バクマン。 第2話「馬鹿と利口」

泣いた!第2話にして早くもボロ泣きした!





・父と祖父の示す男の生き様


今回は、サイコーが一大決心をして親と対峙するエピソード。お話の盛り上がり方はさすがに第1話の結婚申し込みには叶わないとしても、一個の男子として、男の生き様に付きまとう宿命を痛感させられながら、サイコーを後押しする父と祖父の姿に強く胸を打たれたエピソードだった。まさか自分がこんなに早く涙を流すことになろうとは、まったく思っても見なかった。


そもそも、いざ立ち上がらんとする男児が父親と対峙するというシチュエーションが、自分は心底好きなのだ。女性はどうか知らないが、思春期の男子にとって、父という存在は常に強烈に意識せざるを得ない。幼児期には自分を守ってくれる頼れるヒーローであった父に、同じ男としての対抗意識やコンプレックスを強く感じ始めるのが、人格形成期の男子の精神状態だ。この時期には、父は計り知れないほど高く立ちはだかる壁であるし、どこまでも自分を抑えつける圧政者である。父を乗り越えたいという衝動は10代半ばに差し掛かった男子の最重要命題であるし、その強迫観念が、彼を苦しめもするし、また成長を促すのだ。


今作にあっては、サイコーは直接父親に言葉をぶつけたわけではなかった。だが、彼が母に夢を告白したとき、彼は確かに、母の背後に父親の存在を意識していた。この問題は、何と言っても父を中心とした家族ヒエラルキーへの挑戦であったし、だからこそ彼は戦々恐々としながら部屋で父の回答を待っていたのだった。このあたりの心の機微は、彼の母にはよく飲み込めていなかったに違いないが、それでも息子の願いを無下にしなかったのは、サイコーにとって幸運だったといえるかもしれない。




そしてそんな息子の一大決心を、親として、保護責任者として、それ以前に一人の男として、ちゃんと汲み取った上ですべてを理解し承認した父と祖父の決断が、何よりも胸を打った。この二人の”父親”の判断は、決して暖かいものではない。「やらせろ」という父の一言、あるいは何も言わずに死んだ息子の仕事場の鍵を与えた祖父の姿には、息子や孫を応援するという意識は微塵も感じられない。ただ、サイコーが自分の自由と責任とを背負って進んでゆくことを承認したに過ぎない。たとえ父たちが漫画家という職業をどう思っていようと、一人の男の生き様に他者が干渉すべきではないことを身を持って示したのだった。ひょっとしたら大反対だったかもしれないし、あるいは心から応援したかったのかもしれない。それはしかし、真城最高という男の人生にはもはや何の価値も無いということ、これからは自分自身の足で歩いてゆかねばならないことを、言外に教え諭す親の姿だった。




・サイコーとシュージンの志のセコさについて


そんなBパートの奥深いドラマに対して、Aパートでは秋人改めシュージンとサイコーの間で、夢を目指しながらも、極めてドライに人生を見つめる若者たちの姿が描かれた。このA・Bパートの対比は、今作を貫くひとつのテーマになってくるかもしれない。


すなわち、勉強にせよ漫画にせよ、あくまで現実的な諸問題を見つめながら、夢の実現よりはむしろ安全な人生設計を志向する主人公二人の姿には、どうも創作活動にかける熱意ではなく、小手先の計略で名声をかすめ取ってやろうというセコい魂胆のほうが、強く印象づけられている。


これは前回も思ったことだが、そもそも彼らが漫画家を目指す動機に、漫画を描きたいという根本的な情動は、まだそれほど浮き出て来てはいない。サイコーは意中の女子を射とめるために、シュージンは金と名声のために、あくまでひとつの手段として漫画家という生き方を選択しているように、今は見える。このような冷めた人生観の上に築かれた薄っぺらい設計図が、今後様々な試練や経験を踏まえてどのように肉付けされていくのか。それこそが今作のドラマの主軸なのだろう。


例えば今回は、祖父の思わぬ後押しのおかげで叔父の仕事場を手に入れたサイコーが、それはもう顔をキラキラに輝かせて、夢に向かってまっしぐらに突き進んでいた。この時点で彼は、亜豆美保への欲求よりも、純粋に自分の漫画を描きたいという夢のほうに大きく傾いているようだった。たとえ一瞬であろうとも、漫画を描くという行為を手段ではなく目的であり目標として認識していたのだと思う。あるいはそれ以前から人生を諦めたように見つめていたのも、根底には、一番好きな漫画を諦めなければならないことに対する絶望感があったに違いなく、しかもその夢を捨て切れなかった彼の子供っぽさがそこにはある。


きっと今後は、現実を冷静に見つめた人生設計と、抑えようにも抑えきれない漫画への情熱との間で、揺れ動く主人公の姿が描かれるのであろうと推測している。そしてその狭間の中で、厳しい現実の中をラディカルに生き切ってみせようともがく青年の生き様が、視聴者に対して突き付けられ問いかけられることになるのだろう。


今はまだ、夢を追うことにドライでいることの多いサイコーとシュージン。彼らが本当の夢追い人になる日が果たしてやってくるのか。少しづつ現実味を帯びてきた漫画家への道を彼らがどのように歩いて行くのかを、楽しみにしておきたい。





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それでは、今回は以上です。


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