とある魔術の禁書目録Ⅱ 第12話「天文台(ベルヴェデーレ)」

案の定、引っ張るなぁ! 最高の引き際。




まだまだオリアナとの追跡劇が繰り広げられるエピソードとなった今回は、数度にわたる失敗を踏まえて、物理的に追いかけるのではなくオリアナの目的地を予想しようという展開。いくらアクションがかっこよくても、それだけではただのプロレスごっこになってしまうわけで、こうして相手の行動を推理しながら戦略を組み立てて行く描写は絶対に必須というか、むしろこの戦略面に重点を置いているからこそ、ただの追いかけっこにこれだけの分量を割いているのだと言える。


振り返って検討して見れば明らかなように、いま行われているエピソードは、別に両陣営の正義のあり方がそれほど深く問われているワケでもないし、新たな勢力が登場して大きく展開が変化するわけでもない。オリアナと当麻たちの、近づいては引き離され、また近づいてという、一進一退の攻防を描くことに終始している。そのなかで半ば強引に当麻の知り合いを被害者に仕立て上げて、主人公の葛藤や怒りや決心を積み上げているが、当麻の言説がクライマックスに到達するのは次回以降だろうから、あくまで今は、両者の駆け引きをこそ丁寧に描写している段階だ。


そのような作り手の意図は、追いつ追われつの現場状況へ常にフォーカスしながらも、敵の隠された意図や目的が伏線としてふんだんに盛り込まれていることで、当麻たちが敵を追い詰めて行く様子が大局的な視点からも描かれる展開が、いっそう効果的に働いていると言える。敵はいったい何がしたいのか、そのためにどのような条件を揃えなければならないか。そうした疑問がたびたび提起されることで、まるで探偵ものの推理ドラマのような面白さがある。


この手のドラマはなかなか上手に構築していくのが難しいと思うのだけど、今作は驚くほど巧みに作劇しているなぁと思う。言って見れば、ここで描かれているのは言葉と思考のアクションだ。ボリュームたっぷりの尺を割いてこのようなエピソードをやってくれているというのは、アニメではわりと貴重な印象もあるので、とても嬉しい。




そして、この追跡行に明確な敗北条件(時間的空間的制約)が初めて示された今回は、いよいよドラマのクライマックスへと差し掛かりつつあることを予感させる。第23学区へと向かう列車に乗り込む前に、ステイルが当麻に覚悟のほどを問いかけたのは、そっくりそのまま、我々視聴者を身構えさせ、これから繰り広げられるであろう決戦を前に高揚感を大いに高める効果があった。


この場面や、あるいは今回のラストシーンでの当麻とオリアナの対峙のように、けれん味たっぷりなセリフと構図を見せて視聴者の意識をぐいぐいと引っ張り込んで行く様子。改めて「禁書」という作品の、劇場型ともいうべき作風を痛感させられるシーンだった。美しい夕景のグラデーションをバックにして、画面という舞台の上ににらみ合う二人。上手(かみて)にいる当麻が下手(しもて)のオリアナに対して、見得を切ってお決まりのセリフを叩きつける。痺れるほどに鉄板な幕引きだった! アニメが、舞台演劇の延長に存在していることを示す格好の事例だよなぁ。こういうのはホントに大好きだ。否応なく興奮させられた一幕であり、こんなのを見せられたら、次回が早く見たくてたまらなくなる。大いに期待させていただこう。





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それでは、今回は以上です。


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この記事へのコメント

あるるかん
2010年12月26日 10:02
最高にニクい演出と引きでしたね!

右手ひとつで敵と戦う上条は私の好きな映画「ダイハード」を彷彿させます。主人公ジョン=マクレーンが奥さんを助けるために拳銃ひとつでボロボロになりながらもテロリストと戦う話ですが、上条も毎回ボロボロになりながらしぶとく戦う様、そして不幸体質はジョン=マクレーンのようです。


今回打ち止め(ラストオーダー)が声のみ登場しましたが、もし今回の上条の役回りが一方通行だったらこんな緊迫した追跡にならなかったでしょう。と言うかオリアナが死ぬでしょう。
おパゲーヌス
2010年12月27日 04:38
>あるるかんさん
うわぁ、「ダイハード」は自分はダメです、トラウマですw あの映画を見て、血の出るアクション映画が駄目になりました。それが子供の頃で、以来まったく見てないので、お話の方もあまり覚えてないですね。すみません。たしか雪の中で格闘していて、敵の目玉をつららで突き刺すシーンとか、あとは人が飛行機のジェットエンジンに吸い込まれてミンチになったりとか、そんなのばっか覚えてます・・・。

