さくら荘のペットな彼女 第1話「ねこ、しろ、ましろ」
なんというハイテンションコメディ!
息をのむような美しさに彩られた画面の中、詩的なセリフが語られ出したかと思った途端、巨大なモフモフに押しつぶされるシュールな光景に驚かされた。こういう非現実をふんだんに盛り込んでも物語の説得力が失われないのがアニメの利点であり面白さなのだけれど、そうした面白さをトコトンまで追求する映像作りのスタンスに惚れ惚れさせられる。そして息継ぎする暇もないとばかりに繰り出される怒涛の「さくら荘」紹介シーン。セリフのやりとりだけですでに十分面白いコントとして成立しているものを、これだけテンポよくハイテンションに作り上げたら、そりゃあ魂だって持って行かれます。今期アニメは豊作だなぁとは思っていたけれど、ここにきてまだこんな素敵な作品が登場するんだから、本当に油断ならない!
この手のキャラクターアニメの第1話目としてとにかく素晴らしいと思ったのが、登場する主要キャラが皆、強い個性を持って描かれていたこと。変人が集う寮ということではあるけれど、いろんなアニメその他の媒体で変人キャラをかなり見慣れているであろう視聴者に対して、今作のキャラたちが持つ設定はそれほどアピール力は高くはない。しかし今作は”癖のあるキャラ”を描くうえで、耳にこびりつく印象的なセリフ回しや声優の演技、キャラクターの過剰にすぎる仕草や表情でカバーする、いわばアニメとしての表現力で勝負できている。ここぞという場面での予想外の演出も、さくら荘周辺でのドタバタコメディーを分厚く肉付けしている(トンカチを眺めて首を振るネコたちの姿は傑作だった!w)。画面の端々から視聴者を楽しませてやろうと企む作り手の心意気がよく表れた30分間だったと思う。腹を抱えてこんなに笑ったのはいつ以来だろうかと自問したくなるくらい、楽しい時間だった。
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ストーリーに関しては、今回はとにかくキャラクター&舞台紹介に徹したということで、とくにツッコミ以外の役割がまだよく分からない主人公の立ち位置などは、次回以降に描かれることになるだろう。どうやら「色」がキーワードのようだが、真っ白な椎名ましろと玉虫色の神田空太の出会いがどのような化学変化を起こしていくのか注目だ。
空太は「玉虫色」を自虐の意味を込めて使っていて、これは他人の都合にいいように振り回されてしまい、それでいて確固たる自分の意思や目標を持てないでいる自身への不満を吐露しているということだろう。でもそんな空太の色を面白いといった椎名ましろは、彼の中に無数に広がる可能性に興味を持ったのかもしれない。玉虫というのは実際に見ていると驚くほど綺麗な色をしていて、こんな美しい羽根を自分の色として確立させることができたらさぞ魅力的な生き様になるのではないかと思うのだけど、具体的に空太がどんな成長を遂げようとするのかは、いまから大いに楽しみにしておきたい。
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椎名ましろが登場するまでの一連の展開は素晴らしかった。まず千尋先生に「まぁまぁまぁまぁ」と頭をぽんぽん叩かれる場面から、突然の電車通過に切り替わったのにはゾクゾクする魅力があった。そうして突如切り替わった夕景は、暖かく懐かしいながらもどこか不安を掻き立てる舞台であり、その中に舞う桜の神々しさは、これから訪れる重要な邂逅シーンに向けて静かに緊張感を掻き立てる。そしていよいよ天使が舞い降りるその瞬間、花びらに導かれる視線の先に幻想的な桜の木がまず映り込み、息をのむ空太の顔のアップ、低いアングルからましろの位置に焦点を合わせ、一瞬交錯する視線・・・・・・。ここで通行人が邪魔に入るのが心憎いっ!w なんと計算されつくした「出会い」のシーンであろうか。
主人公とヒロインが初めて出会う場面はどんな作品でもとくに印象深く描かれるものだけど、空から降ってくるとかそういう発想の面白さで勝負するのではなく、ただ街の中で出会って自己紹介するという何の変哲もないシチュエーションで、ここまで心に残る出会い方をした作品はあまり記憶にない。またこのシーンの面白さは、主人公の心象風景を拾い上げて夢のような光景を演出していながら、それでいて、彼が手にしていた食べかけのコロッケをあわてて口に押し込めるという、極めて卑近な、ともすれば下品にさえ見えてしまいかねない状況を同時に伴っている点にある。異世界からやってきたかのような美少女に声をかけるにあたって、脂ぎった食い物を頬張ってしばらくバツの悪い表情を見せてしまう、そんな奇妙なギャップ。次回以降はどうなるか分からないけれど、少なくともこの第1話においては、そんなギャップをところどころに混じりこませてあり、それがこの作品の空気をうまい具合に形成していたのではないかと思う。
次回以降しばらくは、今回以上にコメディ色が強くなっていくのではないかと思うが、1話目でこれだけテンションを高くしてしまった以上、次回はそれ以上にハイテンションにしていかなければならなくなったのではないかと、少し心配になるw しかしここは作り手の腕を信頼して、ここからさらにヒートアップしていく楽しさを存分に味わいたいと思う。次週の放送を首を長くして待ちたい。
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それでは、今回は以上です。
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息をのむような美しさに彩られた画面の中、詩的なセリフが語られ出したかと思った途端、巨大なモフモフに押しつぶされるシュールな光景に驚かされた。こういう非現実をふんだんに盛り込んでも物語の説得力が失われないのがアニメの利点であり面白さなのだけれど、そうした面白さをトコトンまで追求する映像作りのスタンスに惚れ惚れさせられる。そして息継ぎする暇もないとばかりに繰り出される怒涛の「さくら荘」紹介シーン。セリフのやりとりだけですでに十分面白いコントとして成立しているものを、これだけテンポよくハイテンションに作り上げたら、そりゃあ魂だって持って行かれます。今期アニメは豊作だなぁとは思っていたけれど、ここにきてまだこんな素敵な作品が登場するんだから、本当に油断ならない!
