『ねーよ!』の嵐も不思議と納得出来てしまう、不思議な説得力がありました。
ED曲は第一話の物が印象的だったのですが、後は確かに空気曲ばかりで……聞き込めば印象も変わるだろうと思えるだけあって残念です。化物語各OPも一曲一曲は曲本体も映像も本当に素晴らしいクオリティだったのにほとんど一回しか使われないのはもったいないと思います。
ちなみにこれは伝聞なのですが、EDのスナップショットは毎回追加されていっているようです。劇中で死亡したキャラの『在りし日』のお写真が増えているみたいです……。
私が確認出来たのは教師陣、永、首にタオルの男子生徒とその彼女、階段落としの女子高生コンビ、GSの兄ちゃん(?)でした。
おパゲーヌス
2010年08月04日 02:36
>おこめさん
はじめまして、コメントどうもありがとうございます。

化物語OPがもったいなかったのは同意ですが、尺の問題でしょうから仕方がありません^^ DVDでは各OPが何度も流れますからね。一方でHOTDのEDは、これこそちょっともったいない感じがしますね。もっとインパクトのある曲でやってもいいと思いましたし、こんな感じなら1つの曲だけで十分とも思いますね。

で、EDのスナップショットが増えていると! それは気付きませんでした。正確には、うちのテレビでは判別不能ですw でも気になるので、今度ぜひチェックしてみます。

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