一通さんがオリアナと対決してたら、大変なことになっていそうですね。でもオリアナさんなら、魔術の力で目をくらませて逃げるくらい、簡単にできそうにも思います。運動会をぶち壊すくらいに大暴れされたらかないませんが、一通さんわりと善人っぽいからなぁw
あるるかん
2010年12月27日 10:26
ああそれは2作目ですね。アクションとかが苛烈なことで有名な。
私が好きで引き合いに出したのは1作目です。ビルに籠城するテロリストにたまたま居合わせた不良警官が奥さんを助けるために奔走する。2~4作目は観なくても1作目は観る価値ありですね。完了形変体刀と完成形変体刀ほどの違いがありますよ。


そういえば、ステイルはあれで先生とフラグが立ってしまったんですよ。上条に殴られた男は女性とフラグを立てるようになるカミやん病(命名土御門)です。特に一方通行さんとか。
おパゲーヌス
2010年12月27日 13:31
>あるるかんさん
なるほど、1作目ですか。覚えてないなぁ。「ダイハード」=ド派手アクションの代名詞的に語られることが多いので、食わず嫌いになっていましたね。

カミやん病ww そんなおいしい効果が。でも、好きでも無い女性にまとわりつかれる体質は不幸以外のなにものでも無いですね。まぁ、インデックスと小萌先生は属性が近いから、ステイルとしてもまんざらでもないんじゃないかと勘繰りたくはなりますが、でも年の差ひどいですよねぇ。ステイルはまだ10代前半なんでしたっけ。最低でも10歳、実際には15~20くらいの年齢差がありそうです。・・・もっと離れてる?w
白米プチョン
2010年12月29日 10:34
小萌先生がステイルの煙草を諌めるシーンで、しつこくてお節介なミニ教師にどうも誰かの姿が重なるな、とステイルが考えていたらインデックスに思い当たったという描写が原作にはあるので、
おそらく過去にインデックスとステイルが仲良しの同僚だった頃も似たノリだったのかも知れませんね。

今回のバトル描写は良かった!
カメラを引いた俯瞰とか入れてくれるの好きなんです。
それと、相変わらずBGMを殆ど使いまわさないアニメだなぁ、とw
色々試してるのかも知れませんが。

知り合いを被害者に仕立てたりといった展開の強引さや細かい脚本のアラに内心突っ込んではいますが、クライマックスで格好良く決めてくれればこの手のアニメは好きになれるクチです。
次回は一週休んで年明けですね。良いお年を。
おパゲーヌス
2010年12月29日 23:43
>白米プチョンさん
ああ、本当にソッチ系でしたか、ステイルさん。というか作者はインデックスと小萌先生を同系統と看做しているのですね、そっちのほうが興味湧きましたw

他のブログで言及されていますが、レイアウト監修に優秀な人材が起用されて、見せ方がぐっと良くなったという話ですね。自分はあまり理論的な部分は分かりませんが。仰る通りストーリー展開やセリフの構築に粗があっても、それでもドラマに惹き込まれるパワーがあるのは、しかるべきトコロでしっかりと決めてくれているのが、大きいでしょうね。

そうか、今週はお休みなのですね。来年もどうぞよろしくお願いします。
白米プチョン
2011年01月06日 16:47
あけましておめでとうございます。
興味湧いたっていうのは、どの部分になのかが気になりますw

自分はそれを読むまでインデックスと小萌先生を同系統だとは気付かなかったので。
小萌先生の年齢と外見のギャップは狙ったものだとしても、ステイル14歳というのは失敗じゃないかなぁと今でも思っていますw

キャラ原案の人の言では、
当麻が反抗すべき「子供にとって、嬉しくない建前や理屈を並べる大人」としてデザインした結果、ステイルや神裂は年齢より大人びた外見に決まったらしいのですが、予想以上にシリーズが長く続いて徐々に後悔し始めたと、自虐ネタとして語っておられました。
おパゲーヌス
2011年01月07日 04:13
>白米プチョンさん
あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします!

インデックスと小萌先生は、設定年齢のせいなのか、あまり同系統って感じがしないんですよね。けど、指摘されて(ステイルが惚れて)初めて、「ああ、たしかに幼児体型で口うるさくて、そっくりだな」と気付かされるキャラかなと。なので、ステイルとの絡みを想定する前から仕組んでいたのなら、インデックスと小萌先生の類似性はもっと前から物語中で言及されているべきなのではなかったかな、などと思ったので。

でもそのキャラ原案の話に象徴されるように、「予想以上にシリーズが長く続い」た、というのがあるんでしょうね。作者自身が後から色んな発見やひらめきをしながら、物語を繋いでいっている、そういう(悪い言い方をすれば)場当たり的な要素は、アニメ見てるだけでもよく伝わって来る部分です。その粗削りな部分は、今作のパワーなのだと考えてますけどね。

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