この手のキャラクターアニメの第1話目としてとにかく素晴らしいと思ったのが、登場する主要キャラが皆、強い個性を持って描かれていたこと。変人が集う寮ということではあるけれど、いろんなアニメその他の媒体で変人キャラをかなり見慣れているであろう視聴者に対して、今作のキャラたちが持つ設定はそれほどアピール力は高くはない。しかし今作は”癖のあるキャラ”を描くうえで、耳にこびりつく印象的なセリフ回しや声優の演技、キャラクターの過剰にすぎる仕草や表情でカバーする、いわばアニメとしての表現力で勝負できている。ここぞという場面での予想外の演出も、さくら荘周辺でのドタバタコメディーを分厚く肉付けしている(トンカチを眺めて首を振るネコたちの姿は傑作だった!w)。画面の端々から視聴者を楽しませてやろうと企む作り手の心意気がよく表れた30分間だったと思う。腹を抱えてこんなに笑ったのはいつ以来だろうかと自問したくなるくらい、楽しい時間だった。
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ストーリーに関しては、今回はとにかくキャラクター&舞台紹介に徹したということで、とくにツッコミ以外の役割がまだよく分からない主人公の立ち位置などは、次回以降に描かれることになるだろう。どうやら「色」がキーワードのようだが、真っ白な椎名ましろと玉虫色の神田空太の出会いがどのような化学変化を起こしていくのか注目だ。
空太は「玉虫色」を自虐の意味を込めて使っていて、これは他人の都合にいいように振り回されてしまい、それでいて確固たる自分の意思や目標を持てないでいる自身への不満を吐露しているということだろう。でもそんな空太の色を面白いといった椎名ましろは、彼の中に無数に広がる可能性に興味を持ったのかもしれない。玉虫というのは実際に見ていると驚くほど綺麗な色をしていて、こんな美しい羽根を自分の色として確立させることができたらさぞ魅力的な生き様になるのではないかと思うのだけど、具体的に空太がどんな成長を遂げようとするのかは、いまから大いに楽しみにしておきたい。
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椎名ましろが登場するまでの一連の展開は素晴らしかった。まず千尋先生に「まぁまぁまぁまぁ」と頭をぽんぽん叩かれる場面から、突然の電車通過に切り替わったのにはゾクゾクする魅力があった。そうして突如切り替わった夕景は、暖かく懐かしいながらもどこか不安を掻き立てる舞台であり、その中に舞う桜の神々しさは、これから訪れる重要な邂逅シーンに向けて静かに緊張感を掻き立てる。そしていよいよ天使が舞い降りるその瞬間、花びらに導かれる視線の先に幻想的な桜の木がまず映り込み、息をのむ空太の顔のアップ、低いアングルからましろの位置に焦点を合わせ、一瞬交錯する視線・・・・・・。ここで通行人が邪魔に入るのが心憎いっ!w なんと計算されつくした「出会い」のシーンであろうか。
主人公とヒロインが初めて出会う場面はどんな作品でもとくに印象深く描かれるものだけど、空から降ってくるとかそういう発想の面白さで勝負するのではなく、ただ街の中で出会って自己紹介するという何の変哲もないシチュエーションで、ここまで心に残る出会い方をした作品はあまり記憶にない。またこのシーンの面白さは、主人公の心象風景を拾い上げて夢のような光景を演出していながら、それでいて、彼が手にしていた食べかけのコロッケをあわてて口に押し込めるという、極めて卑近な、ともすれば下品にさえ見えてしまいかねない状況を同時に伴っている点にある。異世界からやってきたかのような美少女に声をかけるにあたって、脂ぎった食い物を頬張ってしばらくバツの悪い表情を見せてしまう、そんな奇妙なギャップ。次回以降はどうなるか分からないけれど、少なくともこの第1話においては、そんなギャップをところどころに混じりこませてあり、それがこの作品の空気をうまい具合に形成していたのではないかと思う。
次回以降しばらくは、今回以上にコメディ色が強くなっていくのではないかと思うが、1話目でこれだけテンションを高くしてしまった以上、次回はそれ以上にハイテンションにしていかなければならなくなったのではないかと、少し心配になるw しかしここは作り手の腕を信頼して、ここからさらにヒートアップしていく楽しさを存分に味わいたいと思う。次週の放送を首を長くして待ちたい。
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